一人とネジ巻きの世界 2
何日という概念はなく何ヶ月という意識もないまま少年は日々を過ごしていた
特に何かしなくてはいけないことがあるわけではなかった
神様は
自分の好きなときに時間を動かし
自分の好きなときに世界をまわし
自分の好きなときに始まりと終わりの結果を刻んだ
彼にとってはそれが当たり前だった
誰かの意思が介在することなく
ただ自分の思い描く答えこそが答えで
自分の思い描いた未来こそが絶対で
すべて自分の中に思い描いた形がそのままに世界だった
そんなある日
今までやっていたTVゲームに飽きてきたので別のゲームを取りに行こうと
少し離れた部屋までとりに行くことにした
部屋はたくさんあってそのそれぞれに、必要なものが置いてあった
本がたくさん置いてある部屋
食べ物が作られている部屋
楽器が置いてある部屋
ちなみに今、生活しているのはベットが置いてあった部屋だ
そこにいろいろな部屋から必要なものを持ってきて生活している
そんな神様もここにある部屋のすべてを知っているわけではなかった
同じものが置いてある部屋がいくつもあることだけがわかっていたが
ここはあまりにも広く
迷宮の用に入り組んでいたので
そのすべてを知ることはできなかったし
同じものがいくつもあり必要な場所だけ知っていればそれ以上は必要なかった
さて、ゲームソフトを取りに来た彼だったが
部屋に入った瞬間ふと違和感を感じた
一人とネジ巻きの世界 1
世界は無機質な色
淡い灰色をした壁に仕切られた
部屋がいくつも、いくつも連なる
不思議な世界
外のない建物の中のような閉じられた世界
そんな場所に鍵を持った一人の少年が生活していた。
この世界のものはすべてネジ巻きのための穴が空いていて少年のもっている
鍵をぐるぐると回せば止まっていた時間が動き出すのだ
凍りついたコンロには熱く火が揺らめき
俯いたコンポは歌を歌い
笑わないテレビは物語へと道をつなげる
沈む暗がりは明かりへと流れでていった
そのさまは、まるで時間を操るようで
全知たる神のような鍵だった。
神さまは一人だった
少年は気がついたときから一人でここにいた
はじめから、鍵を持っていて、世界を動かす方法を知っていた
彼は、一人の世界の神様として存在がはじまっていた。