休暇中のロンドンでは
教会で、ベビーシッターのボランティアをしていました。
礼拝中の親御さんの子供を預かるのです。

ベビーシッターといえば、故ダイアナ妃も独身時代
保育園でついてた仕事ですが
多くはフィリピンやタイ、中東からの出稼ぎの人々にポピュラーな職のようです。

だから、私のように教会で無償のボランティアをしたり
個人的に頼まれた家庭の玄関で
脱いだ靴(英国人も子供のいる家庭は、靴を脱いでる)が
Jimmy Choo

だと、けっこう驚かれました。
で、二回目に頼まれた日の到着時、
たまたま電話中だった家人(ベビーのママ)が
私に気付いて通話中の相手に口をついて出たのが
タイトルの言葉。
思いっきり聞こえてましたよ(怒)
たまたまセールだったから奮発しただけですが、
たしかに靴は健康を左右するもの
それ以上に人となりの評価にも影響するので
多少こだわっていいのではないでしょうか。

しかしこの、使用人が主人より良いものを身につけてるという
下剋上(?)
20数年前の留学時、既に日本人ベビーシッター社会では、普通でした。

当時は1ポンド250円(現在150円弱)の時代ですから
留学生は裕福な家庭のオシャレな女子大生達が多く
彼女達のバイト先ベビーシッター家庭の駐在員奥様の方がはるかに地味だったのです。
商社マン夫人だけが元CAなど眩しいほど華やかで、
あとの金融やメーカーの奥様達は大変素朴な方達でした。

ある日、お嬢様でもなく勉強熱心でもない
ビートルズ好きが高じてロンドンにいる私が
シッター先の赤ちゃんと遊んでると
その家の奥様がおにぎりを出して下さり
「あなたってOO出身なんですってね。
OOさんが同窓生だって言ってたわ。(どこで調べたんだか
お嬢様なのね~」
おにぎりに夢中の私が
「いえ、私は父を亡くしたばかりで、
母が無理して来させてくれたんです。
 最初に持たされたチェック以外仕送り受けてないからジャパンセンターの日本食は夢なんです。」
と本当のことを話したところ
そこの奥様目をキラキラキラキラさせて喜び
「あらま!あなたも お金のない家の子なのね。私も東北のA県で生まれ育ってトラクター運転して、なんとかかんとか・・・
高校出てOO銀行に入って(本当にこんな人ばっかりだった)、主人つかまえて、なんとかかんとか・・・(話長い
こんなとこ連れて来られて(不本意らしい)
私達、なんか気が合いそう。仲良くしてね~」
かくして、めでたく(?)貧しい子認定された私は、ある家庭に移るまで
いろんな駐在員家庭で日本食をご馳走になりながら
帰国まで食に困ることなく過ごせたのでした。
さらにハンパなく負けん気の強い(北国の女性は
根性がある!)奥様たちは、
商社の元スッチー(死語)夫人に一方的に対抗して
買い物しまくるのですが
どこか洗練されず残念なかっこうをしておられました。
なぜか神戸出身というだけで
奥様の買い物に同行して服装をコーディネイトしてほしいとスタイリストもどきのバイトを頼まれた私
こちらとてファッションに何の専門知識もなく
流行に疎い素人の学生
自分自身も着たきりなのに、人にアドバイスできる立場かという状況の中
よくわかってない奥様が次々と人を紹介して下さり
やはり帰国まで、この厚かましいバイトは続いたのでした。
あれから30年近くたったんだなあ・・・
なんか今冷静に思い返すと、カチンときつつも有難いような
不思議経験をさせて頂きました。
とにかく笑えてきます。
でも今もやっぱり靴とベビーシッター赤ちゃん 2 大好きということだけは
変わってませんが。