任天堂製作。

 

2017年を代表するのみならず、

末永く語り継がれるであろう、歴史的傑作です。

 

 

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 3rd トレーラー  

 

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド 1st トレーラー  

 

 

魔王ガノンの厄災からハイラル王国を救わんとする、

ゼルダ姫と近衛騎士リンク(=主人公)の物語です。

 

(↑好奇心旺盛で研究熱心な、ゼルダ姫。

しかし、王族が持つべき特別な能力が開花せず、世間から『出来損ない』と言われ、

コンプレックスを抱えています。

手前は、主人公の近衛騎士リンク。)

 

 

画面の向こうに、広大な世界が待っています。

 

任天堂本社のある『京都市』のサイズを意識して作られたという世界は、

まるで地球のように、多種多様なロケーションで構成されています。

 

(↑スタート地点から見える、広大な世界のほんの一部の景色。)

 

 

『Breath of the Wild』=大自然の息遣い、といったところでしょうか。

 

フィールドのBGMは、

雨音や風の音、草の揺れる音、動物の鳴き声、虫の音といった

『環境音』が主となっています。

 

雨が降り風が吹く中で、様々な動植物が呼吸し、

狩りをし、食材を集め、火をおこし、料理を口にする…

トゥーン調に近いタッチでありながら、

現実世界宛らのリアリティが徹底的に追及されています。

 

ゲームであることを忘れさせ、

ハイラル王国というファンタジー世界で自分が生活しているような錯覚を覚えるほどの

尋常ではなく作り込まれた世界です。

 

(↑時間・天候の変化により、景色が変遷します。

画像中央の空には、流れ星が見えますね。

右方向には、宙を泳ぐ金白の龍が…)

 

(↑生物にも、生活サイクルがあります。

魔物が鼻提灯を作り、いびきを立てながら睡眠しています。)

 

(↑調子に乗っていると、足音で気付かれてしまいました。)

 

(↑気温の変化も。…寒っ!

このままでは体力が減っていきますが、

防寒着にしたり、体が温まる料理を食べると寒さに強くなります。

このように、時間・天候・気温が遊びの部分にきちんと反映されています。)

 

 

見える景色は、手の届かない背景ではありません。

世界の全てを縦横無尽に探索できます。

全てのオブジェクトによじ登ることが可能なのですね。

 

目の前に山があれば、山道を進むもよし、崖をよじ登るもよし。

登頂すると、そこには新たな景色が広がり、新たな冒険が待っています。

もちろん、登山を強制されることはなく、山を迂回しても構いません。

 

(↑具体的に、大きな山が裂けて断崖になったような『双子山』の頂を目指してみます。)

 

(↑双子山の断崖をよじ登っています。

下を見ると…汗。現実では、なかなか体験できないことですね。)

 

(↑双子山頂から見た景色。

遠景から、途方もない広さであることが何となく伝わるのではないかと思います。

当然、画像の左右にも奥手にも、世界が広がっています。)

 

(↑山頂から、パラセールで滑空。楽々!)

 

 

プレイヤーが考え付くアイデアは、大抵、ゲーム内で実現することができます。

 

一例として、『火』を挙げます。

 

まず、火をおこす方法として、様々な方法が考えられますが、

例えば、薪と鉱石を置いて、金属製の武器で鉱石を叩く方法ですね。

叩くと火花が飛び、薪が燃えます。

 

 

 

火をおこせば、集めた食材で様々な料理を作ることができます。

(食材も、料理も、信じられないほどの数が用意されています。)

 

料理は体力回復手段になるほか、

様々な効能があり、冒険を有利に進める手助けになります。

 

 

 

『矢』の先端を燃やせば、『炎の矢』になります。

炎の矢で火薬樽を射抜けば、樽が爆発します。

炎の矢でリンゴを射抜けば、『焼きリンゴ』になります。

(リンゴを火の中に投入しても、同じように、焼きリンゴになります。)

 

草を燃やせば、風の向きに沿って延焼し、

敵を追い込むことができます。

また、熱により上昇気流が発生し、パラセールで空に舞い上がることができます。

 

寒い地域でも、松明があれば、体力の消耗を防ぐことができます。

松明を氷に近付ければ、氷が溶けていきます。

 

雨が降れば、火は消えます。

 

このように、ゲーム内の様々な要素が相関関係になっていて、

プレイヤーの試みに対する反応があり、掛け算のように遊びが広がっていきます。

 

(↑松明の火を見ると、画像の右から左へと風が吹いていることが分かりますね。

風向きを利用した遊びでは、松明で風向きを判断することも有効です。)

 

 

ハイラル王国を救う物語のゴールはあるのですが、

その過程が敢えて順序立てられておらず、

プレイヤーの自由意思で広大な世界を旅していきます。

プレイヤーの数だけルートがあると言えますね。

 

広大な世界には、これでもかという量の遊びが鏤められていて、

目指した先には必ず新しい発見や見返りがあります。

 

なお、ゴール地点は最序盤に明示されます。

スタート地点から目視できる場所にあり、

脇道に逸れても物語を見失うことがないよう、配慮されています。

 

(↑左方向に見える、赤色の禍々しいオーラに包まれたお城が

分かり易く示されたゴール地点。)

 

(↑お城の前で記念撮影。

ディズニーランドとシーのようですね、笑。)

 

 

一方で、フィールド全体として見ると、起伏に富んだ立体的な地形になっていて、

山や丘がプレイヤーの視界の壁となり、

近付かないと先が見えない作りになっています。

 

(↑あの先には何があるのだろう?…プレイヤーの好奇心をくすぐる作りですね。)

 

 

自由に旅を続けるうち、

メインストーリー以外に、もう一つの物語が見えてきます。

それは、『プレイヤーの冒険そのもの』ではないかと思います。

 

最初は、厄災ガノンを倒して世界を救うために旅をしているはずが、

「まあまあ、ガノンさん。世界中を冒険して回ってくるので、焦らずのんびり待っててね!」

と思い始める時が来ます。

そして、メインストーリーを完結させることが惜しいと思えてきます。

いつの間にか、ハイラルの世界に魅了されているのですね。

 

そうなると、時間がどんどん溶けていきます。

 

何の目的も持たず、ただ草原を駆け抜けているだけでも、

景色を眺めているだけでも凄く楽しいです。

美しくて、優しくて、ポジティブで、心地よいです。

「ずっと、この世界に居たい」と思ってしまいます。

 

(↑野を駆け)

 

(↑馬を走らせ)

 

(↑川を泳ぎ)

 

(↑写真撮影して、ハイラル図鑑を完成させたり)

 

(↑赤い月は不吉な予感…)

 

(↑砂煙が舞う中、今作を代表する強敵、ガーディアンと対峙。

『七人の侍』か、『荒野の用心棒』か…という雰囲気ですね。

心の中で、足が震えております。)

 

 

(↑サクラダ工務店の棟梁、オネエ口調のサクラダ。

入社条件は、名前の最後が『ダ』であること、笑。)

 

(↑若返りの研究で若返りし過ぎてしまった、シーカー族のプルア。

研究所の所長で、実年齢は120歳超のお婆ちゃん。)

 

(↑音楽家兼うんちコレクター、コログ族のボックリン。

…等々、世界を彩る魅力的な住人たち。)

 

 

以上のように、圧倒的な物量とアイデア、自由度がそこにあります。

 

それでいて、老若男女、皆が楽しめる間口の広さも兼ね備えています。

(69歳の水木一郎さんは、今作を1,000時間プレイされているそうです。)

 

 

ゼルダの伝説を遊ぶことができる『Nintendo Switch』は、

TVモード・携帯機モードを瞬時に切り替えられるゲーム機で、

この規模の作品を持ち出して遊べることも驚きでした。

 

スリープ機能で中断した場所から即時再開できる点も特徴で、

ゲーム機の起動自体、恐ろしく速いです。

(中断スリープ状態から、ハードを起動し、ゲームを再開するまで、数秒程度です。)

 

ゲーム以外の余計な機能を省き、遊ぶまでの時間的ストレスを極力排除した設計のため、

遊ぶことが億劫になりません。

 

携帯機モードにして、寝る前に布団の中で10分だけ、といったように

時間が無い日も、短時間で気軽にゲームを堪能できます。

 

寒い時期は携帯機モードが特に有難いですね。

 

 

Nintendo Switchの世界的大ヒットは、今作の貢献度も非常に大きいと感じます。

 

また、エポックメイキングな今作によって、ゲームの未来が切り開かれたように思います。

 

世界中のゲーム賞を総なめにしている今作は、

世界最大のゲーム賞・The Game Awardsでも、年間最優秀作品賞を受賞しました。

これは、日本の作品としては、12年ぶり2度目の快挙なのだそうです。

 

The Game Awards 2017 Orchestra and Game of the Year Winner: Zelda

(↑6:05辺り~、年間最優秀作品賞の発表場面。

天国に居る岩田聡さんにも吉報が届いているといいなあ照れ)

 

 

個人的にも、2017年のエンターテインメント関連では、

今作に最も感銘を受けました。

 

まさか、子供のようにワクワクする作品に出会えるとは思いませんでした。

 

(↑限定パッケージ版を追加購入したり、

設定資料集やamiiboと呼ばれるフィギュアまで集めたり。

ドはまりしてしまいました。)

 

 

海外の大手チームでも製作できないような質量の作品を

よくぞ、頓挫せず、破綻無く作りあげたものです。

 

莫大な製作費が掛けられているのでしょうが、結局は人の力。

優秀な人材、ビジョン、モチベーション、チームワーク、

全てが高次元で作用しているのだと思います。

 

青沼英二さん・藤林秀麿さんを始めとするスタッフの皆さんに感謝!感謝!感謝!です。

 

 

 

「次の『ゼルダの伝説』まで、また頑張ろう」

そう思えます。

 

そして、一人でも多くの方に届いてほしい作品です。

 

 

文字通りの『伝説』を体験してみませんか?