◇しっかり塗り炎症消す
◇症状に応じ 強さ、期間調節 高い効果、指示守って
アトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイド外用剤。いまなお「怖い薬」とのイメージが強い。患者相談に携わるNPO法人「日本アレルギー友の会」(東京都、会員約1300人)は「上手な付き合い方を知ってほしい」と呼びかけている。
患者からの友の会への相談で目立つのは「塗ってもよくならない」「長く使っていると効かなくなるのでは」「強めの外用剤を使っても副作用は大丈夫か」などだ。
同会はアトピー性皮膚炎を火事にたとえて説明している。皮膚の炎症が起きたら、早くステロイド剤で消し止め、治まったら保湿剤で皮膚を湿らせ、炎症を起こしにくくする。これが基本だ。
外用剤を使うときは炎症の強さに応じて、薬の強さや塗る期間を調節するのがコツ。2~3日塗ってやめると炎症はぶりかえすことが多い。炎症が強いのに、弱めの外用剤を薄く塗っても効果は低い。
外用剤を使って症状をコントロールしながら仕事を続ける同会事務局長の丸山恵理さん(49)は「塗るときは医師の指導通りにしっかりと塗ることが大事だ。長く使っていても効かなくなることはない」と自身の体験を基に話す。
塗る分量は、人さし指の第1関節までの指先に乗る分量が目安。これが手のひら2枚分の面積にあたる。塗るときはすり込んではいけない。
丸山さん自身は朝、晩の2回、外用剤を全身に塗っている。塗りにくい頭皮はローションをつける。指は外用剤を塗ってもとれやすいので、ステロイドを含んだテープ(処方薬)をはっている。
外用剤の使用で「皮膚が黒くなる」とか「硬く厚くなるのでは」との相談も多い。アトピー性皮膚炎の治療で知られる江藤隆史・東京逓信病院皮膚科部長は「皮膚の炎症が長びくと、色素が沈着して黒くなることがある。これはステロイドのせいではない。むしろしっかりと塗らないと炎症が長びき、皮膚が黒くなる」と話す。
*
塗り方とは別に、丸山さんは「不安や疑問を気軽に聞ける相性の合う主治医をもつことも大事だ」と語る。病院に行ったら必ず医師に症状を見せ、症状に合った外用薬を処方してもらう。医師が患者の皮膚にじかにさわって症状の程度を確かめてくれるとなおよい。
丸山さんらは、こうした患者の悩みに応える形で「患者だからわかるアトピー性皮膚炎」(小学館・1260円)をまとめた。執筆の中心となった丸山さんは「アトピー性皮膚炎は難病ではない。私のように、ステロイドを使って症状をコントロールし、普通の生活をしている人がたくさんいることをぜひ知ってほしい」と執筆の動機を語る。
副作用の出やすい顔に炎症が生じた場合には、約10年前に登場した免疫抑制剤のプロトピック軟膏(なんこう)(成分名タクロリムス)を使う患者が多い。使い始めの最初は顔がヒリヒリするが、大半は1~2週間でなくなる。顔の炎症が強かった丸山さんは「おかげで化粧もできるようになり、明るくなった」とメリットを語る。
ただし、プロトピック軟膏は免疫を低下させる薬のため、適正な使用を怠るとウイルスなどが皮膚に入り、口の周囲などに水ぶくれや発疹(ほっしん)ができる単純疱疹(ほうしん)などの感染症になる恐れもある。
日本皮膚科学会は「2歳未満の子供は使用しない」「2~5歳の子供は1日の使用量の上限は1グラム以下」「妊婦は使用しない」「使ったら、強い紫外線は避ける」などのガイドラインをつくり、守るよう呼び掛けている。プロトピック軟膏の治療実績の多い江藤さんは「使用上の注意を守って使えばとても有用だ」と話している。
同友の会(03・3634・0865)は火、土曜日(午前11時~午後4時)に患者相談を受け付けている。会員も募っている。【小島正美】
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◇症状に応じ 強さ、期間調節 高い効果、指示守って
アトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイド外用剤。いまなお「怖い薬」とのイメージが強い。患者相談に携わるNPO法人「日本アレルギー友の会」(東京都、会員約1300人)は「上手な付き合い方を知ってほしい」と呼びかけている。
患者からの友の会への相談で目立つのは「塗ってもよくならない」「長く使っていると効かなくなるのでは」「強めの外用剤を使っても副作用は大丈夫か」などだ。
同会はアトピー性皮膚炎を火事にたとえて説明している。皮膚の炎症が起きたら、早くステロイド剤で消し止め、治まったら保湿剤で皮膚を湿らせ、炎症を起こしにくくする。これが基本だ。
外用剤を使うときは炎症の強さに応じて、薬の強さや塗る期間を調節するのがコツ。2~3日塗ってやめると炎症はぶりかえすことが多い。炎症が強いのに、弱めの外用剤を薄く塗っても効果は低い。
外用剤を使って症状をコントロールしながら仕事を続ける同会事務局長の丸山恵理さん(49)は「塗るときは医師の指導通りにしっかりと塗ることが大事だ。長く使っていても効かなくなることはない」と自身の体験を基に話す。
塗る分量は、人さし指の第1関節までの指先に乗る分量が目安。これが手のひら2枚分の面積にあたる。塗るときはすり込んではいけない。
丸山さん自身は朝、晩の2回、外用剤を全身に塗っている。塗りにくい頭皮はローションをつける。指は外用剤を塗ってもとれやすいので、ステロイドを含んだテープ(処方薬)をはっている。
外用剤の使用で「皮膚が黒くなる」とか「硬く厚くなるのでは」との相談も多い。アトピー性皮膚炎の治療で知られる江藤隆史・東京逓信病院皮膚科部長は「皮膚の炎症が長びくと、色素が沈着して黒くなることがある。これはステロイドのせいではない。むしろしっかりと塗らないと炎症が長びき、皮膚が黒くなる」と話す。
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塗り方とは別に、丸山さんは「不安や疑問を気軽に聞ける相性の合う主治医をもつことも大事だ」と語る。病院に行ったら必ず医師に症状を見せ、症状に合った外用薬を処方してもらう。医師が患者の皮膚にじかにさわって症状の程度を確かめてくれるとなおよい。
丸山さんらは、こうした患者の悩みに応える形で「患者だからわかるアトピー性皮膚炎」(小学館・1260円)をまとめた。執筆の中心となった丸山さんは「アトピー性皮膚炎は難病ではない。私のように、ステロイドを使って症状をコントロールし、普通の生活をしている人がたくさんいることをぜひ知ってほしい」と執筆の動機を語る。
副作用の出やすい顔に炎症が生じた場合には、約10年前に登場した免疫抑制剤のプロトピック軟膏(なんこう)(成分名タクロリムス)を使う患者が多い。使い始めの最初は顔がヒリヒリするが、大半は1~2週間でなくなる。顔の炎症が強かった丸山さんは「おかげで化粧もできるようになり、明るくなった」とメリットを語る。
ただし、プロトピック軟膏は免疫を低下させる薬のため、適正な使用を怠るとウイルスなどが皮膚に入り、口の周囲などに水ぶくれや発疹(ほっしん)ができる単純疱疹(ほうしん)などの感染症になる恐れもある。
日本皮膚科学会は「2歳未満の子供は使用しない」「2~5歳の子供は1日の使用量の上限は1グラム以下」「妊婦は使用しない」「使ったら、強い紫外線は避ける」などのガイドラインをつくり、守るよう呼び掛けている。プロトピック軟膏の治療実績の多い江藤さんは「使用上の注意を守って使えばとても有用だ」と話している。
同友の会(03・3634・0865)は火、土曜日(午前11時~午後4時)に患者相談を受け付けている。会員も募っている。【小島正美】
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