ザ・観光地( 後編) | バルタニウム

ザ・観光地( 後編)

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・ONSEN RYOKAN 山喜
(続き)
同時に、12歳以下(だったかな)の子供はお断りしているらしい。
また、館内は、ロビー近くに設けられた喫煙スペース以外は禁煙だ。
旅館もターゲットにより細分化されてきているように思われる。
・ファミリー向け
・団体客向け
・カップル向け
・ペットOK
などなど。そんなわけでこの旅館、部屋数が少ないこともあり、いたって静かだった。

こじんまりとした館内はいたってシンプルで、お土産コーナーもない。フロントに和の小物などが少し置いてある程度。
出迎えてくれたのは若い女性。彼女以外でも、結局館内では同年代しか見なかった。ここには「女将」はいないようだ。だが、その女性たちの応対がマニュアル的というわけではない。

案内された部屋は思ったより狭かったが、シンプルで居心地がよい。
寝室にはすでに初めから寝具がセットされている。これは双方にとって都合がいい。客にとっては「すぐに休むことができる」、旅館にとっては「敷きにくる手間が省ける→人件費節減」。夜食後、地元の学生と思われるバイトくんたちがやって来て意外に手際よく布団を敷くのも風物詩ではあったが。
温泉は加温加水なし。3回入ったが、そのうち2回は自分だけだった。結果的に貸切だ。

そして夕食。
夕食も部屋ではなく食事処で食べる。個室形式だ。これも双方にとって都合がいい。客にとっては「できたてを食すことができる」「用があるときに頼みやすい」、旅館にとっても「運ぶ手間が省ける」。食事処だとテレビが見れないという人もいるだろうが、せっかく旅先に来てるのにいつもと同じことではつまらない。テレビではなく会話メインの食事を楽しむのもよい。(もっとも、夜遅くのローカルCMなどは味があるが)
メニューはこんな感じだ。

食前酒
先附 長芋寄せ生雲丹添え
前菜 レモン羹、蛸と大豆煮、菊花浸し、いちじく胡麻あん、クリームチーズ酒盗掛け
椀物 鴨団子の茸汁
造り
焼物 郡司豚のスペアリブ
お野菜
蒸物 豆乳茶碗蒸
揚物 なすっ原産万願寺唐辛子の海老しんじょ射込
ご飯(那須産コシヒカリ)
赤出汁
水菓子 フルーツのゼリー寄せ
それ以外に那須牛のステーキも追加した。

やはり、スペアリブはインパクト大だった。食べごたえあり。だが、他の料理もそれぞれ味もよく完食した。
(フォトアルバムに写真upしています。下手な写真ですがよろしければどうぞ)

朝食はオーソドックスだった。が、出された搾りたて牛乳が甘く濃厚でおいしかった。いつもの牛乳は何だったんだ?という感じ。
この牛乳は、近くのハーレー牧場のものだそうだ。お持ち帰り用もあるので、お土産にいいと思う。

那須高原ハーレー牧場
http://www.nasu80farm.com/

朝食後、チェックアウト。リーゾナブルでなかなかいい宿だった。
ONSEN RYOKAN 山喜
http://www.yamaki-onsen.com

この「山喜」は、この本で見つけた。たまに?なのもあるが、なかなかいい宿を紹介してるのでお勧めだ。

Eiwa mook「美しきおとなの癒し宿」
英和出版社 880円

・さて、私たちは那須ガーデンアウトレットに向かう。昨日の夕食時に旅館の人に「土産物も売っている」と教えてもらったからだ。
アウトレットができたのはごく最近で、だからかまだ板室からの道は店なども少ない。途中で「たまご直売所」の手書き看板があった。こういうのに心惹かれてしまう。
静寂な緑の並木道も、アウトレットの登場でそのうち姿を変え、那須街道のようになってしまうのか…

・那須大学改め宇都宮共和大学(なぜに宇都宮)のほど近くに「那須ガーデンアウトレット」はあった。すでに駐車場は埋まりつつある。福島ナンバーなどもあった。
現在、アウトレットは、外資系のプレミアムアウトレットと、三井系との二つが主力で、どちらかといえばプレミアムの方が幅をきかせているらしいが、こちらは三井系だ。
外観はスペイン風。広々とした敷地内は、ほどよく客がばらけている。で、ここで普通なら心が弾んでくるんだろうが、なぜか反応しない。統一性のある店構え、見苦しい景観もないのに。アウトレットが楽しくないなんて私は化石か?
確かに、きれいだ。でも、ただそれだけだ。オシャレなスペイン風も、滑稽にも見える。初めから買いたい物があってそれを果たす手段としては有効だが、なんとなく歩いてるだけでも楽しい、という気分にはならない。計画的にデザインされていて街並みとしては美しいけれど、すべてがその枠内に収まっていて意外性やサプライズがないからだろうか。
それと、特に心惹かれるテナントがなかったからかもしれない。相方は「ナイキないの?」とか言ってたし。私もCOACHだけ見たけど買わなかった(衝動買いができないのよ~)
かといって、MARNIがアウトレットに出店したのは複雑だったなぁ。


・那須ロコマーケット
というわけでお土産探しに。
那須ロコマーケットは、8つのコーナーに分かれている。
まず一番初めに目に入るのはソフトクリームコーナー。これはいわゆる土産物屋ではお約束だが、そこから先が違う。
たまごやコーナー…卵専門店。生卵だけでなく、焼きたてバームクーヘン、グッズなども売っている
朝のまきば酪農コーナー…牛乳などからジャム類、さらにそれらを使った菓子類。「那須ロコ」のロゴがついたチョコレートなどが目をひく。
酒販コーナー…地酒やワインなど。栃木県にこだわってるらしい
那須観光物産コーナー…今までの土産物屋で売っているもの。那須の月もあった
農産物直売所コーナー…地域の農産物。葉のついたニンジンなどが目に付く
地元コーナー…豆腐やそば。
パンコーナー…大谷石の石釜で焼いている。地元素材にもこだわっている。
観光客も近隣客も地元民も満足できる構成。少なくとも土産難民と化していた自分たちにとっては救世主だ。さっそくドレッシングを買いあさる。1本420円2本で840円。土産としては充分体を成す。
だが、あまりによくできたコンセプトに、これホンマに地元の会社か?と思い、その場で検索してみた。すると

株式会社TTC
静岡県熱海市上多賀668番地
TTC GROUPは、観光土産品・特産物のトータルプロデュース実現のため、商品企画力、開発力の強化で、オリジナルブランドを創造し、ブランドの育成に力を入れています。
より高い価値を具現化するブランド構築力とお客様感動創造主義で、どこにも負けない確たるアイデンティティを持つ魅力的な新観光商業を築き上げていきます。
TTCグループ
(株)フジノネ(熱海市)、(株)つつじ庵(渋川市)…(中略)…(株)ロコマーケット

http://www.ttc-gr.co.jp/

てっきり生粋の栃木の会社だと思いこんでた(もっともロコマーケット自体は那須塩原市に本社がある)私は、騙された気がした。
ので、自宅用には大量に購入する予定だったドレッシングを2本だけに減らし、ブルーベリージャムと地酒「天鷹」、玉ちゃん餃子(玉ちゃんといえば、玉田圭司もしくは玉井商船だ。前者はともかく、後者を思いつくのは私だけだろう)というのを購入した。
那須ガーデンアウトレットでの買い物はこれだけにしたが、他には「那須ロイヤルベリーズ ファーム」や「サンクゼール・ワイナリー」でも、お土産になりうる物は売っているようだ。

那須ガーデンアウトレット
http://www.nasu-gardenoutlet.com/

・那須ロコが生粋のロコでないことにがっかりした私だが、帰り道に自宅近所の高級スーパーに寄ってふと思った。こういう東京の高級スーパーや百貨店に、ああいったドレッシングは売ってたりするよな、と。
だから、「東京で売ってるようなものをわざわざ那須で買った」とも言えるし、「東京で買ったか那須で買ったかだけの違いで、無駄な買い物ではない」とも言える。
ただ、今までの土産物は、旅先に売っているという限定感、土産物を買わないといけないという義務感で購入していただけで、それそのものに魅力があるわけではない場合が多かった。地元民も普段見向きもしてないだろうし、東京で売られていても買わないだろう。だから、仮に東京に売っていたとしても購買対象になりうるのは、今まで少なかった。
実際、ジャムは実がいっぱい入っていたし、ドレッシングも美味しかった。特筆すべきは、これらには添加物が含まれていないのだ。なお、とちおとめの濃縮飲料は、西方町農産物加工組合製造である。
このように、質も味もセンスもいい商品が土産物として大々的に売られるようになったら、今までの土産物は駆逐されてしまうだろう。事実、那須ロコマーケットの中の従来型土産物コーナーには見事に人がいなかった。連休で観光客多いはずなのに…。

・さて、東京では那須が近場と認識されているようだが、狭い近畿地方育ちの自分にとって、片道二時間強が「近い、早い」と言われてるのが不思議に思う。二時間強あれば京都行けるやん。同じような所要時間なら、私なら迷わず那須じゃなく京都あるいは大阪を選ぶ。交通費が違う?いや、東海道新幹線のあのアナウンスの声聞いた時の高揚感。それだけでも交通費の差は埋まるんです…。

(注。このブログの成分の99%は主観で成り立っています)