8月5日、「直接請求を成功させる会江戸川」では、江戸川区選出の笹本ひさし都議(民主)や、都議会で意見陳述した2人の請求代表者をお呼びし、「原発都民投票報告集会」を開きました。

40名収容の会場は満席。
まず、事務局から、都議会での質疑や修正案のポイント、議決結果について報告をした後、出席者からの発言に移りました。

関係者の声に最大限耳を傾けることを心がけ、受任者との直接対話にも臨んだ笹本都議は、地元都議の中で唯一原案に賛成しました。「修正案を出した立場ではあるが、住民の真摯な思いを受け止めた結果の判断だった」と。

請求代表者・佐藤直己さん(品川区)は「民主主義発展のためには、自分たちが行動し、提案できる社会にしていくことが大事」とし、政治に無関心だったと自覚しつつ、今回自主的に参加した人同士がこの運動を継承し、「『原発』都民投票の会」を10月に発足予定であると報告されました。

「住民投票のテーマとして、今これ以外のものがあるか」との思いで主体となった同・坂下香澄さんは「主権者としての意識を持ち、話し合って物事を決めていく力を都民・国民が持つべき」と語り、「対立するのではなく対話で決めていくために、ファシリテーターの養成が必要」と提言を。活動の継続とともに、都議会の構成を変えることが共通のメッセージとして発せられました。

会場からは「さようなら原発1000万人アクション」や「国民投票」の署名活動、首相官邸包囲のデモ活動などに関わる参加者から、やはり「つながりあうこと」を前提に、本当のことを知り、共有し、決定に参画する取り組みを進めていくことが確認されました。今回の修正案では「16歳以上」「永住外国人」が削除されてしまいましたが、こうした行動を未来につないでいくためには、若者の意思を決して置き去りにしてはなりません。

「直接請求を成功させる会江戸川」はこの集会をもって解散しましたが、これまでより大きな自治のエネルギーの創出に向け、ともに歩みをすすめていきましょう。

6月20日、都議会本会議最終日は、総務委員会で賛否が拮抗した修正案(委員長裁決で結局否決)ではなく、市民案原案が表決案件となり、41対82というダブルスコアで否決されました。


賛成したのは、自主投票となった民主党30人、共産党8人、生活者ネット・みらい3人。

反対は、自民党、公明党、民主党19人、一人会派3人。


東京都議会は総じて、石原都知事同様、「原発稼働の是非」は都民が判断するのではなく、政府・首相にゆだねるべきとの姿勢。都議会は、原発をやめるか、減らすか、どうするか、議論さえしない体質であることが露呈しました。


東京電力の「原発」稼働の是非は主権者・都民が決める――条例に託した市民の思いを都議会は受け止めてはくれませんでした。




総務委員会は15日(金)午後1時開会。

まず、民主党から副委員長・佐藤委員が賛成意見を表明。

「都は昨年12月、『2020年の東京計画』に、自立分散型のエネルギーの創出を掲げた。エネルギー政策は都としての最重要政策。国がやらない場合、自治体が率先する。石原知事こそが『センチメント』。原発都民投票は、都民が議論し、意思表示する重要な機会。国、自治体がそれぞれの立場で関わるべき。政策フォーラムやコンセンサス会議を行うなどし、住民自治を回復することが求められている。民主主義のあり方が問われる中、課題解決への提言となる。」


次に、自民党・中谷委員からは反対意見が。

「重く受け止めているが、立地自治体の経済と原発は切り離せない。都民が一方的にあれこれ言うのは恩を仇で返すものであり、容認できない。住民投票をやって原発の安全が増すわけではなく、今夏の電力不足が解消されるものでもない。」


公明党・伊藤委員は、執行部への具体の質問をするのみで、その回答への意見は述べず。署名者への配慮からか、結局、賛否は明かさず、「新しい原発を認めない、再稼働は安全性が認められてから、安全・安心のエネルギー政策の確立を」とする党の原発への姿勢を述べるにとどまりました


実家が柏崎市から2km圏内にあるという共産党・吉田委員は、地元への思いをはせ、時に言葉をつまらせながら、賛成の立場で質問、意見表明を。都が問題視している論点について、具体例を挙げて反論。国内で実施された住民投票の2/3が未成年者を対象にしていること、諸外国では選挙権も未成年者に認めている国が圧倒的多数であること、投票事務についても事前調整が可能であること、など。ただ、罰則規定については問題あり、としながらも、「都民投票は都民的な討論を広げる一方法である」と、賛成の立場を示しました。


生活者ネットワーク・みらいの星委員は、23年前の直接請求による「食品安全条例」審査において、参考人招致などを行い、丁寧な継続審査を行った経過を振り返りながら質疑を展開。これをきっかけに国や都の消費者の立場に立った食品行政が飛躍的にすすみ、のちに都条例制定にもつながったことを踏まえ、食の問題は命の問題、原発の問題も同様に命の問題とし、「福島第一原発事故の影響は、立地自治体のみの被害にとどまらない。専門家への不信もあり、さまざまな場面で広範に議論することが必要。都民投票に向けたプロセスにおいて民主主義が成熟する」として、やはり実施を支持しました。


さらに、民主党・馬場委員からは「この運動の過程で、知事は5回会見を開いたが、5月11日の会見では、知事は『条例案知らない』、同25日も『意見を見ていない』と言っていた。これだけの都民の思いについて、都関係部局は、知事に一体どういう説明をしているのか? また、直接請求による条例案提出について、都はHPなどでも周知していない。」と、都の受け止め方をただす質問が。「何とかこの条例案を成立させたい。」との意見表明がなされました。


これを受け、同党・大西委員より、「東京電力管内という文言が多いが、そもそも東電管内、9都県に原発はなく、管内という文言は不適切」との指摘のあと、具体的な条例の不備についての確認質問がなされました。その上で、「『生活者ネットワーク・みらい』と共同で、修正案を提出する」との意見が表明され、投票実施に向けた建設的な議論への道筋が示されました。


この日の審査は午後1時から4時間。都議会でのさらなる熟議を期待しましょう。


次回審査は18日(月)、午後1時開会です。