同棲生活は順調でした。毎日英治が仕事行く前に起きてお弁当を作って、送りだしたら英治のお母さんがやってるたこ焼き屋さんのお手伝い。

ほとんど毎日同じことの繰り返しでした。でもとても幸せでした。穏やかな毎日が久しぶりに訪れたようで。

もちろん紅葉とも同居になるわけなので、毎日いろんな話をしていました。

するといつの日からか、紅葉の会話の中である男の子の名前が出てくるようになりました。

3年の小原。サッカー部の子らしくなんと私と同じクラスの子だったのです。



紅葉はその子に恋をしたようでした。結構背は高くて優しそうな感じの子。


私は紅葉がどうしてもとゆうので翌日学校に行くことになりました。そしてそのことの接点をつくってあげることにしました。



翌日朝紅葉と一緒に久々に登校しました。

私は午前中は保健室で過ごしました。ヨッピーとも久々に会いました。


噂で私が英治と付き合ったことを聞いたようで、それが本当か確かめたかったらしく私が来るのを毎日待っていたそうです。



そしてそれが事実だと知ると少しさみしそうな顔をしていましたが、でもまだ結婚したわけじゃないし、いつかチャンスがあるかも知らんしとかいいながら、うまくいくといいなぁ・・・なんていってくれました。


昼休み3年の男子はほとんどの子が柔道場であそんでいました。ってゆうか昼寝をするには畳の上は最適なんでしょう。そこで私はその柔道場に行きました。そこに小原もいることは紅葉はすでにリサーチ済みだったようで私はただそこに探しに行くだけでした。



入っていくとみんな驚いていました。女子がここに来ることはほとんどないので男子たちは読んでいたエロ本をサッと隠したりと・・・・・。




ひとりの同じクラスの男子が声をかけてくれました。「まっちゃんどないしたん?誰か探しとるんけ?」

「うん。小原来てる?」




「何?」隅の方から声がしました。「あんなぁ・・・ちょっと話したいことがあるから時間くれる?」

「いいよ。」



そして柔道場をでてすぐの所で、「突然で悪いねんけど、今小原付き合ってることか好きな子おる?」

「・・・本間に突然何で?」  「いいから答えてよ」


「いやおらんけど・・・。」「じゃあさ友達になりたいって子がおるねんかぁ。なったげてよ」


「うん。いいけど誰?」  


そこに隠れて待っていた紅葉が来ました。

「この子。1年の池島 紅葉」  「あっあのよろしくお願いします!!」

その日から二人はだんだんと親しくなっていくのでした。

母は私がここに越してきて初めて怒っていました。

でも私もここに越してきて母と久しぶりの生活になるべくもめ事を起こさないようにしてきたつもりでしたが、ここにきて何故家に帰ることを拒みだしたか・・・。ちゃんと訳がありました。



あれは先週の日曜日母とおじさんと三人でおじさんの友達のところへ遊びに行きました。


佐々木さん一家のところへ。そこにはおじさんの友達とその息子達が。

長男の直人君、彼は私と同じ中3でいかにもガラの悪そうな感じでもう一人は二男の勝也。小学6年生。みんなで近くのスナックに飲みに行きました。


大人たちは私たちが未成年にも関わらず、お酒を堂々と飲んでいても見て見ぬふりでした。

それでもみんな楽しく飲んでいて私は同級生とゆうことで直人とはすぐに仲良くなりました。

そして私たちはお互いのPHSの番号を交換しました。

そしてその日の晩家に帰りすっかり酔っぱらった私はすぐに母が引いてくれていた布団に入り眠ってしまいました。次の日は学校を休み母と家の用事をしていた時、家に電話がかかってきました。「綾ちゃん!!悪いけど電話出てくれん?」  「分かった」


「ハイ、もしもし・・?」


「・・・・・・・・・。」


「もしも~し?」


「綾ちゃん?おっちゃんやけど。綾ちゃんに謝らなければならないことがあります!」


「・・・・・・。なんなん?改まって。」私はなぜか胸騒ぎしました。


「あんなぁ・・・。昨日・・・・あまりに綾ちゃんの寝顔が可愛くて・・・・。」

何をゆってんの?このおっさん。バリキモイ。私はすごく嫌な気分でした。「なんなん?」


「キスしてしまいましたっ!!」


私はその言葉を聞いた瞬間怒りよりも憎しみよりももっと違うものを感じました。

「何ゆうとん!!キモイねん!!」


私はそんなことを聞かされてどうしたらいいのか分からなくなりました。

おっさんは母の再婚相手で旦那。でも私から見ればただのおっさん。他人なんです。

もう母の顔をどう見たらいいのか判りませんでした。

でもそれと同時に母までも恨めしく思いました。

母の男を見る目のなさに・・・・。

母はなぜ父と私たちを捨ててまでこんなろくでもないおっさんを選んだのかよくわかりませんでした。

「綾ちゃん誰から電話やった?」  「いたずら電話・・・・。」  「そう。」


言えるわけがありませんでした。なぜか言ってしまうと私が大阪に帰ることは抵抗はなかったんですが、母を恨む気持ちと同じぐらい悲しませるのも嫌だと思ったのです。

でも母たちと同じ家にいることが怖くなったのです。これ以上に私を女として見られたらと思うと怖かったのです。

その事があってから少しずつ会話をしなくなり、母たちが寝たころに帰るようになったのです。みんなが寝た後なら安心して眠れたからです。


でもこんな理由で無断外泊をしたなんて言いたくありませんでした。

私は母の質問にも答えませんでした。


そして私は母が仕事に出かけてから、少しの荷物をまとめて英治の家に向かいました。




そして英治にすべての事情を説明したら「もうお前帰らんでいいやんけ。俺がなんとかするしお前今日からここに住めや。」

そういったのです。でも英治も親が居るし何より私は中学生だ。

「でも、うち・・・。」

英治が突然立って1階へ降りて行きました。私もついて降りると、英治はおばさんに

「おい!おかん。こいつ今日からここに住ますから。」

「あんた何ゆってんの。その子まだ中学生やろが、学校もあるし親もおるんやろ。そんなんあかん」

当然の答えでした。でも英治は必死でおばさんを説得していました。

そしてこうなった事情までも話していました。するとおばさんは「まぁええは勝手にし、何かあったときは自分たちで乗り越えなあかんで。」



3時間ぐらいにわたって説得してくれたおかげで私たちの同棲生活は始まったのです。

最初の三日ほどは英治の家から学校に行きました。英治は働いていたので、私はおばさんと一緒に晩御飯の支度をしたりたこ焼き屋さんをしていたのでお店のお手伝いなんかもしていました。


でもさすがに3日目になると母からPHSに電話がなるようになりました。

「もしもし?綾ちゃん。あんたいったいどこにいるの?もう心配かけんといて」

「大丈夫、変なとこにはおらん。彼氏んちにおる。野洲からは出てないから。」

母はため息をついていました。

「何かあれば連絡するから」

私はただ一言そう言い残し電話を切りました。

みんなでブラブラと歩いていると英治が声をかけてきました。

「なぁ綾香今付き合ってるやつおるんけ?」

「今はおらん。まだ忘れられん人おるから・・・・。」

少しの沈黙の後・・・「あぁなんか聞いたことあるわ、前の彼氏死んだんやろ?病気?事故?」

「事故。バイクで・・・暴走してて」


「そっかぁ。ごめん聞いて。でも死に別れやったらなかなか忘れられんよな。」

「うん・・・。でも前に進まんとあかんのはわかってるねん」

そう前に進んで生きていかないとだめなんだといつも思っていました。

その時に英治が言ったのです。「まだ忘れられへんのもわかる。だから今すぐ好きになってほしいとか言わんし、俺と付き合ってみいひんか?」

私は驚きのあまり声が出ませんでした。私が翔と付き合ったきっかけもこんな感じでした。

この人やっぱり似てる。こんなことで人を選んでいいのか分からなかったけどでもこの時この人なら前に進ませてくれるかも知れないと思ったのです。


「ほんまにいいの?うちで・・・。まだ他の人を思ったままやのに」

「ええよ。まだ生きてる人が相手やと変な嫉妬してあかんけど、もう二度と会うことできんのが相手なら我慢できるし」


「それになんかいまじゃないとあかん気がすんねん。」

「わかった。じゃよろしく」

「おっしゃぁ~!!」いきなり大声で叫ぶからびっくりしました。


「なんやねん!!英治急に大声出しよって。」

みんながびっくりしてきいてきました。

「あんなぁ今から綾香は俺の女やし誰も手出すなよ!!」

「はぁ~?マジで!!ほんまにこいつでいいんか?」

一人がこう言いました。「うん・・。ええよ。」

「だって英治今まで女と付き合ったことないねんで?チェリーボーイやぞ?」

はい?そうなんや・・・見た目的になんか女になれてそうな感じがしたのに・・・。見かけによらんもんやなぁ。

「別にいいんちゃう?うち色に染まるってことやろ。笑」

私がそう言い笑っていると、紅葉が「えぇ兄貴が綾香さんの彼氏になんの?なんか複雑」


そっかうち紅葉の兄貴と付き合うことになんねんなぁ・・。なんか変な感んじ。

その日紅葉と英治が家に泊まりに来いとゆうので泊まることになりました。

その日の晩遅くまで3人でいろいろ話しました。英治が聞きたいと言ったので、翔との出会いから別れまでも。すると紅葉が「綾香さんよくそこまで元気になれたね?翔さんは幸せやったね。最後に付き合えたのが綾香さんで。最後まで愛されて亡くなったんやから」

そういってくれて私は本当に救われました。英治も「そうやなぁ・・・。男としても羨ましいわ、惚れた女残して行くのは辛いけど、一番いい時に最後迎えられたやろうし。これからはそいつの分まで俺が頑張るわ!」

「兄貴で大丈夫なん?」

ほんまにこの兄弟は仲がいいんやなぁ・・・。そんな感じでした。

そろそろ寝よっかぁなんて話していたら、紅葉が自分のスペースのところに布団を引いてくれていました。すると「おい。紅葉綾香は俺と寝るから。」

「はぁ?なんで兄貴となん。うちのとこに遊びに来たのに。」「いいのもう俺の彼女やねんから」

そんな言い争いをしていましたが、結局私は英治と寝ることになりました。

そして布団に入ってコソコソと話をしていると、「なぁ、キスしてもいい?」そう尋ねられました。

私はそんなこと聞かれたこともなかったし、翔としか今までもキスはしていませんでした。

体を売ったあのときにも・・・。でもそっかぁ・・・英治初めて・・・?

私は無言のままそっとキスをしました。なんか不思議な感じでした。初めてじゃないのに初めてのような。すると「柔らかい・・・・。」私は思わず笑いそうになりました。だってそんな少女マンガのような感想生で聞けるとは思わなかったから。するとタンスを隔てた向こうから大きな笑い声がしてきて

「兄貴キモイから・・・柔らかいって。ないわ・・・笑」

「うるさい。しゃーないやんけ」

英治は照れながら布団の中に顔をうずめていました。私も知らず知らずと眠っていたようで、気がつくと朝を迎えていました。

朝になって家にでも帰ろうと思い、英治に声をかけてから私は英治の家を後にしました。


家に帰ると母が待っていました。

「綾ちゃん。あんた昨日は帰らんと何所にいてたん?心配してたんやで」

私は滋賀に来てから夜抜け出すことがあっても帰らないことはなかったのです。