http://news.bbc.co.uk/2/shared/bsp/hi/pdfs/05_03_11_bbcws_country_poll.pdf
これを日本語で解説した記事がこちら。
http://gigazine.net/news/20110309_bbc_country_rating_poll/
(引用開始)
世界27カ国の約3万人の人々に電話などで行ったアンケート調査「BBC World Service Country Rating Poll」は、主要国16カ国とEUについて、国際社会への影響がそれぞれ「ポジティブ」なものか「ネガティブ」なものかを評価してもらうというもの。調査結果からはそれぞれの国の人々が自国やほかの国に対し抱いているイメージが浮き彫りになっています。
詳細は以下から。
Positive Views of Brazil on the Rise in 2011 BBC Country Rating Poll - World Public Opinion
この調査「BBC World Service Country Rating Poll」は2005年から毎年実施されているもので、今回の結果は2010年12月2日から2011年2月4日にかけて27カ国2万8619人の人々にアンケートを実施した結果です。
カナダ・アメリカ・メキシコ・ペルー・チリ・ブラジル・イギリス・ポルトガル・スペイン・フランス・イタリア・ドイツ・トルコ・ガーナ・ナイジェリア・エジプト・ケニア・南アフリカ共和国・ロシア・パキスタン・インド・中国・韓国・日本・インドネシア・フィリピン・オーストラリアの27カ国が調査実施国。
評価対象となったのはドイツ・イギリス・カナダ・日本・フランス・ブラジル・アメリカ・中国・南アフリカ・インド・韓国・ロシア・イスラエル・パキスタン・北朝鮮・イランの16カ国とEU(欧州連合)です。
(引用終わり)
非常に興味深い調査です。
例えばアメリカに対する各国の評価は、次のようにまとめられています。

このようなグラフが、評価対象国ごとに示されています。
これにより、評価実施各国において、評価対象国が国際社会に対していい影響を与えていると見られているのか、悪い影響を与えていると見られているのか、がわかります。
ただ、このグラフを見ていて、気になるポイントがありました。
それは、評価実施国によって評価の出方に傾向がありそうなことです。
そこで、自分でこの数字をまとめ直してみました。評価対象国は、
アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、パキスタン、イラン、イスラエル、中国、北朝鮮、韓国、日本
の13か国に限りました。ちょっと手間を惜しんで。
その結果確認されたことは、以下のようなことです。
(1) ポジティブ評価とネガティブ評価の合計
単純にはこの合計が100から離れるほど曖昧な国民性、100に近いほど白黒はっきりモノを言う国民性、ということができます。
評価実施国27ヵ国のうち、ポジティブとネガティブの合計の全評価対象国の平均が最も高かったのがフィリピンで91.3点、第二位は韓国で90.6点、以下、アメリカ、フランス、中国と続きます。
逆に最も合計の平均が小さかったのがパキスタンで49.6点、第二位が日本で49.8点、以下ペルー、メキシコ、南アフリカです。
韓国人が日本人に比べて世界各国のことをずっとずっとよく知っている、というよりも、韓国人はさほどよく知っていないことでもはっきり意見を言う、日本人は自分があまり知らないことには意見を言わない、という傾向が現れた、と見ることができます。
(2) ポジティブ評価とネガティブ評価との差
この差が大きな正の値であれば、他国のよいところを見る国民性、大きな負の値であれば他国の悪いところを見る国民性と、単純には言えそうです。しかし、評価対象国をどう選ぶかによって変わってしまうので、そう単純に考えることはできません。
例えば、評価対象国をイスラム国家ばかりにすれば、欧米の評価国では大きな負の値、イスラム圏の評価国では大きな正の値になってしまうでしょう。
そういう問題があると理解しつつも、今回の結果をおおざっぱに見ると、ドイツ、フランス、スペインなどは他国をネガティブに見る、アフリカ諸国と意外にもロシアは他国をポジティブに見る傾向があるように思えます。
このようなことから、評価対象国ごとにデータを見るよりも、評価実施国ごとに見る方がよりデータがすっきり見えてきます。
以上、前置きが長すぎましたが(笑)、ここからようやく本題。
この調査で、日本が世界の中で(というかこれら評価対象国の中で)最も世界にいい影響を与えていると考えている国(要するに日本が最も好きな国)は何カ国くらいあって、それはどこでしょう?
そして、逆に日本が世界に最も悪い影響を与えていると考えている国はどこでしょう?
ポジティブ評価数からネガティブ評価数を引いた差で評価することにします。
評価実施国をもう一度書くと、以下の27ヵ国です。
カナダ・アメリカ・メキシコ・ペルー・チリ・ブラジル・イギリス・ポルトガル・スペイン・フランス・イタリア・ドイツ・トルコ・ガーナ・ナイジェリア・エジプト・ケニア・南アフリカ共和国・ロシア・パキスタン・インド・中国・韓国・日本・インドネシア・フィリピン・オーストラリア
…考え中
…考え中
…考え中
では、解答です。
ポジティブ評価とネガティブ評価の差を、評価対象の13カ国の中の順位で見ています。
日本が1位の国: ブラジル、ペルー、トルコ、インドネシア
日本が2位の国: チリ(1位はフランス)、エジプト(1位はイギリス)
フィリピン(1位はアメリカ)、インド(1位はロシア)
日本が3位の国: ロシア(1位ロシア、2位ドイツ)、スペイン(1位ドイツ、2位カナダ)
日本が最下位の国: 中国
いかがでしょうか?
日本に対する評価そのものを見ると、このようです。

これだけを見ると、トルコがそれほど親日には見えません。
しかし、全体にトルコは他国をネガティブに評価しがちなようで、その中では日本に対して最もいい評価をしてくれています。
トルコの評価(ポジティブ-ネガティブ)では日本は43点で第一位、2位がパキスタンで28点、3位がドイツで25点ですので、日本を高く評価していることがわかります。
トルコが親日であることは過去に何度も書いてきました。
ブラジルは日系移民のため?
ペルーはフジモリ大統領のおかげ?
インドネシアは太平洋戦争での日本軍がオランダからの独立に貢献したから?あるいはデヴィ夫人(笑)?
まぁ、そんなに単純なものではないでしょうが。
日本を2位に評価している国もへぇ~という国が並んでいますが、ロシアが日本を3位に評価しているのは意外でした。
日本はロシアをポジティブ10、ネガティブ38で、国別で8位とかなり低く評価しています。悪い評価の順に、北朝鮮、イラン、中国、イスラエル、パキスタンの次です。
日本による日本の評価は、ポジティブ39、ネガティブ13で(両方数字が小さい!)、評価対象国の中で第5位です。他国から見られているよりも自国を低く評価していますね。
韓国による日本の評価は、ポジティブ68、ネガティブ20で、思った以上に悪くはありません。
今回の評価対象国の中では7位と真ん中です。
日本による韓国の評価は、ポジティブ33、ネガティブ11で、全体の中でやはり7位。韓流ブームと嫌韓流の両方の意見がある中ですので、こんなものかと。(それにしても両方の数字が小さい。)
中国による日本の評価は、ポジティブ18、ネガティブ71で、きわめて低いです。
今回の評価実施国の中で、日本に対してネガティブ評価の方が高かったのは、中国とメキシコだけでした。中国は予想通りでしたが、メキシコでこんなに日本の評価が低いのはなぜなのか未解明で、気になります。
まだまだ見えてくることがありますが、今日はこの辺で。。