担当:たひ


Q1 NHK「連続テレビ小説」はどんな属性の人がみているのか? 実際の視聴者層は?
A1 インターネット上でアンケートを行う、リサーチパネルが2012年9月29日~30日で行ったアンケート「NHKの連続テレビ小説、初回から最終回まで見続けたことがありますか?」(回答者数:17万1147人)にて性別・年代別のデータがでた。(参考:瞬刊!リサーチ)
「みたことがある」と回答した男女はそれぞれ26.7%、34.8%と、女性が8ポイント上回る結果になっており、さらには、10代…18.0%、20代…18.4%、30代…25.3%、40代…38.6%、50代…49.9%、60代…52.3%、70代…57.2%、80代…71.4%といった結果となった。40代から飛躍的に増えていることがわかる。このふたつのデータから推測するに、一番考えうるのは女性の40代以上、いわゆる主婦層がメインの視聴者なのではないかと考えられる。
 この結果はこの研究にも十分活かせるものと考え、今後組み込んでいく予定。

Q2 東京と大阪(上半期と下半期)で制作・企画において差異はあるのか?
A2 全体的にみて、下半期制作を担当する大阪はチャレンジ精神が多くみられる。具体的には、いままで続いてきた現代ドラマの流れをたちきった作品で、昭和舞台の朝ドラの先駆け的な存在でもある「てるてる家族」('02)を制作したことが挙げられる。また、女優へのオファーが比較的多い東京制作(「純情きらり」の宮崎おあい、「ゲゲゲの女房」の松下奈緒、「おひさま」の井上真央、「梅ちゃん先生」の堀北真希)とは違い、オーディションを行う姿勢をあまり崩していないのは大阪制作の特徴ともいえる。

Q3 オーディションではなく、女優に仕事をオファーするようになってからの視聴者の反応は?
A3 ゲゲゲの女房が高視聴率をとり、女優にオファーした作品がのきなみ成功したといえるため、好感触であった様子を読み取ることは可能だが、具体的な反応はいまだ調査途中。データがでしだい、研究に反映させたい。

Q4 夜の時間帯に放送するドラマ(朝ドラとは対照的な意味で)で昭和を扱ったものはあるのか?
A4 単発ではわずかながらにあるが、このNHK連続テレビ小説のように連続して舞台を昭和にしている枠はこの枠が唯一といえる。ただ次回の発表予定となっている、映画となるととたんに作品は多くなる(’05年公開「ALWAYS三丁目の夕日」ヒットによる?)。

Q5 なぜ連続テレビ小説では女性を描くのか? 男性が描かれた作品は?
A5 A1からも考えられるように、主に女性の支持が高いからだと考えられる。ただし過去に男性が主人公だった作品がないというわけではなく、過去に10作品ほど存在する。その中で一番新しい作品は、三国一夫主演「走らんか!」('95年度下半期)である。

Q6 視聴者層が高齢であるというイメージだが、そのために昭和がうけるのではないか?
A6 それは可能性として充分あると考えている。NHK「連続テレビ小説」、通称「朝ドラ」が固有名詞として受け入れられている現在、歴史もあるこの作品は認知度が高いと考えられ、リサーチパネルの結果からも視聴者層の40代以上になるにつれ高確率で連続して視聴している。視聴者層がセレクティブメモリーしやすい昭和の時代はうけやすいと考えられる。
 ただ、前回発表した昭和という時代の特異性(戦前の生活、戦争、戦後の復興期)の中で今の時代ではみられないドラマチックな展開が期待できるためとも考えている。平成を舞台にした作品と昭和を舞台にした作品のコンテンツの要素の差などもできれば研究範囲内にいれ、比較したいと考えている。

Q7 昭和に魅力を感じる人間とはどういった人間か?(視聴者層との関係性)
A7 同じ時刻に他局での番組をみると、子供向け番組が二局、他がニュース一局、ワイドショーが三局という並びにあっており、ドラマを放送する枠はこの枠のみである。ワイドショー、子供むけ番組よりも王道的さわやかなドラマである朝ドラを選択していることになる。
 連続テレビ小説に限って言えば、王道的でみていて不安を感じない、明るいドラマの視聴を好む人間であるといえる。

Q8 1-5、b. 現在 とあるがそれぞれいつから?
A8  BSプレミアムでの先行放送は「ちゅらさん」('01年度上半期)から、土曜日の再放送は1996年度から、土曜日の午前中に1週間6話分をまとめて再放送する形におちついた。レコーダーにおいては光ディスクレコーダーの普及率が2012年3月末段階で75.3%がであるというデータがでている(参考:内閣府消費動向調査)。

<参考文献・ウェブサイト> URL最終閲覧日:2012.10.3
リサーチパネル「NHKの連続テレビ小説、初回から最終回まで見続けたことがありますか?」
http://research-panel.jp/rpdr/view.php?eid=219162
瞬刊!リサーチ ’12.9.30付記事
http://shunkan-news.com/archives/1023
NHK連続テレビ小説一覧
http://www9.nhk.or.jp/asadora/

以上