ストロンガーセレクション後半（４５周年記念）

神様がくれた激しい戦いの間のひと時の憩い。

ユリ子が茂にコーヒーを淹れた。

珍しいことがあるんだなと笑う茂。ユリ子とは長い付きあいだが、コーヒーを淹れてもらうのは初めてだ。

茂は、ユリ子の様子がおかしいことに気づかない。

あれだけの毒を受け、立っているのもやっとのユリ子にとって、コーヒーを淹れることすらどれだけの負担になることか・・・。

茂にコーヒーを淹れてあげることは、ユリ子が生きているうちにやってあげたかったことの一つだった。

自分の命の灯火が消えないうちに・・・。

ユリ子は、茂への夢を語る。

「いつか悪い怪人たちがいなくなって、世の中が平和になったら・・・」

このときのユリ子の表情は、いつもの戦士の顔ではない。

ひとりの女の子として、大好きな男性を見る表情だ。

珍しいユリ子の表情に、茂も照れくさく言葉を返す。

「二人でどこか遠い・・・美しいところへ行きたいわ。」

悪い怪人がいなくなる・・・。

どこか遠い美しいところ・・・。

何とも現実味のない話に、茂は冗談交じりに「いいね！俺も行きたいよ」と返す。

茂のいい加減なリアクションに、寂しげな表情をするユリ子。

自分の願いが、実現しそうも無い夢のような話だと思われたのじゃ無いかと。

気まずくなったのかコーヒーを手に立ち上がる茂。

それでも、ユリ子は

「本当に約束してくれる？」と真剣な表情。

「ああ！！約束だ！」と答える茂。

それを聞いて安心するユリ子。おそらく、後ろを向いたのは、涙を見られたくなかったからだろう。

その様子を見て、すべてを知っている藤兵衛も目に涙が・・・。

薪が湿ってるからごまかす藤兵衛だが・・・。

何も知らない茂は、ユリ子の淹れたコーヒーを藤兵衛にもご馳走しようとする。

その時、初めてユリ子の泣き顔に気づく。

何が起きたのか？

その時、コーヒーカップの中に映った悪魔の顔が、神様が二人にくれたわずかな憩いの時間を終わらせる。

ついに、ドクロ少佐とドクターケイトの協力攻撃が開始されたのだ！！

もはや、息をするのでさえ限界のユリ子は、それでも茂のパートナーとして立ち上がろうとする！！

戦うユリ子！！

しかし、もうとっくに限界は過ぎていた。

藤兵衛がユリ子を支える！！

それでも、ユリ子の目は死んではいなかった！！

変身してドクロ少佐と戦うストロンガー！！

ユリ子も、最後の変身だ！！

電波投げ！！

まだ、戦える！！

なぜなら、ユリ子には夢があるから・・・

茂は約束してくれた・・・。

いつか悪い怪人がいなくなり世界が平和になったら・・・

二人でどこか遠い美しいところへ行ってくれると。

今は、それだけが心の支えだった！！

しかし、もはや限界・・・。

体が言う事を聞かない。

藤兵衛が必死に止めても、戦うことを止めないユリ子！！

藤兵衛は必死にユリ子をかばって戦う！！

一度は、崩れ落ちた体・・・、それでも、気力でもう一度立ち上がろうとする！！

しかし、目の前には・・・・

真っ赤な悪魔がいた！！

ケイトの苦手な炎で戦うユリ子！！

なんとか私が仕留めなければ！！

しかし、炎の武器も払われ、為すすべのないユリ子。

ストロンガーもタックルの危機に気づく！！

タックルを助けに来るストロンガー！！

タックルに無理するんじゃないと言うストロンガー！！

大丈夫だと言うタックルだが・・・

とても大丈夫には見えない。

ストロンガーは、タックルをかばって突進する！！

背後からタックルも援護する。

二人の力で勝てるのか？

しかし、タックルの力は限界だった。

ケイトの攻撃を受けるタックル。

ついにケイトに捕まる。

またもや、足を引っ張る形になってしまったタックル。

自分のことはいいから攻撃してくれと懇願するタックル。

しかし、そんなことが出来るはずのないストロンガーはケイトの毒ガスの餌食に・・・。

ストロンガーまでもが、ケイトの毒にやられてしまう！！

このままでは、茂がやられてしまう！！

必死の想いで立ち上がるユリ子。

ある決心をする！！

それは！？

ケイトの背後に回るタックル！！

ケイトを振り向かせ！！

手刀を浴びせる！！

そこで・・・・

「ウルトラサイクロン！！」

ウルトラサイクロンは、タックルの命を奪う代わりに敵を倒す技。

これを使えば、ユリ子の命はなくなる！！

やめろ！！タックル！！

茂も必死で止める！！

しかし、もう遅かった！！

タックルは全エネルギーを使い・・・

ケイトを放り投げる！！

爆死するケイト。

一人の少女が・・・

仮面ライダーとも呼ばれなかった改造人間の少女が

最強と言われたデルザー軍団改造魔人の一角を崩した！！

自らの命と引き換えに・・・。

すべてを知っていた・・・。

すべてを見ていた立花藤兵衛は、号泣する！！

何ども立ち上がろうとするが、今度ばかりは立ち上がれないタックル。

いや・・・岬ユリ子。

藤兵衛がユリ子を抱き起こす。

なんとか瞼を開くユリ子。

その瞳は、何かを探しているようだ。

そして、何かをしゃべろうとするが言葉にならない。

茂・・・。

「なぜ、あんなことやったんだ？」と叫ぶ藤兵衛！！

ユリ子の体を揺さぶる。

ユリ子の瞳は、何かを見つけたのだろうか？

そのまま、安心したように息を引き取る。

ユリ子が見つけたのは、茂の顔だったのだろう。

茂の黒い手袋が、ユリ子の瞼をそっと閉じる。

いつか悪い怪人たちがいなくなって、世の中が平和になったら・・・

二人でどこか遠い・・・美しいところへ行きたいわ。

突然の出来事に、「ユリ子はなぜ死んだのか？・・・」と茂は聞く。

藤兵衛は、実はケイトのアジトで既にユリ子は毒にやられていたこと。

もう命が長くないことを茂に言わないでくれと藤兵衛に約束したことを語った。

なぜ、俺に黙っていたんだ？

今までパートナーとして、何でも話してきたはず・・・それなのになぜ？

藤兵衛は言う。

ユリ子は、いつも自分があしてまどいになっているんじゃないかと気にしていた。

茂に話せば、ユリ子を庇うことに集中力を奪われ、デルザー軍団には勝てないことがわかっていたのだ。

だから、ウルトラサイクロンを使った。

すべてを理解した茂は、ユリ子の想いを受け止め、どうしようもない気持ちになった。

長い付きあいだったパートナーの突然の死。

まだ、この事実を受け入れられない茂だったが、たったひとつ分かったことがあった。

冷たくなったユリ子の手を握る茂。

その黒い手袋に涙が落ちる。

「ユリ子・・・すまなかった。俺の力が足りなかった。」

ユリ子の亡骸を抱いたまま夕陽を見つめる城茂。

仮面ライダーの歴史の中で、デルザー軍団との戦いは、もっとも熾烈な戦いだった。

この後、ストロンガーは超電子人間となりパワーアップし

歴代７人の仮面ライダーの力を結集してデルザー軍団を倒した。

しかし、この栄光の戦いの中で、岬ユリ子＝電波人間タックルの戦いを忘れてはならない！！

可憐に散った一輪の花。

彼女の戦いがあったからこそ現在の平和があるのだ！！

岬ユリ子を演じた岡田京子さんも２７歳という若さで亡くなられています。

短い人生でありながらも、この一瞬の青春の輝きはタックルとともに眩しく輝いていたと思います。

仮面ライダーという歴史の中で、仮面ライダーの称号を得られなかったタックルでありますが

彼女の望みは、仮面ライダーという称号を得ることよりも

ひとりの少女として、愛する人と幸せに暮らしたい。

そんな願いのほうが強かったのだと思います。

そう思うと、そんな彼女のことを歴代ライダーとして殿堂入りさせるよりも

そっとしてあげたいと思います。

今は、城茂を演じた荒木しげるさんも他界され

二人はどこか遠い美しい場所で

再び、城茂と岬ユリ子を演じてくれてるのではないかと夢想しています。

ストロンガー＆タックル最高だぜ！！

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