暗闇を照らす、その眼差し | 赤い糸、絡ませて。

暗闇を照らす、その眼差し




月は見てる。

いつも其処から。



やわらかい光で

冷たい輝きで


ずっとずっと、見つめ続けている。



貴方が

笑ったことも

恋したことも

涙を零したことも。



貴方の

ひたむきな姿勢も

独りの時の弱さも


貴方の

寂しさ

哀しさ

愛しさ


切なさ。



月は、みんな知ってる。





恋に溺れた時も


情欲に、身体と心を捧げた時も


愚かさに嘆いた時も


受け止めた喪失感に泣いた時も






それは貴方だけが知っていること。




だから、誰も知らないこと?




ううん

月が知っている。




見ていたよ

あの宝石を散りばめたような、漆黒の褥から。




だから、



隠さないでおこう


消さないでおこう



貴方一人で抱えきれないものは

あの月が分かち合ってくれるから。


誰よりも、貴方を知っている月が其処に居るのだから。



それでも辛いなら


今は月の光に記憶と想いを預けて

いつか、返してもらえばいい。





月は見てる。


あの宝石を散りばめたような、漆黒の褥から。



貴方が生まれた時から、これまで。

そしてこれからも。





ひとりじゃないよ


ずっと。