神体山の麓から | 東北式鉄写録

神体山の麓から


弥彦線・越後線は課題だった。


でも、いつか行こう。


そんなもんだ。


そのいつかはいつなのか。


漫然と週末を過ごしてしまう。


新車への置き換え対象に弥彦線も入っていた。


いやいや、弥彦線と言っても吉田以南だろうとは思うけれども、気が気じゃない。


さて、いつ行くことになるのやら。



セミが鳴く声が聞える。


「あちぃやぁ~」


それもそのはず、晴れの日の正午である。


黒姫高原と言われる高原地帯ながらも、暑いものは暑い。


「どうするかい?」


夜行の高速バスで長野にやってきて、同乗者となった・・・度々当ブログに出てくる雨男こと某N氏に話を投げる。


「どうしましょうかね?」


と時刻表をパラパラめくりながら返すN氏。


暑い。


ジージーと泣くセミの声がBGM。


日陰に車を入れ込んで、若干は涼しくなったとはいえだ。


「夏だなぁ」


誰に言うでもなく、私はタバコを吸う。


仕事を始めてから、こうして夏らしい夏を感じてなかったなぁ。


しみじみしつつ、アテもなく佇む。


「富山は意外と遠いんですね」


まぁ、高速で2時間ってとこだ。


う~ん、2人共いまいちピンと来ない。


ピンと来なけりゃ動かない。


さてどうしようと逡巡していたら。


「あ、弥彦線ってどうです?」


「よしきた。行くか。」


少々宿を取るのに苦労したが、某オバサン社長の顔写真をデデンと宣伝に使っているホテルが手頃だった。


宿は燕三条駅前。


決まった。


ぶらぶら海岸線沿いを弥彦山に向かって走って行く。


世間は夏だ。


海水浴客を脇目に、先を急ぐ。


まずは弥彦の駅だ。


前に一回だけ列車に乗って来たことはあるものの、こうして撮影で来るのは初めてのことである。


着いて早速、某氏はこの弥彦駅の雰囲気を気に入ったようで、しきりにシャッターを切る。


終着駅の雰囲気。


桜の季節はさぞ綺麗だろうと思う。


桜も来シーズンは弥彦かな。


昼過ぎに長野を出て来たために、現地到着は夕方だった。


駅発車を撮った後、ブラブラとロケハン。


しかし、予想以上に撮りにくい路線だ。


殆ど住宅街にそって走っているので、沿線はイマイチに思えてしまう。


間もなく太陽は沈んでいくだろう。


吉田の駅も間近まで来た所で、弥彦山をバックに撮れる踏切を発見し、そこで撮ることにする。


ここで、弥彦村特有の風習なのか、JKが叫びながら坂道を自転車で下っていくゲームらしきことをしていた。


そのJKの発言が「線はみ出しちゃいけないからね。」


道路の車線を跨いで2人のJKが叫びながら坂道を下っていく。


はっきり言って謎である。


我々はこれを「弥彦山ゲーム」と名づけた。


さて、肝心の列車である。


いっそ、弥彦線のごちゃごちゃ感を交えて撮ろうと決めた。


コレでいいじゃない、目の前の光景が弥彦線なのだから。


我々は目の前にある路線、それぞれがそこで感じた写真を撮るだけである。



間もなく日が沈む。


ちなみに、この写真にも件の弥彦線ゲームなJK二人組が写っている。


なんと、この2人は我々が撤収しようとした時に再びここまで戻ってきて、再び楽しそうに坂道をチャリで下って行った。


いや、オッサンがJKに話しかけると即通報なんだろうけど、何がしたいのか本人たちにインタビューでもしたいくらいだった。


日が落ちて、燕三条駅に向かう道すがら、間もなく列車が来るぞと。


前に乗った時にこの辺に撮れそうな場所があったと記憶していた。


なんだかんだで、やっぱり一回は乗っておくものである。


綺麗に弥彦山も入る田んぼの中のストレート。


日没後の赤く染まった空に見とれつつ、刻一刻と変わる空の表情に舌鼓をうつ。



直接ちょう架式と弥彦山。


弥彦線である。



大分夜が降りてきたので、コレで弥彦線の一日目は終わり。


オバサン社長の顔写真が迎えてくれる某Aホテルに着き、飯を食ってイオンで買い物をして一日目は終わった。


明日の朝は何が見られるだろうか。


そう期待して眠りについた。