⒓
⑴
本番が終わり、落ち込む、信濃。
信「最悪や…」
信「一応、やり切ったけど…座長に合わせる顔が無いわ」
裕と諸見里が信濃を励ます。
裕「まあ、そう、落ち込むな」
諸「意外と良かった」
信「全部、お前らのせいや!」
⑵
演技を讃え合う、大道具の二人。
諸「しかし、 先輩が真希さんを追いかけて、客席に降りる場面は驚きました」
諸「お見事でした!」
裕「諸見里こそ、後半、サ行も完璧やったな!」
讃え合う、大道具の二人。
信「あんなん、アカンわ!」
信「お客さんが笑ってくれたから良かったけど…」
※補足
客席に居る真希を裕が追いかけた場面は、
劇中では直接は描かれていません。
⒔
⑴
早苗と早苗の父・芳伸が信濃の前に現れる。
芳伸は非常に険しい表情で、
太「久しぶりだね」
太「しっかり、見させてもらったよ」
信「…すみませんでした」
太「…」
太「信濃君…素晴らしかった!」
芳伸の表情が優しいものに変わる。
信「えっ?あれが?」
早苗の父に認めてもらえた、信濃。
⑵
病院で処置を受けた座長や座員たちはみるみる回復したようで、
皆が舞台に戻ってきた。
座長・佐藤が信濃に対し、
佐「信濃、大成功やったらしいな!」
マネージャー・真希も信濃の舞台を評価する。
前「凄かったわ!」
前「熱演に引き込まれた」
信「…はあ」
佐「どうしたんや?」
信「…いや、実感が無いんです。ただ、がむしゃらに演じていただけで」
⑶
佐藤が信濃に熱く語り掛ける。
佐「…俺はな、お前には才能があると、ずっと思ってた」
佐「ただ、一つだけ足らんもんがあるとも思ってた」
佐「…それは、『熱意』や」
佐「ピンチのこの状況で熱くなれたな、信濃」
諸見里も
諸「な、シナモン」
信「信濃や!」
⑷
今回の代役を経て、
『役者にとって重要なものは何なのか?』、信濃なりの答えが見つかったよう。
信「役者は、『役の大きさ』や『台詞の量』じゃないんですね」
信「どんな役でも一所懸命にやるのが役者。…やっと分かりました」
信「皆さん、これからもよろしくお願いします!」
佐「信濃、頼んだで!」
大道具の二人も続く。
裕「頑張れよ!」
諸「頑張ってくださいね!」
⒕ 終
⑴
真希が信濃に対し、
前「信濃さんが成長してくれて、ほんまに嬉しい」
前「座長は、いつも家で信濃さんのことを心配してたのよ」
信「…『いつも家で』?」
安世が口を開く。
安「あれっ?信濃さん、座長と真希さんが付き合ってるの、知らなかった?」
信「えーっ!付き合ってたんですか!」
失恋した裕が気を失い、倒れる。
信「死んだ?」
諸「ほっとこ」
裕が直ぐに起き上がる。
裕「そこは起こして!」
⑵
佐藤が信濃に対し、
佐「これから、色々な役を任せるからな!」
信「どんな役ですか?」
佐「次の作品タイトルは『おむつキャビンアテンダント』や!」
信濃はやる気に溢れているようで、
信「アテンションプリーズ。チキンorビーフ?」
片足の太腿を上げ、片足で立ち、
腰の前に両手を出し、人差し指を右に向け、
信「ヒーッ!」
⑶
劇団員のやりとりを見ていた諸見里は、
諸「…アホちゃう?」
裕に対し、
諸「先輩、この劇団には関わらん方が良いですよ」
裕「…」
裕は片足の太腿を上げ、片足で立ち、
腰の前に両手を出し、人差し指を右に向け、
裕「ヒーッ!」
劇団の輪に加わる、裕。
諸「あんたもかいっ!」
裕も、劇団吉本の芝居の魅力に取り憑かれたようだ。
終。
⒈ 公演タイトル『てっぺんとったんで!』
⑴
信「NMB48の曲のタイトルを使わせてもらいました」
信「開演時に流した曲がそうなんです」
⑵
信「大阪城の前で撮った公演ポスターも、その曲のジャケットを真似たんです」
信「ほんで、後から知ったんですけどね…」
信「劇場の支配人に『だいぶ、意識しとるなあ』と言われて」
信「ニューリーダー時代の内場さん・辻本さん・石田さん…」
信「3人で大阪城の前で写真撮ってるんですって」
信「そもそも、NMB48のジャケットは3人の写真を真似たものらしいんです」
信「巡り巡って、こんなことあるんやなって、驚きました」
諸「20年後、今度は僕らのポスターを真似る人が出てくるんですね」
乳首ドリルの攻め手側を初体験した、吉田裕さん。
リズム取りに相当苦労したそう。
諸「須知さんの苦労が分かったでしょ?」
諸「これからも受け手に徹してください」
新名さんが白髪のカツラを被った太田さんを見て、
新「寒爺(さぶじい)ですか?」
太「寒爺、ちゃいます」
⑵
新「あっ、皆さん、寒爺を知らないかもしれませんが…」
新「心斎橋の大丸で太田さんが単独イベントをした時のキャラクターです」
新「ズルズルにスベったやつです」
太「二度と単独イベントはやりません!」
新「そんなこと言わんと…」
新「ロボ寒爺とか、どう?…寒爺が死んでロボになるやつ」
太「ロボ寒爺も、やりません!」
信「吉本新喜劇に入って、もう一年くらい?」
ジ「この5月で一年です」
信「入ってみて、どうですか?」
ジ「一人だけ合わない人が居るん、ですけどー…」
ジ「瀧見さん以外は皆、良い人です」
皆「…?」
新「…それは、アメリカン・ジョーク的なやつですか?」
ジ「よく、分かりましたねー」
信「僕らより頑張ってくれた」
佐「ほとんど『素の僕』なんで、演じ易かったです」
諸「お子さんも産まれて、おめでたいですね」
観客の拍手
佐「ありがとうございます!」
諸「おめでたいと言えば、吉田さんと真希さん」
観客の拍手
諸「恥ずかしがってるんですよ。(苦笑)」
諸「『ここの台詞は後で一人でやっとくわ』とか言い出して」
裕「二度とやりたない!」
諸「内場さんとやすえさんみたいに、堂々とやったらええんですよ」
⑶
吉田裕さんが(話を切り上げようと?)観客に対し
裕「今後とも、よろしくお願いします」
5月予定とのことです。
⒈
・非常に挑戦的で、自己主張の強い公演タイトル
気合いの入った一大イベントになるのかな?と、観覧前は予想していました。
しかし、実際に受けた印象としては、
気心の知れた若手座員同士で結婚・出産を祝ったり、楽しんだり…
終始36.5℃の体温で展開するような、非常に緩やかなものでした。
⒉
今回の物語は、
①劇団吉本の座員・スタッフの紹介
②新喜劇の定番を集めた新喜劇風劇の『リハーサル』
③リハーサルとは少し展開の異なる『本番』
④恋愛の結末
という、普段の本公演以上に、非常にシンプルな構成でした。
上記シークエンスが総じて同じように緩い温度感で進行したため、
ある時点で物語が大きく展開し、まだまだ続くのではないか、
と、最後まで読めない部分がありました。
実際には終盤であった劇中劇本番を
物語の起承転結の『承』辺りの時間と捉えて、
物語の続きの時間を見積もった観客も多かったのではないでしょうか?
⒊
また、今回のような仰々しい公演タイトルについては、
今別府直之さんのような孤高のポジションの座員さんが主催する時の方が
クスッと笑えるタイトルになるのかもしれませんね
【吉田・信濃・諸見里の新喜劇 てっぺんとったんで!!!】 完