明日はスタジオやね。
手荒に扱い続けた相棒のグレッチ君が入院から帰ってきた。
やっと。本当にやっと傷を治してあげられた。
ずっとビリビリとノイズ混じりの、でもごまかしごまかし歌わせ続けた、ごめんよ。
今日やっとこさお迎えに行ってあげた。
試奏中にすぐ別のお客さんが。
彼は盲目のギタリスト。
俺の試奏の音に耳を熱心に傾け、
「素晴らしく綺麗な音ですね」
って、
「これはなんのギターですか?」
と。
彼には音を聞くだけでおおよそのピックアップ、ボディなど想像がつくんだろーな。
脳の中一度でいいから見せて欲しい。
彼はいわば俺より、1.25倍、音に対する集中力があると俺は考える。(誤解されるかなー?)
いわゆる五感の1つがないもんね。
そんな彼には
俺のグレッチ君は形、色関係なしに音のみに凝縮されて想像される。
そんな彼に自分のギターが褒められたら、本当に自分の事のように嬉しかったんだよ。
そして、今日やっとこさ本来の綺麗な音に戻せてあげられたんだよ。
ネック裏のちょっとした傷も、一緒に走ってきた印だなーっと、ほんの一ヶ月ぶりの再会で、なつかしー感触。
また大きな音で一緒に歌えるのは本当にありがたいです。
盲目の彼は、店内のBGMの演奏に、エアギターしながら、ずっとスゲースゲーと呟いていました。
怒られるかもしれないが、羨ましいとも思った。
いつか彼の出す音も聞いて見たいなと思ったのに、そそくさと帰ろうとするときに、店主と話す俺の会話もしっかり彼には届いていたようで、俺のバンド名を聞く彼。
俺も聞きゃよかった。
でも多分いつか繋がる気がする。
人生の場面場面におけるひきは強いような気が
していると、
俺はずっと薄々感じている。