⒎
⑴
リハーサルスタート。
(※台詞『』は劇団吉本の劇の台詞)
いきなり、裸にブリーフ一枚の佐藤が現れる。
佐『俺は、うどん屋の店主・佐藤!』
佐『今日も一日、頑張るぜ!』
佐『ヒーッ!』
と、片足の太腿を上げ、片足で立ち、
腰の前に両手を出し、人差し指を右に向ける。
(※『ヒーッ!』のたびに、必ずこのポーズ)
裕「待て、待て、待てーっ!」
リハーサルを見ていた裕がツッコむ。
裕「何で、パンいち(=パンツ一枚)やねん!」
佐「いいでしょ?」
裕「こんな劇団、ちゃう!」
佐藤が裕に対して、
佐「今日は新しい一面を見せるんです」
佐「世界で通用するのは、下ネタ」
佐「下ネタと言えば、パンいち」
佐「パンいちの真逆が、うどん」
裕「…とんでもない方向に向かっとるわ」
⑵
リハーサル再開。
安世が現れる。
安『あー、お腹空いたー』
パンいちの佐藤が安世を見た瞬間、
『♪テロレロリーン』と一目惚れの音がする。
佐藤が安世に対し、
佐『なんて、美しい人だ!』
佐『まさに運命!』
佐『ヒーッ!』
安『お一人でお仕事をされてるんですか?』
佐『いえ、アルバイトも居てるんです』
佐『言うてたら、来ました』
⑶
アルバイトの清水とジャボリが登場。
ジャボリが安世に自己紹介する。
ジ『I'm from ~』
安『ネイティブ過ぎて、何喋ってるか分からん』
ここで、少し間ができ、笑いが起こる。
ジャボリが思い出したように、
安世に自己紹介しない清水に対し、
ジ『You speak!』
と、清水の頭を叩く。
清『痛~い!』
清『人の頭を叩くな!』
清水とジャボリが喧嘩になり、
ジ『もう、怒ったー!』
ジャボリが清水の服を脱がし、ドリザッパで乳首ドリルする。
しかし、ジャボリの叩き方があまりにも強く、
上半身はあっという間に真っ赤になり、
清「血ー出るぞーっ!」
ワキを叩く場面では、
清「腕、折れてまうぞーっ!」
リハーサルを見ていた諸見里が、
諸「全然、おもんない」
諸「どこが『リアルな心理描写』や」
⑷
ヤクザの新名と信濃が登場。
新『邪魔すんでー!』
信『邪魔すんでー!邪魔すんやったら帰ってー!あいよー!何でやねん!』
信『用があって来とんや!』
と、一人で台詞を言い切る、信濃。
アドリブを入れているつもりらしい。
新『安世に用や!金返さんかい!』
信『安世に用や!金返さんかい!』
信濃を見ていた裕が
裕「めっちゃ、足しにいっとるな!」
安『借金って、お幾らですか?』
新『100万円や!』
信『100万円や!』
安『そんな大金、返せません!』
新『ほな、事務所まで来てもらおうか!』
信『ほな、事務所まで来てもらおうか!』
二人で安世を連れて行こうとする。
⑸
その時、
佐『待たんかいっ!』
佐藤がヤクザ二人を殴り倒す。
新『くっそー!覚えとれよ!』
新名が去る。
信『くっそー!覚えとれよ!』
信濃は去らずに、その場にドヤ顔で留まる。
全て、信濃なりのアドリブなのだろう。
⑹
リハーサル、佐藤と安世の場面。
佐『大丈夫ですか?』
安『どうして私のことを助けてくださったんですか?』
佐『安世さん!あなたに一目惚れしてしまいました』
佐『僕とお付き合いしてもらえませんか?』
安『…』
安『ごめんなさい!』
佐『なんでーっ!』
見ていた裕が
裕「…そりゃ、パンいちでは無理やわ」
⑺
安『好きな人が出来たんです』
安『その人は…ジャボリさん!』
佐藤がジャボリに対して、
佐『ジャボリ、こういう時は分かってるやろな?』
ジ『はい』
安『ジャボリさん、お付き合いしてもらえませんか?』
ジ『…』
ジ『喜んで!』
佐『全然、分かってないやーん!』
エンディング曲が流れる。
エンディング曲に合わせて、信濃が『しなちゃんダンス』を踊る。
最後まで、アドリブを入れ切ったつもりだろう。
こうして、リハーサルが終了した。
⒏
⑴
佐藤はリハーサル内容に満足げ。
佐「皆、最高や!」
と、座員に握手して回る。
しかし、最後の信濃に対して、
佐「お前以外はな!」
と、ぶん殴る。
佐「いらん事ばかりしやがって!芝居を舐めんな!」
佐「お前の台詞は無しや!本番はただ立っとけ!」
信「そんな~っ!(泣)」
信濃は台詞を増やすどころか、台詞を失くしてしまった。
⑵
皆が休憩に戻り、裕・諸見里・信濃の3人に。
嘆く、信濃。
信「最悪やー!(泣)」
信「お父さん来るのに、どうしよう?(泣)」
信「他の座員が食中毒にでもならんかな?(泣)」
⑶
その時、真希の声がする。
前「たいへんよーっ!」
何と、清水とジャボリが食中毒で倒れたらしい。
二人が病院に運ばれる。
真希は『赤い箱』(=諸見里の差し入れ)を持ってきて、
前「楽屋にあった、このお菓子が原因らしいんです」
前「だから、食べないで!」
真希はお菓子の箱を屋台のセットに置き、楽屋に戻る。
⑷
裕が諸見里に対し、
裕「お前のせいやないか!」
裕「賞味期限とか、ちゃんと確認した?」
諸「…いえ」
諸「1998年に初めてバイトしたお金で、母親に買ったお菓子なんです」
諸「ひとつも食べてくれんかった」
裕「20年前のやつやないかい!」
⑸
看板座員が食中毒になり、
自分に出番が回ってくるのではないかと喜ぶ、信濃
座長の佐藤が舞台にやってきて、
佐「信濃、大事な話がある!」
信「仕方ないですよね」
佐「清水とジャボリに代役を立てようと思う」
信「仕方ないですよね」
佐「代役は…大道具二人(裕・諸見里)で行く!」
信「仕方な…えーっ!?」
信「中止にしましょう!」
佐「舞台の向こう側で待ってくださるお客様が居るんや」
佐「それに、大道具の二人やったら、代役出来そうやろ?」
佐「デカいのと(ジャボリ→諸見里)、ずんぐりむっくり(清水→裕)」
信「確かに…でも、中止にした方が良いと思います!」
⑹
佐藤が、諸見里と裕に舞台に立つ気持ちがあるか、尋ねる。
諸「やります!借金がありますし」
諸「役者も夢やったんで」
一方の裕は、後ろ向き。
裕「僕は裏方なんで、役者は…」
そこに真希がやってきて、
前「お願いします!」
裕「やります!」
⑺
代役が決まった佐藤は一安心する。
佐「良かったー!」
佐藤が屋台に置かれた『赤い箱』のお菓子に手を出す。
途端にお腹を壊す。
佐藤が信濃に対し、
佐「信濃~っ!後は、任せたっ!」
佐「俺の代役や!」
佐「俺の想いっ、受け取ってくれーっ!」
と、『白ブリーフ』を掲げ、力尽きる。
暗転。
その5に続く