⒋
⑴
安世が休憩から戻ってくる。
安世は諸太郎を見て、
安「めちゃめちゃ、可愛い!」
安「僕、小学校一年生?」
吉「この見た目で、何で分かるんや!(苦笑)」
⑵
諸太郎が嘘泣きしながら事情を説明すると、
安「遊園地、行けなくて、かわいそう」
と小さな体で諸太郎の巨体を抱擁する。
安世の体に顔を埋め、吉田を見てニヤニヤする、諸太郎。
安「泣き止んだ?」
諸「…」
吉「嘘泣きやん!絶対泣いてない!」
その言葉に諸太郎が怒り、吉田を威嚇する。
諸「やるんか!」
⑶
喧嘩になりそうなところを安世が止める。
安「私、人を殴ったり、暴力は大嫌い!」
安「この公園でも、吉本組の人間が暴れたことがあったのよ!」
諸太郎が安世に、
諸「『吉田』も元ヤクザですよ」
大人の吉田を呼び捨てにする、小学校一年生の諸太郎。
安「…?」
吉「あーっ、僕もヤクザが大嫌いなんです!」
吉田が慌てて、諸太郎を呼び寄せる。
吉田は安世に聞こえないように、諸太郎に小声で、
吉「要らんこと、言うな!」
吉「安世さんに嫌われたら、俺、生きていけん」
諸「分かった。吉田、好きなんやろ?、安世ちゃんのこと」
吉「…」
諸「言うたろー!言うたーろー!」
吉「…ちょっ!」
諸「…先生に言うたーろー!」
吉「先生かい!」
⑷
諸「金や!」
吉「…えっ?」
諸「ばらされたくなかったら、金よこせ」
吉「ほんまに小学校か!?…なんぼ?」
諸「50円」
吉「かわいいなあ。(苦笑)」
諸「うまい棒、5本買う」
吉「今、消費税掛かるから、50円で5本買えんぞ」
諸「ほな、54円や!」
吉「54円って。(苦笑)……(少し考えて)…合うてるやん!」
小学一年生とは思えない計算力を見せる、諸太郎。
⒌
⑴
屋台で、紅生姜を切らしたよう。
吉田が新名に、
吉「それやったら、僕が買ってきます」
安「私が買ってくるわ」
安「吉田さん、働きすぎで体が心配」
安「吉田さんの栄養ドリンクも買ってこないと」
その様子を見ていた諸太郎が、
諸「ヒュー、ヒュー!」
諸「この部屋、暑くない?」
吉「おったなあ、そんな奴。(苦笑)」
子供時代を懐かしむ、吉田。
⑵
安世が買い出しに出掛ける。
安世はバッグを忘れていることが分かり、
新名がバッグを持ち、短距離走のように全速力で追いかける。
吉「…なんなん、今の必死な感じ。(苦笑)」
⑶
吉田と諸太郎、二人になる。
諸「安世さんも吉田のことが好きだと思う」
諸「だから、告白したら?」
吉田は諸太郎から視線を外し、客席の方を見て、
吉「そんな勇気無いわ」
吉「…それに、俺はこの生活が続いたらええと思ってる」
諸「…吉田、誰と喋ってんの?」
吉「お前や!」
⑴
屋台で、紅生姜を切らしたよう。
吉田が新名に、
吉「それやったら、僕が買ってきます」
安「私が買ってくるわ」
安「吉田さん、働きすぎで体が心配」
安「吉田さんの栄養ドリンクも買ってこないと」
その様子を見ていた諸太郎が、
諸「ヒュー、ヒュー!」
諸「この部屋、暑くない?」
吉「おったなあ、そんな奴。(苦笑)」
子供時代を懐かしむ、吉田。
⑵
安世が買い出しに出掛ける。
安世はバッグを忘れていることが分かり、
新名がバッグを持ち、短距離走のように全速力で追いかける。
吉「…なんなん、今の必死な感じ。(苦笑)」
⑶
吉田と諸太郎、二人になる。
諸「安世さんも吉田のことが好きだと思う」
諸「だから、告白したら?」
吉田は諸太郎から視線を外し、客席の方を見て、
吉「そんな勇気無いわ」
吉「…それに、俺はこの生活が続いたらええと思ってる」
諸「…吉田、誰と喋ってんの?」
吉「お前や!」
⒍
⑴
吉田と諸太郎が二人で話していると、
オレンジの派手なスーツを着た男・信濃(信濃岳夫)が現れる。
信濃は吉田を見て、
信「アニキ、探しましたよ!」
吉「…」
吉田は信濃のことを知っているようだが、冴えない表情で、あまり嬉しくなさそう。
⑵
諸太郎が信濃に尋ねる。
諸「お前、誰や!」
信「吉田さんの舎弟や」
諸「シャケ(鮭)ー?」
信「違う!舎弟!」
諸「どっからどう見ても、シャケやん!」
諸「切り身にしてくれてるし」
諸「シャケって言うより、シャーモン(=サーモン)やな」
諸「いただきます!」
諸太郎が信濃に噛み付こうとして、信濃が必死で避ける。
信「俺、食べたら、バケモンやぞ!(苦笑)」
⑶
信「キレんぞ!」
諸「だから、もう切れてるやん!」
信「ガキやからって、あんまナメたら!」
諸「カキやからって、生で食べたら?」
信「ガキやからって、そういうこと言うたら!」
諸「カキやから、醤油マヨで?」
信「…お前、更に太るぞ!(苦笑)」
信「しゃ!」
⑴
吉田と諸太郎が二人で話していると、
オレンジの派手なスーツを着た男・信濃(信濃岳夫)が現れる。
信濃は吉田を見て、
信「アニキ、探しましたよ!」
吉「…」
吉田は信濃のことを知っているようだが、冴えない表情で、あまり嬉しくなさそう。
⑵
諸太郎が信濃に尋ねる。
諸「お前、誰や!」
信「吉田さんの舎弟や」
諸「シャケ(鮭)ー?」
信「違う!舎弟!」
諸「どっからどう見ても、シャケやん!」
諸「切り身にしてくれてるし」
諸「シャケって言うより、シャーモン(=サーモン)やな」
諸「いただきます!」
諸太郎が信濃に噛み付こうとして、信濃が必死で避ける。
信「俺、食べたら、バケモンやぞ!(苦笑)」
⑶
信「キレんぞ!」
諸「だから、もう切れてるやん!」
信「ガキやからって、あんまナメたら!」
諸「カキやからって、生で食べたら?」
信「ガキやからって、そういうこと言うたら!」
諸「カキやから、醤油マヨで?」
信「…お前、更に太るぞ!(苦笑)」
信「しゃ!」
諸「しゃ!」
信「て!」
信「て!」
諸「て!」
信「い!」
信「い!」
諸「い!」
信「しゃてい!」
諸「シャケー」
信「うーんっ!」
両手のひらを上にし、全ての指を折り曲げて苛立ちを表現する、信濃。
諸「炙られてんの?」
信「お前には、俺がどう見えてんねん!?」
諸「シャケ」
信「シャケから離れろ!」
諸太郎と吉田が舞台袖に捌ける。
信「そういう意味ちゃう!」
信「集合!」
諸太郎と吉田が舞台袖から戻ってくる。
信濃が諸太郎に分かり易く説明する。
信「子分って意味や!」
諸「…おもんな」
信「アニキ、なんなんすか、このデカイの!?」
吉「訳あって、屋台の大将が預かってるんや」
⑷
信「アニキも、こんなとこで何してるんすか!」
信「花月組の『暴力王』と言われた男が!」
諸「マキバオー?」
吉「暴力王や!」
諸「ダッセー!」
『ダサい』と言いたいがために、吉田に異名を言わせる、狡猾な諸太郎。
⑸
信「花月組を立ち直らせることができるのは、アニキしかいないんです!」
信「組に戻ってきてください!」
吉「俺は戻らんて、決めたんや!」
信濃が屋台を見て、
信「こんなもんがあるから、あかんのや!」
と、屋台を蹴って怖そうとする。
諸「何、すんねん!」
信「しゃてい!」
諸「シャケー」
信「うーんっ!」
両手のひらを上にし、全ての指を折り曲げて苛立ちを表現する、信濃。
諸「炙られてんの?」
信「お前には、俺がどう見えてんねん!?」
諸「シャケ」
信「シャケから離れろ!」
諸太郎と吉田が舞台袖に捌ける。
信「そういう意味ちゃう!」
信「集合!」
諸太郎と吉田が舞台袖から戻ってくる。
信濃が諸太郎に分かり易く説明する。
信「子分って意味や!」
諸「…おもんな」
信「アニキ、なんなんすか、このデカイの!?」
吉「訳あって、屋台の大将が預かってるんや」
⑷
信「アニキも、こんなとこで何してるんすか!」
信「花月組の『暴力王』と言われた男が!」
諸「マキバオー?」
吉「暴力王や!」
諸「ダッセー!」
『ダサい』と言いたいがために、吉田に異名を言わせる、狡猾な諸太郎。
⑸
信「花月組を立ち直らせることができるのは、アニキしかいないんです!」
信「組に戻ってきてください!」
吉「俺は戻らんて、決めたんや!」
信濃が屋台を見て、
信「こんなもんがあるから、あかんのや!」
と、屋台を蹴って怖そうとする。
諸「何、すんねん!」
諸太郎がたこ焼きの鉄板の左右を両手で持ち、
信濃の頭に叩きつける。
信濃は仰向けに倒れ込み、体を痙攣させる。
諸「シャケがピチピチしてるわ」
信濃の頭に叩きつける。
信濃は仰向けに倒れ込み、体を痙攣させる。
諸「シャケがピチピチしてるわ」
吉「痙攣してるんや!」
諸太郎が吉田に、
諸「よっ!暴力王!」
吉「お前のせいや!」
暗転。
その4に続く