『オタク、恋してますか?』

[セット紹介]
『公園』

中央奥に、ラーメン屋台がある。

舞台上手に、喫茶フラワームーン(の入り口)。

舞台上手袖・下手袖最前部に、道。

 
 
 
[物語]
(敬称略)


舞台は、ラーメン屋台のある公園。

敬介(もりすけ)が現れる。
敬「ええ天気やなあ
ニコニコ

敬介は屋台を見て、
敬「誰も居てへんなあ」

敬介は舞台下手袖を見て、
敬「…それにしても、お父ちゃん、来るの遅いなあ」

敬介は父親とラーメンを食べに来たよう。


アルミ製の岡持ちを持った、ラーメン屋台の大将・烏川(烏川耕一)が現れる。

烏川は敬介を見て、
烏「お客さん?」
敬「そうですけど」
烏「直ぐに準備しますんで、前の椅子にお座りください
ニコニコ

烏川が急いで屋台の方にやってくる。
屋台の奥に行こうとして、右手の岡持ちで敬介の頭を叩く
ニヤリ
敬「痛ーっ!アセアセ
烏「どうしました?

敬「今、叩いたでしょ!
プンプン

烏川が敬介の薄めの頭部を見て、
烏「引き摺ったんか、毛抜けてますよ?
ニヤリ
敬「元々や!
プンプンアセアセ

烏「すみません」
烏「ラーメンをサービスしますんで、許してください
お願い
敬「それやったら、許します」


烏「一人でいらっしゃったんですか?」
敬「父と妹と一緒に来たんですけど、遅れてて」

敬「大将は一人で屋台をされているんですか?」
烏「今日からアルバイトを雇ったんですけどね」
烏「初日から遅刻しているんですわ」
烏「高校生の男の子らしいけど、知り合いの紹介なんで、どんな子か知らんのです」
 
 


烏川と敬介が話していると、
夏の男子学生服姿の藍五郎(酒井藍)が現れる。
藍「こんにちはー!
爆  笑

藍五郎は角刈りで眉毛は太く、口周りに円を描くように髭を生やしている。

ペットボトルを持ち、舞台の左右を行き来する、藍五郎。
藍「暑いですなー!」
藍「夏は暑いから、水分、取らな!
ニコニコ
と、ペットボトルを口にしている。

 

藍五郎が客席の上方を見て、
藍「夏が過ぎたら、直ぐ春や
ニコニコ

 

烏「秋と冬もあるけどね。(苦笑)」

烏「ほんで、どこ見て言うてんの?」


藍「春を思うと、遠くを見つめてしまうんやニコニコ

藍「♪こういう夢なら もう一度逢いたい」
藍「♪春が来るたび あなたに会える」
と、懐かしい歌(Hysteric Blue)を歌い始める、藍五郎。
烏「…(苦笑)」

藍「♪そういう気持ちを 忘れずにいたら」
藍「♪強く生きられるような気がして」
烏「もう、ええ!キリがない!(苦笑)」
笑い泣き


烏川が藍五郎に尋ねる。
烏「お客さんですか?」
藍「今日からのバイトっす!
ウインクニコニコ
烏「お前かい!タラー

烏「ほんまに高校生?(苦笑)」
笑い泣き
藍「俺は、花月高校三年の酒井藍五郎っていいますニコニコ
藍「俺のチャームポイントは…」
と、人差し指で口周りの髭を一周し、
藍「この立派な人差し指
口笛笑い泣き
烏「髭ちゃうんかい!タラー

人差し指をアピールするように縦にする、藍五郎
上差し
烏「20世紀少年か!
タラー
藍「おもろい、おもろい
ニヤリ」←遇らうように


敬介が烏川達に、
敬「お水、貰っていいですか?」
藍「嫌です
えー
と、ペットボトルを隠す。
烏「お前の飲みかけのやつ、ちゃう!
タラー

烏川が敬介にお水を出す。

烏「ペットボトル、キンキンに冷やしやがって。(苦笑)」
笑い泣き
ペットボトルをよく見ると、舞台用の空のものではなく、
水が凍っていることが分かる。

藍五郎は凍らしたペットボトルを敬介の頭の上に乗せる。
敬「冷たっ!
アセアセ


烏川が藍五郎に対し、
烏「初日に遅刻して、要らんことして…クビや!
プンプン
藍「そんな~!
ガーン
藍「俺、バイトして、どうしても買いたいもんがあるんです!
アセアセ
烏「…そこまで言う、買いたいもんて、何や?」
藍「漫画です!」
烏「漫画かい!
タラー

藍「俺、花月高校の漫画クラブの部長なんです」
藍「学校に予算が無いから、自分達で漫画を揃えなあかんのです」

藍「クビにせんとってください!この通りです!
お願い
と、手を胸の前で合わせ、合わせた手を中心に体を左右に揺らす、藍五郎。
烏「それ、やめろ!
タラー

話を聞いていた敬介が烏川に対し、
敬「許してあげたらどうですか?」
藍五郎が敬介に、
藍「要らんこと、言うな!
えー
烏「お前のために言うてくれとるんや!
タラー

烏「…しゃあないな。今回は、許そう」


藍五郎がエプロンを着けようとするが、なかなか終わらない。
烏「何、しとんねん」

藍五郎が後ろに振り向くと、手が回り切っておらず、紐を結ぶことができない。
藍「大将、お願いします!
アセアセ

烏川が藍五郎の後ろに立ち、エプロンを結ぶ。
烏「…これ、毎日せなあかんの?(苦笑)」
笑い泣き


烏川が紐を結ぶ間、藍五郎が女性モードになり、
目をキラキラさせ、客席斜め上を見ながら、
藍「星が綺麗やわ~
おねがい
烏「…」
藍「…って、アホかっ!(苦笑)」 
笑い泣き
照れるように一人でノリツッコミする、藍五郎。 
烏「こっちのセリフや!
タラー
烏「ええ加減にせえよ!」

藍「すいませんでした!
お願い
また、手を胸の前で合わせ、合わせた手を中心に体を左右に揺らす、藍五郎。
烏「じっとせえ!(苦笑)」
烏「自分のこと、石と思え!」
笑い泣き
烏「余計なこと考えんと、真面目に働いて」

 

 



一の介(島田一の介)が現れる。
一「お邪魔します~
ニコニコ
烏「一の介さん、こんにちは」
敬「お父ちゃん、遅かったな」

一の介と烏川は知り合いのよう。
烏川は、一の介と敬介が親子であることを初めて知る。

藍五郎が一の介に近付き、一の介の頭髪を見ながら、
藍「間違いない。親子です
ニヤリ
一「どこ見て、言ってんの?」
藍「…」
藍「ここ!」
と、一の介の頭に指を当てる。


烏「一の介さん、息子さんがいたんですね」
一「娘もいるんだが、二人とも恋人も作らず、フラフラ…心配で仕方ないよ
タラー
敬「俺やって、彼女ほしいよ!
プンプン


一の介の娘で、おかっぱ頭にした、直子(今別府直之)が現れる。

直子が父親・一の介と兄・敬介に対し、
直「二人とも、お待たせ
ニコニコ

藍「バケモン、来たで。(苦笑)」
直「…」
直子は客席の方を見て、
直「なんでやねーんっ!!!
ムキー
皆「…(苦笑)」

藍「何を撒き散らしたんですか?」
直「何も撒き散らしておりません
アセアセ


一の介は直子のことを肯定しようと、皆に対し、
一「直子、可愛いやないかい
アセアセ
烏「…可愛いですか?(苦笑)」
笑い泣き
一「…家族っちゅうのは、そういうもんや!(苦笑)」

藍「どう見ても、バケモン家族や
ニヤリ
烏「もう、言うな
タラー
 
更に『バケモン家族』の内訳に触れる、藍五郎。
藍「ハゲ(=一の介)、ハゲ(=敬介)、デブ(=今別府)、デブ(=烏川)って
ニヤリ
烏「俺を家族に含めるな!」
笑い泣き
烏「それ言うなら、お前(=藍五郎)もデブやぞ!(苦笑)」 笑い泣き


藍五郎の散々な言いように、怒り出す、直子。
直「こんなところで食べたくないわ!
プンプン
直「お父ちゃん、行くわよ!」
と、敬介の腕を引っ張り、去って行く。

一「間違えとるぞーっ!
アセアセ
一「バカヤロウ!
口笛
何人かのモノマネをした後、一の介も去っていった。

烏「…誰の真似か、全く分からん。(苦笑)」

藍「今のは、上田吉次郎と花菱アチャコと田中角栄です
ウインク

烏「高校生が何で分かるんや!(苦笑)」 笑い泣き

 

 

その3に続く