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⑴
便・新名・拓、気絶した珠代の四人。
便達が、気絶した珠代をテーブル下手寄りの椅子にもたれ掛けさせる。
便が何か思い付いたよう。
便「俺が珠代さんの後ろで珠代さんの声をして、今別府社長を説得する」
便「だから、社長をあまり近寄らせないようにして」
拓「分かった!」
⑵
今別府・智・記央が氷やおしぼりを持ち戻ってくる。
今別府が珠代に近付こうとする。
新「珠代さんに近寄ったらダメです」
今「何でや?」
新「それは…」
拓「それは、ブサイク病です!」
拓「最近、学会で発表されたんです!」
新名が今別府に聞こえないように、小声で、
新「そんなん、信じるわけないやろ…」
今「何だって!?」
今別府が珠代から距離を取る。
新「嘘やろ…(苦笑)。とにかく、今や!」
(名探偵コナンの解決場面のように)
便が高い声を作り、珠代が喋っているように見せる。
便『目が覚めたたい』
今「…たい?」
便『あっ、頭がい[『たい』!』
便『あなた、話があるの』
便『吉本ランドに…を、建設するの、熊本に』
素でいっぱいいっぱいな感じになる、便。
今「それは、嫌や!」
便『私に反対するの!?』
今「建てます!」
笑顔になる、便・新名・拓。
⑶
便が声真似していることに気付いていた記央が、便に対し、
記「流石ですね、声真似して説得するとは!」
思わず、便が立ち上がって姿を見せながら、高い声のまま、
便『声真似、してません!』
今「これは、一体、どういうことや!!」
今別府が激しく怒る。
血圧でも上がったか、今別府までよろめく。
気絶した珠代を奥で寝かせるため、
智が珠代の両脇を抱え、今別府とともに奥に向かった。
⑷
便「上手く行きましたね!」
新「どこがや!」
⑴
便・新名・拓・記央、四人で居るところに、
黒色スーツ姿の信濃(信濃岳夫)と諸見里(諸見里大介)がやってくる。
信濃が1m近くありそうな長い名刺を見せる。
新「色々兼任されてるんですね」
新「捜査係兼庶務係兼刑事課長兼高倉健…ダジャレですやん!」
信「高倉健さんが好きなもので」
信「名刺を返してもらえますか?」
新「名刺を返す?」
信「一枚しかないので」
スーツの中に仕舞おうとするが下からはみ出るため、
ズボン部分に仕舞う。
⑵
新「何の御用でしょうか?」
信「詳しい話は部下から」
信濃の部下、諸見里が話すが滑舌に問題があり、
全く聞き取ることができない。
結局、信濃が用件を伝える。
信「最近、この辺りで二人組による強盗事件が発生し、犯人が逃走しております」
信「手配書が出来たら、お持ちしますので」
諸「何かありましたら、連絡くだしゃい」
諸「電話番号は…」
諸「090-シャンシャンシャンシャン(3333)-ショーシャンクの空に」
信濃と諸見里が去っていった。
新「好きな映画、言うてただけやん!」
⑴
便は、強盗事件の犯人が逃走している話を知り、
社長を説得する新たな案を思い付く。
便「チャンスですよ!」
便「犯人が娘の安世さんを人質に取って、拓さんが助けるんです」
新「そんな、上手く行かんて」
便「そこは、本当の犯人じゃなくて、お芝居なんです」
便「どこかに一万円で犯人役をやってくれる人、おらんかなあ?」
新「今時、一万でやってくれる人なんか、おらんて」
そこに、宿泊客の啓之と令が客室通路から現れる。
啓「一万円あったら、もう一泊できるのに…」
皆「おったー!」
⑵
便が新名に尋ねる。
便「新名さん、一万円あります?」
新「えっ?俺が出すの?」
便「お願いします!」
新「あの~…財布、服に入れ忘れた。(苦笑)」
素のミスのよう。
新名は咄嗟に、テーブルの果物カゴを啓之に渡す。
新「これで、お願いします!」
便「さすがに、無理でしょう。(苦笑)」
啓「やります!」
啓之と令か犯人役を務めることに決まった。
⑶
便が演技プランを練る。
それは、
①啓之と令が安世を人質に取る
②拓「その子を放せ!」
③啓「金と逃走用の車を用意しろ!」
④安「助けてー!」
⑤拓「熊本県民は困っている人を放っておけない」
⑥拓「辛子蓮根ビーム!」→啓「ギャー!」と倒れる
⑦拓「馬刺し砲!」→令「ギャー!」と倒れる
⑧安世が助かる
⑨見ていた今別府が、熊本県民の人間性に惚れ、熊本に吉本ランドを建設する
というもの。
新「ビームなんて、信じませんって!」
便「大丈夫です!」
便「人間なんて、知らなかったら、ビームが出てると思うもんです!」
⑷
一通り、練習を終える。
新「ただの学芸会やん!」
便「大丈夫です!」
記「でも、犯人役の二人は身長が低いんで、迫力に欠けるかも…」
啓之と令は迫力を持たせるため、
目出し帽とオモチャのナイフを用意しに、梅田の街に出掛けた。
⑸
便「拓さんも熊本らしい衣装でいきましょう」
拓の衣装合わせのため、便・新名・拓・記央が客室通路に消える。
ホテルのロビーには、誰も居なくなった。