高句麗神社の向かって左側にはお寺があります。やはり高麗神社と同じように正面では将軍標(しょうぐんひょう/ジャンスン)が出迎えてくれます。お寺の正式名称は高麗山聖天院勝楽寺(しょうらくじ)で、寺の門の前には日本語と韓国語の案内文もあります。案内文によると751年に「高句麗王 若光(じゃっこう)」を祀るために建立されたとあります。
寺に入るとまず高麗王廟が目につきます。ここが1300年前に亡くなられた若光さんのお墓です。韓国のお墓のように土を盛った山のようなものではなく、ほこらのようになっており中に石の塔があります。韓国から来た方もいるようで、ハングルで書かれた絵馬も幾つか見られました。
また、寺の奥には‘在日韓民族無縁慰霊塔’があり、第二次世界大戦当時に亡くなった身寄りや知人等のない韓国系の人たちが祀られています。在日の韓国系の人たちにより建てられた石塔は日本では最大の石塔で、それだけ同胞を偲ぶ気持ちが表れています。
この慰霊塔を中心とした広場を取り巻くように韓国の偉人たちの石像が飾られており、朝鮮の太宗をはじめ、5万ウォン札に採用され有名になった申師任堂(シンサイムダン)のものもありました。韓国でもよく見かける八角亭はソウルのパゴダ公園内にあるものの縮小版として作られているそうです。また、お寺の位置も韓国の風水に基づいて建てられているそうです。
そのせいか勝楽寺はほんとうに眺めのいい高台にあり、清水の舞台・・・はちょっと言い過ぎかもしれませんが、日高市、飯能市を一望に見渡せます。
今回は見に行きませんでしたが、その他にJR高麗川駅や西武秩父線高麗駅にも将軍標があります。また、お正月は公開されていませんでしたが、国指定重要文化財である高麗家住宅も見学できます。この住宅は神社の宮司を務めた高麗家の人が住んでいたもので、埼玉県では最も古い茅葺屋根の家とされています。
そして2016年にはこの地方が高麗郡と呼ばれるようになって1300年目にあたります。高麗神社ではこの年「高麗郡建郡1300年記念事業」を計画しているそうですので、訪問してみるのも面白いかもしれませんね。
若光さんの像も町を見渡せるいい位置にありました。
となりの国であるけれど、海の向こう。近いようでもあり、遠い国でもあった韓国がなんだかより身近に感じられる、いいお正月になりました。
おわり