Jeffrey's Time


Jeffrey’s Time-光輪ミニバス団旗
  Jeffrey’s Time-korin-danki3


■■翔べ光輪・目次


総合目次  第1話~第30話  第31話~第37話

登場人物  光輪ミニバス  西南ミニバス


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お詫び

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これまで『翔べ光輪』を応援していただきましてありがとうございました。

第37話で終了とさせていただきます。


昨年の3月に開始し、約1年の間、私のつたない文章を愛読してくださいまして、

まさに感謝の一言です。


西南戦を終え、光輪ミニのこれからの成長を皆さんにお伝えしたかったのですが、

私の一身上の都合で、こんな中途半端な形で終了せざるおえない事を、

私自身、非常に残念であり無念です。


サッカー、野球に比べ、まだまだマイナーなバスケ。

そんなバスケが少しでも盛り上がるのに、微力ながら協力できればと始めた『翔べ光輪』。


完結後には、マンガが書ける方を募集して、スラムダンクを超えるようなバスケアニメなどと、

真面目に考えていました。


夢半ばで断念することを、お詫びいたします。


いろいろな方からコメントをいただき、特に「うししさん、K-mamaさん」には、

毎回コメントをいただきまして、執筆の励みになりました。


本当に、ありがとうございました。


最後に私からの勝手なお願いなのですが、これまでの翔べ光輪に対しての感想、批判、

「面白かった」、「何だか分かりづらかった、「つまらなかった」、

何でも結構ですので、是非とも多くの方々からのコメントを頂ければ幸いです。



最後はこの言葉で閉めたいと思います。




「やっぱりバスケはおもしろい!」



JEFFREY






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第37話 転校生

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3月30日 (月)

西南戦を終た翌日、練習に向かう拓帆に孝汰


「おはよーー! 孝汰。」

「おっ! 拓帆おはよう!」

「やっぱり西南は強いなぁ!」

昨日の試合を振り返って、拓帆がポツリと話し始めた

「俺たち西南に勝てるかなぁー?」


青く澄みきった空を見上げ、孝汰がニッコリ笑った

「大丈夫、必ず勝てるよ! だって橋爪さんも言ってたじゃないか、努力だって
日本一になりたければ、日本一の練習だって!!」


孝汰の言葉に拓帆も空を見上げた

「空が青いやぁー!」

孝汰 (????????)

するとキョロキョロと辺りを見回す拓帆


孝汰 「どうしたんだよ?」

拓帆 「祐ちゃんが来ないけど、どうしたのかなぁ?」

孝汰 「そういえば、今頃、後ろからドォーンって来るころなんだけどな」


孝汰、拓帆 「まさか・・・・・寝坊!?」

孝汰、拓帆 「そんな訳無いかぁーーー!!!」

そんなバカを言いながら体育館に向かう二人



光輪小体育館  PM 12:30


ダン! ダン! ダン!


キュ!  キュ!


孝汰 「あれぇーもう誰か来てるねぇ?」

孝汰はキャプテンになってから、常に体育館に一番乗りをしていた


拓帆 「あれっ! これ祐ちゃんのじゃない?」

孝汰 「間違いないよ! 祐ちゃんのだ!!!」

二人は靴を見てというよりは、脱ぎっぱなしにされている靴の状態を見て祐人だと確信する


ガラ ガラ ガラ


扉を開けるとそこには、汗だくの祐人


「おぅーーーー! 遅いぞぉー!!!」

さらに祐人の横には、黙々とシューティングをしている航一


孝汰 「うわぁーー! 先をこされた」

拓帆 「孝汰、直ぐ着替えるぞ! 速攻! 速攻!」


「こんにちは!」

「こんちはーー!!」

その後すぐに、遼介、ミッチーも体育館に入ってきた

西南戦の敗北が、光輪ミニの意識を変えた


合言葉は、「打倒! 西南!!!」既に個人個人の戦いは始まっていた


その後も、全員が自主練を黙々とこなしている

そんないいムードのなか、まもなく練習が始まろうとする時間


ガラ ガラ ガラ


橋爪が現れる


「こんにちはーーーー!!!」

子供達の大きな挨拶

それまでのムードが一転、体育館にピリピリとした緊張がはしる


孝汰 「集合ーー!!!」

「ハイ!!!」

橋爪の周りに子供達が集まる

練習前にも関わらず、既に濡れたTシャツ


橋爪 「おっ!」 (早速やってるな!)


西南戦での敗戦を、微塵も感じさせない子供達の顔


橋爪 「もちろん、全員揃っているな!」

「ハイ!」


「あえて言わなくても、やるべき事は分かっているな! ・・・・さあ、行こーか!」

橋爪の短い言葉に、やるべき事を十分理解した子供達


孝汰 「光輪ファイトーーーーー!!!」

「オォーーーーーーー!!!」


「打倒西南! イコール全国」という、大きな目標に向けて始動する


高橋 「こんにちは、ご苦労様です!」

橋爪 「あっ! こんにちは」

高橋 「あの子達、随分気合が入ってますね」

橋爪 「これがずっと続くといいんですがね・・・・
なにしろ、まだ始まったばかりですから」


「大丈夫ですよ、あの子達ならきっとやってくれますよ」

そんな橋爪の言葉を、打ち消すように期待を込めて高橋が言い切る


ガラ ガラ ガラ


そんな会話の最中に、一人の少年が体育館に入ってきた


 橋爪 「んっ! 誰だ? ・・・・・デカイなぁ!」


その格好は、明らかに経験者


「こんにちはーー!!!」


「ピクッ!」

少年の大きな挨拶に、敏感に反応する孝汰がいち早く

「こんにちはーーーーー!!!」

孝汰 (ヨシッ! 勝った!!) 小さくガッツポーズ

「こんにちはーーー!!!」

僅かに遅れて、他の子供達も挨拶をする


ストレッチをやりながら、見知らぬ少年の登場に全員が注目


「誰だろう?」

「あの子誰?」

皆がヒソヒソ話を始めるなか


「ちばさんだよ!」


祐人が自信ありげに言い切った


「????????」

皆の頭の中にはクエスチョンマーク


途端に孝汰が気づく

少年の着ているパーカーの胸には、「CHIBA]のロゴ


(そんな訳ないだろう!!!) 無言でツッコミをいれる孝汰

皆が笑いをこらえて、肩が震えている


祐人 「・・・・・・・・?」

少年の後ろには、母親らしき女性が立っている


「橋爪さん入団希望の子じゃないですか?」

そう言うと横を見る高橋だが、そこには橋爪はいなかった


「あれっ! 橋爪さん・・・・・・・」

その時すでに、女性と握手している橋爪


高橋 (あぁーーー!! 何してるんですか!!!)


橋爪 「はじめまして、コーチの橋爪です。」

(うわぁーーーBoA似のお母さん、超カワイイ!!)


「ところで、今日はどういった用件で?」

橋爪の行動に、ドン引きの女性


女性 「は、はじめまして坂本です。息子の拓馬です。」

拓馬 「はじめまして、坂本拓馬です。」

はきはきとした受け答え


しかし、子供より母親に興味津々の橋爪

「あの~~手が・・・・」


いつまでも手を握っている橋爪の手を振りほどく高橋

(いつまで手を握ってるんですか! 眼を離すと直ぐにこれだから)


「はじめまして高橋です。光輪小で教員をしています。」

深々と頭を下げる母親


「見たところ、経験者のようですが?」

いつもの橋爪に戻り、母親に問いかける


「足立区でミニバスをやっていました。 4月から光輪小に転校するので、
こちらでも絶対ミニバスをやるって言うものですから、今日は見学に参りました」

「足立区ですか・・・・どこのミニですか?」

足立のミニに反応する橋爪


拓馬 「宮地ミニバスです。」

橋爪 「宮地ミニかぁーー! 高木さんのところだね」

高橋 「橋爪さんご存知なんですか?」

橋爪 「ええ! 以前西南の時に、お世話になったんですよ。
事あるごとに肉をご馳走してくれて、しばらく会ってないですねぇー ・・・・懐かしいなぁ!」



※宮地ミニバスケットボール
足立区ではもちろんのこと都内でも、屈指の強豪チーム HCは高木



「練習が厳しいって聞いたのですが,うちの子で大丈夫でしょうか?」

入団に対して、ついて行けるか心配する母親

「大丈夫ですよ! 高木さんのところでやっていたのなら間違いないでしょう」

そお言うと、拓馬の背中を「ポン!」と叩くと

「せっかく来たんだから、見学じゃなく参加してみようか」


いきなり練習に参加と言われて、戸惑う母親を横目に

「ハイ! 宜しくお願いします」

物怖じすることなく、ストレッチを始める拓馬


腕組みしながら、思わず橋爪がニコリと笑った



坂本 拓馬  (サカモト タクマ)
5年/166cm/54kg 元宮地ミニバスのセンター
実力は未知数だが現時点で、光輪一の長身となる。 母 佳子(BoA似でカワイイ)



拓馬という新たな戦力を加え、代々木を目指す光輪の挑戦は始まっている


橋爪は確かな手ごたえを感じていた


終わり




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第36話 課題

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審判 「礼ッ!」

「ありがとうございました!!!」


試合終了の挨拶を終えると、相手のベンチに走り出す子供達

ベンチにいた孝汰も、足を引きずりながら西南ベンチに向かう


孝汰 「礼ッ!」

「お願いします!」


相原 「良いチームだね!
これからやらなきゃならない事はいっぱいあるけど頑張って練習してください。
もしかしたら今度やる時は、うちがやられるかもしれないな?!」

相原が言い終わるな否や

「もちろんです! 次は絶対に勝ちます!!!」


いきなりとんでもない事を言い出す祐人を、孝汰、遼介、航一が口を押さえる

「祐ちゃん!!!」

孝汰 (まったく、なんて事言ってんだよ)

遼介 (マジ! ヤべーーし!!)


しかし、ニコリと笑う相原が

「君は、名前は何ていうんだい?」

孝汰達の手を振りほどくと

「祐人です! 竹之内祐人です!!」

自身満々に言い切る祐人


相原 「祐人か! 覚えておくよ。しっかり練習してこいよ
次やるのを楽しみにしてるから、それと・・・・・」

祐人 「ハイ?!」


「いや! 何でもない、ガンバレよ!!」

相原は言葉を止めた


この子が橋爪さんの下でどれだけ成長するのか、
近い将来、まちがいなく西南の前に立ちはだかる事を、この時相原は確信していた

そして、あえて自分が言う事ではないことを・・・・・・


「ありがとうございました!」

(ふぅーーーーーーー)

相原の対応に胸を撫で下ろす光輪メンバー



一方、光輪ベンチ

「お願いします!」

無言で一人一人の顔を見渡す橋爪

西南メンバー全員が、緊張した面持ちで橋爪の顔をじっと見つめている


まさに、直立不動といったところだろうか


それを遠くで見ている相原が

(あいつら、俺の時とはえらい違いだな・・・・)


特に、ダンクに行って失敗したやまけんは、
橋爪の鋭い視線を、まともに見る事が出来ない


(うわぁーーーやべぇーーー!! 怒られる!!!)

それほど、この子達にとって橋爪の存在はとてつもなく大きい


ぶっちゃけ「恐怖」の一言なのだが


沈黙が続く


それは僅か10秒位の時間、

しかし、康平達にとっては、とてつもなく長い時間だった


そして、橋爪が口を開く

「惜しかったなぁ! やまけん」

「ビク!」

突然の名指しに、体が固まるやまけん


「かっこ悪いから、今度は決めろよ!!」


やまけん (えっ!・・・・・)

予想を裏切る言葉に、恐る恐る顔を上げると

そこには、微笑む橋爪


ほっと、一安心するやまけん


更に橋爪が続ける

「みんな暫らく見ないうちに、随分上手くなったなぁ!」

そう言うと、やまけんの頭を掴み

「いっちょまえに、でかくなったなぁーー!」


思わず、少し背伸びをするやまけん

すでに橋爪と同じ視線まで大きくなっていた


成長した以前の教え子たちに、橋爪の一言一言が懐かしそうに話している。


そして最後に、この言葉で締めくくった

「光輪相手に、この内容じゃ全国は程遠いぞ!!
まだ、時間はある。気合入れて練習しろ!!!」


それまでの優しい表情から一転、いつもの厳しい顔になる橋爪

全国への道のりの厳しさを、改めて痛感する西南メンバー


橋爪、相原が互いに相手チームの今後の成長を期待し、話を終える


両チームのメンバーが自軍のベンチに戻る

橋爪の周りに光輪メンバーが集合する


橋爪 「60-19か・・・・・・まあ! 新チームの初戦にしては上出来だろう!
まして、相手が西南でおまえ達良くがんばった!」

橋爪の意外な言葉に驚く子供達


「公式戦は結果がすべて!!! どんなにいい内容の試合をしても
負ければ、そこで終わりだ・・・次は無い。
しかし練習試合は違う、たとえどんなに点数を獲って勝っても内容が悪ければ意味が無い。
それを考えると今日はまあまあだと俺は思う」

橋爪の話を真剣な眼差しで聞く子供達も、自然と背筋がのびる


さらに橋爪が続ける

「チームとして個人としても課題は山積だけど、会長杯まで約10ヶ月、
当然あいつらも(西南)この間、厳しい練習をするだろう。
西南を倒さないかぎり、代々木への道はないぞ!
それには西南の2倍、3倍の練習をしなければならない
死ぬほど厳しいぞ!!!」


橋爪の言葉に絶望感をもっている子は一人もいなかった

打倒西南を目指し、子供達のなかに絶対に代々木に行くという情熱が再び燃え始めた


そしてこの後、橋爪から今後の課題が言い渡される

「スピードは全国レベルでも、左手が使えない祐人」


「せっかくいいシュート力を持っていても、それを試合で活かせない拓帆」


「自分より大きい相手だと、本来の力をまったく発揮出来ない遼介」


一人一人が問題点を指摘されるなか、最後に孝汰に対しては、

橋爪 「オフェンス、ディフェンス、リーダーシップどれをとっても、これといった問題点は無い」

孝汰 (えっ!)


橋爪 「この試合に関して、おまえは全力でプレーし持てる力を
すべて出し切ったと、俺は思う・・・・・・・・・
しかし、今のおまえじゃ、康平は止められない!!!」

孝汰自身、一番分かっている事だが、橋爪の鋭い指摘に改めて、
康平の凄さと自分の力不足を痛感する


孝汰 (康平を止められなければ、西南には勝てない!)

代々木に対する思いが、人一倍強い孝汰にとって、西南は避けては通れない相手


(今のレベルじゃダメなんだ!!!)

悩む孝汰に、橋爪の言葉が孝汰の今後を大きく左右することとなる


「いいか! 孝汰だけじゃなく皆も良く聞いてくれ。」

身を乗り出す子供達


「オフェンスはセンスが大半を占めるが、ディフェンスは努力だ!!!」

孝汰 (オフェンスはセンス、ディフェンスは努力)


「オフェンスは水物といって、どんなに凄い点取り屋でも
その日の調子によっては、まったく獲れない時もあるが、ディフェンスにスランプは無い!
やればやっただけ、努力したらしただけ必ず結果がついてくる!!
それがディフェンスだ!!!」


孝汰 (そうだ! 悩んでてもしょうがない、今出来ること、
努力するしかないんだ! 努力! 努力!!)

何かが吹っ切れた孝汰に笑顔が戻る


橋爪の話も終わり、気がつくと既に西南はストレッチを行っている

(うわっ! やべぇーやべぇー)

「ストレッチ!! クールダウンするよーー!!!」

慌てて指示をする孝汰


「橋爪さん、今日はありがとうございました」

振り向くと深々と頭を下げた相原が手を差し出している


ガッチリと握手を交わす橋爪

「こっちこそ世話になったな、ありがとう・・・・
すまんな、練習にもならなかったな」


西南の練習相手としては、力不足を詫びる橋爪に

相原 「とんでもない、いい経験をさせてもらいました。
特にあの8番の子凄いですね!」

橋爪 「あぁ! 祐人のことか? あいつはいい加減だから。」

相原 「あの子は近い将来うちにとって、間違いなく脅威になりますね」

橋爪 「ハッハッハッハッそりゃないよ!! あいつを買いかぶりすぎだよ」


笑い飛ばす橋爪だが、西南の全国にまったをかけるとしたら、
光輪ミニ、そして祐人だと相原は予感したのであった


橋爪 「今度やる時までには、もう少し上手くなってるから
これに懲りず、また頼むな!」

(橋爪さん・・・・”少し”じゃなくて”とてつもなく”のまちがいじゃ?)

苦笑いする相原


子供達の挨拶も終わり帰り際、高橋を呼ぶ橋爪

「康平! こちら高橋美月先生だ! 宜しくな。」


「三宮康平です・・・・」

挨拶はしたものの、何のことやら訳が分からずキョトンとする康平


一方、いきなり紹介された高橋は顔を真っ赤にしてモジモジしている

橋爪に背中を押され、やっとの事で口を開く

高橋 「康平君がんばってね!」


既に舞い上がってる高橋にとって、これがいっぱいいっぱいだった


橋爪 「先生よかったですね!」

高橋 (橋爪さん! ・・・何を言ってるんですか)


今回の西南戦、一番よかったのは高橋じゃないかと思う

橋爪だった。


続く



第37話 転校生


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第35話 次につなげろ

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お互いにオフェンスを失敗し、得点には結びつかない


試合時間も残り52秒


西南のオフェンス

光輪の疲れもピークに達し、今は気力だけでコートに立っている


「ハァ・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・」

膝に手を置き、肩で息をする遼介


自分のマークにインサイドのカバーと、フル回転のディフェンス

とうに体力の限界は超えていた


パーン!


遼介 「痛てぇ!」

いきなりケツを叩かれ、振り向くとそこには祐人


「遼介! もうばてたか?」

遼介 「・・・・・・・・・・・・・」

祐人 「もうちょいだよ! 頑張ろうぜ!!!」


普段はいい加減な祐人だが、その時ばかりは妙に説得力のある言葉に

遼介が・・・・・・・

「大丈夫だよ! 任せろよ・・・・・それより、祐ちゃんこそ退場するなよ」

祐人 「誰に言ってんだよ!! 俺を誰だと思ってんだよ!!
ジョーダンと同じ誕生日なんだぞ!!!」

遼介 (いや! ぜんぜん関係ないし・・・・・・)


祐人 「さあ! ディフェンスだぁ!! 絶対止めるぞぉーーー!!!」

祐人の言葉に、再び奮い立つ光輪メンバー


「ディーーフェンス!!! ディーーフェンス!!!」

「ディーーフェンス!!! ディーーフェンス!!!」

光輪ベンチも声を嗄らして、声援を送る


試合時間は残り48秒


橋爪 (西南は早い段階でシュートを決め、2回のオフェンスで試合を決めるつもりだ)


当然のことながら、それを十分理解している康平が、時間をかけず一気に運ぶ


フロントコートに入ると同時に、航一と拓帆がプレッシャーをかける

しかし、間合いを詰めに来た瞬間、パスをさばきパスランで二人の間をぶち抜く康平


航一 「やべぇーーーマジやべぇぇぇーー!!!」

拓帆 (やられたーーーー!!!)

あっと言う間に二人を置き去りにすると、すぐさまリターンを受け
パスをさばく、見事なまでのパスワーク


康平を起点にマサ、雄也とドリブル一切無しのパッシングゲーム


再びリターンを受け、レイアップに踏み切る康平にミッチーがカバーに来る

(打たすかぁーーー!!!)


次の瞬間、ボールを背中越しにマサに合わせる


(んっ! ビハインド!!!)


康平のパスモーションにブロックを躊躇するミッチーだが、、、


しかし、体の周りを一周させて、自らシュートに行く康平


バスッ!


「何だそれぇーーーーー!!!」

康平の個人技に、驚きを隠せない祐人が思わず叫ぶ


「うおぉぉぉぉーーーーー!!! 来たーーーー!!!」

「康平ぇーーーーナイシューーーーー!!!」


橋爪 (上手い! こりゃあーー止められないわ)


西南 58
光輪 17


祐人はワクワクしていた

「すげぇー! ほんとにあいつはすげぇーーよ!!!」


今は遥かに及ばないが、いつか必ず越えてみせる

康平のプレーが、そんな祐人のバスケ魂に火を付けた


「ハーーーイ!!! ミッチーーーー!!!」


パシッ!


ミートと同時にドリブルを開始

いきなりトップスピードの祐人が雄也、そしてカバーに来た康平を抜き去って行く


康平 (さっきよりも速い・・・・・)

しかも右手一本


しかし、そんなハンデもものともしない、乗った時の祐人のスピードが
西南のディフェンスを切り裂いて行く


孝汰 「いけぇーーーー祐ちゃん!!!」

「行け! 行け! 行けぇーーーーー」


橋爪 (康平とは真逆のプレーだが、それがおまえの持ち味
スピードこそ最大の武器・・・行け祐人!)


そして、やまけん、マサが待ち構えているゴール下に、一人で突っ込んでいく


相原 (そのシュートだけは、絶対に止めろよ)


西南の高さに、スピードで挑む祐人


高橋 「祐人君楽しそうですね!」

橋爪 「ええ! まるで笑ってるみたいですよ・・・・
最強の西南相手にバスケができる、今は嬉しくてしょうがないんでしょう」


ペロッ!


そんな祐人が舌を出す


橋爪 「おっ! あいつめ・・・・五万年早い!!!」


本当に集中した時にみせる祐人の癖


橋爪 「行けぇぇぇぇぇーーーーーー!!!」


ダーン!!!


祐人が跳んだ!!!


そのシュートは、これまでのどんなシュートより

速く、高く、そして力強く宙を舞った


相原 「高い・・・・・・」


体育館にいる全員の視線が祐人に注がれる

西南のツインタワーも同時にブロックに跳ぶ


(高さで負けるわけにはいかない)

やまけん、マサもこれだけは絶対に譲れなかった


二人の大きな手が祐人のシュートコースを完璧に塞いだ


「駄目か・・・万事休す!」

橋爪が諦めた次の瞬間、ボールを胸にガッチリと抱え込み、空中でブロックを掻い潜る


相原 「何ぃーーー!!!」


二人の間をすり抜けると、伸ばした腕からリングに向けて


ヒョイ!


やらかいタッチでシュートが放たれた


「来い!!!」

ベンチから立ち上がり、橋爪が拳を握り締めている


光輪ベンチも総立ちでボールの行方を追っているなか


バスッ!


バックボードに当たり、ネットを揺らした


ストンッ!


滞空時間の長いシュートから着地した祐人が、体育館中に響き渡るほどの大声で吼えた

「うぉぉぉぉーーーーー!!! よっしゃーーーーー!!!」


「ナイシューーー!!! 祐ちゃん!!!」

「くわぁーーーー!!! 来た来た来たぁーーーー!!!」

メンバー全員が祐人に向けて指を突き出す


光輪ベンチのボルテージも最高潮に達していた


「FUーーーーーーーー!!!」

奇声を上げる橋爪


パチ! パチ! パチ! パチ!

おもいっきり手を叩き、大はしゃぎの高橋


橋爪 「あいつ、ほんとに西南から右手一本で点を獲っちまった」


祐人のビッグプレーの余韻が覚めやらぬなか、試合時間23秒を残し
ラスト西南は、インサイドでやまけんが確実にシュートを決めると


『ビィーーーーーーーー!!!』


試合終了のブザーが鳴る


西南 60
光輪 19


結果、トリプルスコアー以上の点差で、光輪の大敗で幕が閉じたが
センターサークルに並ぶ光輪メンバーの、その汗だくの表情には、
僅かな達成感と、目標に向けての闘志に瞳を輝かせていた


Jeffrey's Time-korin20


続く



第36話 課題


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第34話 エース対決

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西南 54
光輪 17

試合時間 残り3分4秒


ディフェンスを頑張るものの、なかなか流れを引き寄せるまでには至らない

やまけん、マサのインサイドを固めれば外の、康平
外の康平を止めれば、インサイドのやまけん、マサ

両方をいっぺんに抑えるのは、今の光輪にとって至難の業である


エンドのスローインから、祐人が受ける


「ハイ! 祐人パーース!!!」

すぐさま、受けに来る航一に出すパスに、雄也がパスコースに跳びつくが

「うわーーやべぇーーー!!!」

パスモーションを途中で止める祐人


先ほどのプレーで、今度もパッシングで来ると読んだ雄也の勘が外れた


そして、自らドリブルでボールをフロントコート運ぶ

前線の拓帆にパスをさばき、すぐさまリターンを受ける祐人の前に康平が待ち構えている


「ハイ! 祐ちゃんパス! パス!」

航一のパスの要求を無視し、康平に向かい合う祐人


橋爪 「あいつ! 勝負する気だな!!!」


相原 「・・・・・・・・・・・」


ボールをフロアーギリギリで構え、まさに1ON1戦闘態勢



エース vs 自称エース


その場の空気を感じたメンバーは、勝負の行方をじっと見守っている


橋爪 (どこまで通用するか、やるだけやってみろ!!)


相原 (西南のエースが、同じ相手に二度もやられる訳にはいかないぞ)


高橋 「祐人君ガンバレーーー!!!」


鋭い視線で、康平を見据える祐人






二人の間に僅かな時間が流れた、次の瞬間


キュ!!!


爆発的瞬発力で、フロアーを蹴る祐人



神速のドライブ発動!!!


康平 (えっ!)


「抜いたぁぁぁぁーーーーー!!!」

「でたぁーーーーーーー!!!」


橋爪 「いや! まだだ!!! 抜けきれてない。」


予測を遥かに上回るスピードに、僅かに遅れて併走する康平

身体能力の差を、康平の経験と読みが抜かれるまでには至らなかった


相原 (右だと分かっていたからこそ抜かれなかったものの、
もし左の選択肢もあったら、流石の康平でもどうだったか・・・・・)


キュ!  キュ!


急激なストップから、クロスオーバーを繰り出す祐人


しかし、ボールの軌道に康平の手が伸びる


パシッ!


祐人 「あっ! ヤバイ!!!」

カットされたボールはルーズボールとなり、フロアーを転々とする


橋爪 「ルーズだ! キープしろぉーーー!!!」


ドカーーン!


橋爪の声より先に、ルーズボールに跳びつく二人


ピィーーーーー!!!


オルタネイティングにより西南ボールとなる


「ふぅーーーーー!!!」

どうにか、エースの面目は保たれたと、ホット一安心する相原


光輪のディフェンス


「航一ーーー! 拓帆ーーーー」!

そして、ベンチから指を二本立てた橋爪の指示がとぶ

それを見て、コクリとうなずく航一、拓帆


しかし、この子は

祐人 「ピーーーーース!!!」


橋爪 「ピースだぁーーー!!! どうしょうもないな!?」


「祐ちゃんピースじゃないよ・・・・・」

橋爪の隣で、呆れ顔の孝汰


サイドのスローインからボールを受け取る康平に、航一、拓帆がプレッシャーをかける


相原 「んっ! ダブルチーム!!」 (そうきましたか)


試合時間 残り2分37秒

ついに橋爪が仕掛ける

「このまま、終わるわけにはいかないからな、イチかパチかの賭けだな」


それもそのはず、拓帆も康平につくことで、
遼介がインサイドのカバーをしながら、雄也、純哉を守らなければならない

まさに、大博打のディフェンス


相原 (二人もフリーにして、大丈夫ですか橋爪さん?!)


康平から雄也にパスがとおるが、遼介も僅かに出るがそれ以上は深追いはしない

外が苦手な雄也もあえて自分で撃たず、フリーの純哉にすぐさまパスをさばく


パシッ!


ミートと同時に、ゆっくりとしたモーションからシュートを放つ純哉


橋爪 (来るなぁーーーー!)

高橋 「お願い! 入らないで!!」

ほとんど、神頼みの光輪


ガンッ!


そんな祈りが届いたか、純哉のシュートが外れる


純哉 「あれぇーーー!」 (来たと思ったんだけどな)


橋爪 (ラッキーーーー!!!)


相原 (それは決めないとまずいだろう・・・)


「スクリーンアウト!!!」


マサをミッチーが、やまけんを祐人と遼介がガッチリとブロック

西南のオフェンスリバウンドを完璧に押さえたはずだったが


パシーン!


リバウンドを制したのは、飛び込んできた雄也


バスッ!


そのまま、ゴール下でシュートを決める


西南 56
光輪 17


さすがに、雄也の飛び込みまでは止めることが出来なかった光輪


「よっしゃーーー!!!」

拳を握り締め、雄也が吼える


外を捨てられた雄也の、意地のオフェンスリバウンドからのカウント


自軍のベンチに眼をやる雄也に、相原が賞賛する

「ナイスリバウンド!! 雄也!!!」

(仮にも雄也は西南のベストメンバー、舐めてもらっちゃ困りますね)


「ディフェンス! 一本止めるぞーーー!!!」

直ぐにディフェンスに切り替える雄也が祐人を捕まえる


相原 (おぉ! 少しは乗ってきたな)


遼介のスローインを簡単に雄也を振り切り受ける祐人

「くっそぉーーーまたやられた!!!」


祐人と雄也のポテンシャルの差は歴然

スピードでは圧倒的に不利な雄也だが、西南のベストメンバーの意地で祐人に食らいついていた


ディフェンスには、絶対の自信を持つ雄也にとって、
これまでどんな相手だってキッチリと止めてきた、
そして、チームを勝利に導いてきた

しかし、祐人の半端じゃないスピードの前に手も足も出ない


相原 (雄也! ここが踏ん張り時だぞ)


しかし、がんばりだけでどうにかなるほど現実は甘くはなかった


あっと言う間に、祐人の背中を見ることとなる


再び、光輪のチャンス

光輪もこれまでターンオーバーでチャンスをことごとく潰している


祐人「ここは、必ず点を獲らないと」


やまけん、マサがインサイドを固める

「中は無理か・・・・・」

かと言って、どう攻めたらいいか悩む祐人

(こんな時、シューターがいたらなぁ!)


その時、やまけん、マサの間をすり抜け慶太を振り切った拓帆がフリーになる

「ハイ! 祐ちゃん!!!」


パシッ!


祐人から拓帆にいいパスがとおる


橋爪 (あいつにしては良く見てたな)


そのままシュート体勢に入る拓帆に、慶太が懸命にチェックに跳ぶ


「・・・・・・・・」

シュートのリズムを狂わされた拓帆


橋爪 (あれじゃ駄目だ!)


そのシュートは打った瞬間に外れると分かるほど、軌道のずれたものだった


ガン!


橋爪の予想どうり外れたシュートは、リングに弾かれ、
やまけんがリバウンドを制する


橋爪 (フリーじゃなきゃ決められない・・・・・
せっかく良いものを持っているのに勿体無い!)


この後、両チームとも互いにシュートまでは行くものの、
得点にはつながらず、試合時間も残り1分を切った


続く



第35話 次につなげろ


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番外編 ハイタッチ

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キュ! キュ!

ダン!ダン!ダン!ダン!

バスッ!

「ナイシューーーーー!!!」


ここ十王子中学校、今日も厳しい練習に汗を流す子供達
西南ミニバスの子供達が進学する中学校である


指導者は越山コーチ
外部コーチで厳しい指導に定評のある、優れたコーチである


なにより、挨拶、返事、言葉遣いといった事には、
徹底してこだわりを持っている。


卒団生をお願いする側としても、安心して預けることの出来る男である


そんなある日の練習で、O君に眼が留まる越山


「何をやってるんだーー!! あいつは!!!」


決して手を抜いて練習している訳ではないのだが、
もともと自分をアピールするのが下手なO君


もちろん、西南ミニの卒団生

はためからすると、覇気がなく練習に対する姿勢が悪いと見られがちな不器用な子なのだが
しかし、体育会系の越山にとって、そんなO君が歯がゆくてたまらなかった


「ちょっと来ーーーーい!!!」


練習中に呼ばれ、子走りで越山の下に行くO君


「何だろう?」


O君を前に、右手を大きく上げ
(少しは気合を入れて練習しろ)と願いを込めて振り下ろす


周りの誰もが「やられる」と思った、その瞬間、、、



パーーン!!!


何と、いきなりO君のハイタッチ炸裂!


「えぇぇぇぇぇぇぇーーーーー!!!」


その場にいた全員がポッカリと口を開け、
唖然としたのは言うまでもない。


何より、一番びっくりしたのは越山


「・・・・・・・・・・」


しばし沈黙の後、越山の口から出た言葉は、、、


「もういいよ! 練習に戻れ・・・・」


何だか拍子抜けして、言う気力さえなくなっていた越山を傍目に、
その後も淡々と練習するO君


これは実際におきた出来事であるが、
これを聞いた橋爪は、この子が将来、大物になると確信したのは言うまでもない。




最新話『第33話 流れ』


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第33話 流れ

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『ビィーーーーーー!!!』


タイムアウト終了のブザーと共に、西南メンバーがコートにいち早く向かうが、
光輪ベンチでは橋爪が尚も子供達に指示を出している


「始めますよ!」

審判の言葉に、まったく無反応な橋爪


「早くしてください! 光輪さん!!」

更に催促する審判に


ピキ!


橋爪 「どうもすみません!!!」

しかし、その言葉とは裏腹に、表情は険しいものだった


高橋 (さっきのイブ君のチャージングを、まだ根に持ってるのかな?)


そして、子供達全員が無言で突っ込みをいれる

「響か!!!」

とても怖くて声に出しては言えなかった


橋爪 「さあ! 残り3分28秒。ここでやらなきゃやる時無いぞ!!!
試合が終わったら、ぶっ倒れてもいいから死ぬ気でやってこい!!!」

子供達にハッパをかけ、コートに送り出す橋爪


コートに向かうメンバーに

「ガンバレーー!! 声出していこーー!!!」

試合に出られない分、ベンチから大声で声援を送る孝汰


振り向きざまに、サムアップで返す祐人

1年生の時から、二人で一緒にやってきた祐人にとって、
孝汰の抜けた分まで「自分がやらなきゃ」と気合十分!

同じく、航一も「後はまかせろ」と言わんばかりに、サムアップで返す


エンドラインでは、しびれを切らした審判が待っている

橋爪と視線が合い、お互い思わず苦笑い


高橋 (案外、根に持つタイプなんだな・・・・)


そして、航一のスローインで試合再開

西南はあくまでも、オールコートマンツー

しかし、ここから光輪が意地をみせる


遼介にパスを出すと、すぐさま、コートに入る航一にはピッタリと康平がついている


「ハイッ! 遼介!!!」

そこに祐人が受けに来る


パシッ!


今度は無理に抜こうとせず、ミートと同時に航一にパスをさばく

祐人と航一のスピードに乗ったツーメンで、一気にフロントコートに運ぶ

もともとスピードのある二人、スタミナは十分あるうえに
気合のはいった祐人と航一を止めるのは、西南といえど簡単ではなかった


パシッ!


雄也を振り切った祐人に、航一からラストパスがとおる

西南がオールコートでつく分、抜かれた時のリスクは大きい


フリーになった祐人が、一気ゴールに向かうが、そこにマサがカバーに入る

しかし、そんな事はおかまいなしにシュート体勢にはいる祐人
踏み切る瞬間、マサがカバーに来た為、フリーになったミッチー

眼を切りパスフェイクを入れるが


(フェイク! 自分で来る!!!)

まったく反応しないマサ


ダン!


レイアップに跳ぶ祐人にマサもブロックに跳ぶ

右手を伸ばし、リリースするボールにマサの手がシュートコース遮る


橋爪 (駄目か!!!)


マサ 「エッ!」

シュートから一転、ビハインドでミッチーにパス!!!


橋爪 「おっ!やるなぁー!!!」

これには、ベンチも大盛上がり

「うおぉぉぉぉーーー!!! すげぇーーーーー!!!」


しかし、

そのパスは、とんでもなく明後日の方向へ


懸命にキャッチしようとするミッチーだが、惜しくもエンドラインを割ってしまう


「あぁーーーーーあ・・・・・・・・」

盛り上がってたベンチは、大きなため息に変わる


祐人「やべぇーー!! やっちったよ!!!」


橋爪 「やると思ったよ・・・・」 (やっぱり祐人だな!)

しかし、孝汰だけは

「祐ちゃん、ドンマイ!! 惜しい!惜しい! ナイスプレーだよ!!!」


そして西南のオフェンス

スローインはマサ、受けようとする康平のすぐ後ろには、
航一がピッタリとマークしている


康平 VS 航一


橋爪の指示どうり、オールコートでプレッシャーをかける

他のメンバーはハーフでカバーリング重視のポジショニング


ボールを受け取ると、巧みなハンドリングで航一に揺さぶりをかける康平


航一 (絶対にぬかせないぞ! 死んでも離れないからな!!)


抜きにかかる康平に、航一が併走する


孝汰「ナイスディフェンス!!!」


キュ!


いきなりストップする康平に、一瞬バランスを崩す航一を見て再び加速する


「速えーーーー!!! いいぞぉーーー康平!!!」

(うわーー!! やべぇーーーやられた!!!)

緩急をつけたドリブルに、ついて行けない航一


しかし、康平のすぐ後ろを懸命に追いかける

カバーに来た拓帆に、僅かにスピードを落とす康平


航一 (よしっ! いただき!!)


後ろからカットを狙った航一の手が、ボールに触れる瞬間、

航一 「なんだぁーーー!!」 (後ろに眼がついてんじゃないのか)


ヒラリとかわす康平

やっと追いついた航一が、再びタイトにつく

航一 (これはマジやばいなぁーー!!!
孝汰はこんなのにマッチアップしてたのか!!!)

実際、自分でついてみて、初めて分かる康平の凄さ


航一 (だけど、やるっきゃない) 「さあ来い!!!」


そして、インサイドのやまけんにパスのタイミングを狙っている

ペイントエリアでは、やまけんが動くが祐人の運動量が面取りを阻止している

橋爪の策がズバリ的中した


普段、大きい相手とマッチアップしているやまけんにとって
サイズの違う祐人の素早い動きにてこずっていた


やまけん (ちょこちょこ邪魔だなぁーー!)


相原 「落ち着いて、しっかり面を獲れーーー!!!」

20cmちかい身長差を、祐人が半端じゃない運動量で防いでいる


(あーーー!! くっそーーもお!!!)

苛立つやまけん


裏パスを出そうとするも、遼介がスティールを狙っている

マサにはミッチー、純哉には拓帆がピッタリとマークしている

唯一、雄也がフリーになっているが、
光輪はあえて雄也の外を捨てる代わりに、遼介にインサイドのカバーを優先させた
  

先ほどの、橋爪のベンチでの指示は、

「雄也の外はある程度捨てろ! もし入ったとしても、事故だと思って諦めろ!!!」

高橋 (なんか、ひどい言い方・・・・)


「それより、インサイドの祐人のカバーだ!! やまけんにボールを入れさせるな!!!」


西南のオフェンスが止まった


相原 「うちの手の内を知っているだけに、嫌なところをついてきますね」


(康平、任せたぞ!!)

こんな状況を打開してこそ、真のエース


航一は少し引きぎみで、康平のドライブに備えている

トリプルスレットからセレクトしたプレーは、ジャンプシュート


「えっ!・・・」

予想外のシュートに慌ててチェックに行く航一


橋爪 (いきなり外か!! しかしリズムが悪い、これは入らない!!!)


康平 142cm
航一 144cm

身長は僅かに航一が勝るが、ほぼ互角

しかし、ジャンプ力の差が遥かに航一の上を行く


ある意味、空中でフリーになる康平

航一の上から、高いアーチのシュートが放たれた


もうひとつの橋爪の指示

「やまけん、マサにリバウンドを獲らせるな!! 絶対に飛び込ませるんじゃないぞ!!!」


そして、その指示どうりやまけん、マサをガッチリとブロックするが!


バスッ!


橋爪の予想に反して、ボールはリングを通過した


「ナイシュー康平!!!」

両手を上げガッツポーズ、期待どうりの康平のプレーに満足する相原


「あれを入れてくるのか!!!」

唖然とすると同時に、康平のポテンシャルの高さに、改めて脱帽する橋爪


西南 54
光輪 17


橋爪 「やはり康平をどうにかしないと・・・・・」

なかなか引き寄せられない流れに、
更にこの後、康平対策の指示が橋爪から伝えられる


試合時間 残り3分4秒


続く


第34話 エース対決


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第32話 秘策

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試合時間 残り4分3秒

西南 48
光輪 17


まんまと西南のトラップにハマり、5秒バイオレーションをとられた祐人。

西南のスローインで試合が再開される


橋爪 「声を出せーーーー!!! 声が出てないぞーーー!!!」

疲労が増し、足が動かないイコール、声も出なくなる


今、この局面で光輪に必要なものは、メンタル面での強さ
「精神が肉体を凌駕する」小学生にとって意識的に行うのは非常に難しい

しかし、それを手っ取り早く行うには、「声を出す!」とにかく大声を出す!!


「さあー! ディフェンス!! ここは絶対に止めるぞぉーーー!!!」

橋爪の指示に、いち早く声を出す孝汰だが
4Qに入って、康平をマークし続けている孝汰の膝も、徐々に悲鳴をあげ始めていた。


橋爪 「そうだ! もっと出せぇーー!!! 声出して、足を動かせ!!!」


祐人 「ディフェンス! ディフェンス! ヨシッ来い!!!」

「ディーフェンス! ディーフェンス!」

光輪ベンチも、ありったけの大声を出す


雄也のスローインから、純哉、康平へと速いパス廻し

そして、インサイドのやまけんへ


パシッ!


バスッ!


必死のディフェンスにも関わらず、いとも簡単にやまけんのシュートが決まる
康平から、絶妙のタイミングで放たれたパスがやまけんのシュートを楽に決めさせている


西南 50
光輪 17


そして、西南は

「4番オッケー!!」

「5番OK!」

「7番OK!!!」

「8番オッケーだよ!!!」


祐人 (8番オッケーだぁ! 今度は絶対に抜いてやる)

遼介がボールを持ってエンドに出た時には、
既に全員が西南のディフェンスに捕まっていた


橋爪 (切り替えがめちゃくちゃ速い!! 完璧なトランジション!!!)


相原 「5秒獲れーーー!!! もうちょいだぁ!!!」

遼介の前には、再びやまけんがスローインを阻止すべく立ちはだかる


橋爪 「遼介ぇーーー!!! 時間がないぞぉーー!!!」


バシィ!


慌てて出したボールは、やまけんの手に弾かれアウトオブバウンズ


橋爪 「あぶねぇーーー!!! まったく何やってるんだーーー!!!」

かろおじて相手ボールにはならなかったものの、状況は一向に変わっていない
むしろ今度は動けない分、前よりも悪くなっていると言えるだろう

尚も、西南のディフェンスは容赦なく厳しくついている


『ピィーーーーーー!!!』

スローイン出来ないまま、再び5秒バイオレーションのホイッスルが鳴る


ボールをフロントコートに運ぶどころか、コートにすら入れられない


高橋 「橋爪さん! ここはタイムアウトをとったほうがいいのでは?」

ベンチにどっしりと座ったまま、橋爪は動かない


エンドから西南のスローインで試合再開

トップの康平にボールが渡る


キュ!


小細工なしで、一気にドライブする康平

あっさりと抜かれる孝汰、もはや康平につくだけの脚力は無かった


バターーン!


足がもつれ、フロアーに転がる孝汰

そして、フリーになった康平がフリースローラインでジャンプシュートの体勢にはいった


ダン!


膝を深々と曲げ、その力を一気に爆発させた


橋爪 「高い!!!」

高橋 「うわーーーー!! 綺麗!!!」


橋爪 (トップスピードからのストップ、そしてシュートまでの一連の流れが、
実にスムーズに行っている。)

「綺麗なフォームだ!!!」


相原 (ヨシッ! もらった!!!) 「何!!!」


最高到達点でリリースしようとする康平に、ブロックに跳んだ祐人の手が視界を遮った


(駄目だ!! やられる!!!)

無理だと判断した康平が、空中でパスに切りかえた


パシッ!


バスッ!


ゴール下で背中でしっかりと遼介をシールしたやまけんがシュートを決める


相原 「ナイシューーーやまけん!!!」 (いい合わせだ!!!)


祐人 「クッソォーーー!! 打ってればブロック出来たのに・・・・」


『ピィーーーーーー!!!』


フロアーに倒れている孝汰にレフリータイムのホイッスル


孝汰 「ウッ! いってぇーーー!!!」

「孝汰、大丈夫??」

孝汰の周りに、心配そうにメンバーが集まる


高橋 「孝汰君、大丈夫ですかね?」

「どうやら、足がつったみたいですね」

そう言うと、すぐさまタイムアウトを要求する橋爪


『ビィーーーーーーーー!!!』


『チャージドタイムアウト 青(光輪)』


足を引きずりながら歩く孝汰に、祐人と拓帆が肩を貸す

ゆっくりとベンチに腰掛ける孝汰に

橋爪 「孝汰! 交代だ。 ・・・ここまでよくやった!!」

孝汰 「大丈夫です! まだ出来ます!!!」

しかし、その表情からは、疲労の色が隠せなかった。
やる気まんまんでも、実際、体がついていかない疲労困憊の孝汰


橋爪 (光輪で1、2のスタミナを持つ孝汰でさえ、
康平をマークするのは至難の業だというのは十分わかっていたが
まさか、ここまでとは・・・・・かなり厳しいな!)

康平に奪われた得点は16点、それでも橋爪は孝汰の活躍に満足していた。


橋爪 「後は仲間に任せろ! ・・・いいな!!」

孝汰 「・・・・・・ハイ!」 (くっそぉーー!!!)

自分の情けなさに、落ち込む孝汰


今日の経験が、孝汰の将来に必ずプラスになると、橋爪は確信していた。


『ビィビィーーーーーーー!!!』


光輪のメンバーチェンジ

ここにきて、橋爪から視線を逸らす子は誰一人いなかった
むしろ、「僕が出ます」といった熱い気持ちが感じられるほどだった


橋爪 「航一! 行くぞ!!!」

「ハイッ!!!」

とびきりの大きな返事



*#9 PG 下條 航一(シモジョウ コウイチ)  5年/144cm/36kg
光輪において、孝汰と二分するスタミナ王
食らいついたら、絶対に離れないディフェンスは相手にとって脅威だ! 下條団長の息子



橋爪から秘策が言い渡される

橋爪 「航一は康平にオールコートでつけ!!!」

航一 「ハイッ!」 (よっしゃぁー待ってました!)

自分の最も得意とする指示に、思わずニコリ!


橋爪 「西南のオフェンスの基点は康平だ!
あいつを止められれば、必ずオフェンスのリズムは狂うはずだ。
責任重大だぞ!・・・・・出来るか?航一!!!」

航一 「任せてください! 僕がやらなくて誰がやるんですか!!!」


パチーン!


航一 「痛ぇーー!!」

航一のおでこに、橋爪のデコピンがヒットする


「調子に乗るんじゃない!! 5万年早い!!!」

しかし、橋爪の表情には、笑みがこぼれていた


橋爪 「それと、若干のマッチアップの変更をする。
雄也には遼介、そしてやまけんには祐人がつけ!!!」


「やまけんに僕がですか・・・・?」

予想外のマッチアップに驚きを隠せない祐人


橋爪 「高さで勝負しようとするんじゃない!
平面ならおまえのほうが上だ!!!」

祐人 「平面・・・・・ですか???」


橋爪 「とにかく!!! おまえのスピードでやまけんにボールを持たせるんじゃない!!!
ディフェンスを頑張れって事だよ!!!」


ポン!


「なるほど! そっかぁーーー!!! アイアイサーーーー!!!」


バチーーン!!!


「痛てててててぇーーーー!!!」

手を叩き、納得する祐人に橋爪の強烈なデコピンがクリーンヒットする


橋爪 (ほんとに分かってるのかこいつは・・・・?)


果たして、この秘策が吉と出るか凶と出るか?


試合時間 残り3分28秒

西南 52
光輪 17


続く


第33話 流れ


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第31話 復活

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試合時間 残り 4分35秒

西南 46
光輪 17

イブの予想外のシュートで西南から得点を奪う


しかも、相手は西南のエース康平!


「来た! 来た! 来たぁぁぁーーーー!!!」
「イブの連続得点だぁぁーーーーー!!!」


あっけに取られる康平 (まさか、あそこで撃ってくるなんて!)


思わぬ伏兵の活躍に、光輪ベンチはお祭り騒ぎ
しかし、周りの盛り上がりとは逆に、橋爪は複雑な表情を浮かべている

「・・・・・・・・・・・・・」


そんなベンチの前を、ディフェンスに戻りながらイブが通り過ぎて行くが
橋爪の表情を見て、一瞬にしてイブの表情が強張る

視線をそらすイブ


橋爪 (入ればいいってもんじゃないだろう・・・・・・・・・
あそこは、待つのがセオリー!)


しかし、尚もベンチは大騒ぎ!!!

「イブーーーー!! ナイシューーー!!!」
「ヒューーー!! ヒューーー!!!」


橋爪 (・・・・・結果オーライって事で)

「まあ!・・・いっかぁ~~~!!!」

パチ! パチ! パチ! パチ! パチ!

手を叩きながら、もお、何でもあり的な橋爪も吼える

「オッケーーー!!! ナイシューーーー!!! イブゥーーーー!!!
FUーーーーーー!!!」

イブに向けて、指を突き出す橋爪


強張ったイブの顔が、八の字眉毛全開の笑顔に変わる


『ビィーーーーーー!!!』

『チャージド・タイムアウト 白 (西南)』

ここで、相原がタイムアウトをとる


橋爪 (そろそろ出てくるな!)


イブの活躍に、自分の事の様にはしゃぐ祐人

「イブ! あんまり活躍すると、俺の出番がなくなるじゃん!!」

イブ 「エヘッ!」


ゴン!

そう言うと、拳を合わせる祐人とイブ


ベンチで、もみくちゃにされているイブに橋爪が声をかける

「イブ! ナイスシューー!! 良くやった!!!」


イブの頭を撫でながら交代を伝えると、視線を祐人に向ける

「祐人! 準備はいいか?そろそろ行くぞ!!!」

祐人 「ハイ! いつでもOKです!!」


パン! パン!

両頬を叩き、気合を入れる祐人 (よーーーし! やってやるぞ!!!)


『ビィビィーーーーーー!!!』

西南のメンバーチェンジを告げるブザーが鳴る


ベンチから立ち上がり、オフィシャルに向かうやまけん
その表情には、驕りや過信はまったくない


『ビィビィーーーーー!!!』

続けて、光輪もメンバーチェンジ


橋爪 「おい! 祐人行くぞ・・・・って!! あいつは何処だ?」

「橋爪さん、祐人君ならあそこに・・・・・」

高橋の指差す先には、既にオフィシャルテーブルで登録をしている祐人
闘志むき出しで、やまけんを見上げる祐人


橋爪 「バカたれがぁー! まったくしょうがないなぁーー!!!」


『ビィーーーーー!!!』

タイムアウト終了のブザー


両チームのメンバーがコートに向かう

西南はやまけん、光輪は祐人が戻ることで、ベストメンバーどうしの対決
やまけんが入ることで、西南のオフェンス力は格段にアップする


試合時間 残り 4分30秒


マサのスローインから康平にボールが渡る


「・・・・・・・・・・・」

西南のベンチ前では、腕組みをしながら、じっと戦況を見つめている相原


ゆっくりとしたドリブルでボールキープしながら、ゲームメイクする康平


橋爪 (このまま、祐人狙いでくるのか?それとも・・・・・・)


そして、康平がセレクトしたプレーは


やまけん!!!


パシッ!


ローからハイポにフラッシュするやまけんにパスが通る

背後には、遼介が体をはって止めている


「くっそぅーー!! 重めーーー!!!」

振り向きざま、ゴール下にパスをさばくやまけん


パシッ!


そこには、マサが待ち構えていた

やまけんからマサへの、ハイローの合わせ


相原 「マサァーーー!!! 勝負!!!」


右にフェイクをいれ、左にターンシュートを放つマサ

しかし、そのシュートにドンピシャのタイミングで、ミッチーがブロックに跳ぶ


チィッ!


ミッチー 「触ったぁーーーー!!!」


ガン!!


僅かに、ミッチーの指先がボールに触れ、シュートが外れる


ミッチー 「ヨシッ! やった!!!」

ゴール下では、各プレイヤーがスクリーンアウトをかけ、体をぶつけ合っている

ミニバスといえど、ゴール下は戦場である。


膝を深々と曲げ、リバウンドに備えるプレイヤーの間を
遼介をかわし、やまけんが飛び込んでくる


遼介 (あぁーー!! やべぇーーーーーー!!!)


ダン!

外れたシュートに、いち早く反応したやまけんが跳び上がる


パーン!!


バスッ!!!


タップでシュートを決める


ダーーーーン!!!


スタンスを広げ、フロアーに着地するやまけん

まるで、力士の四股を踏むようなポーズ


「うぉぉぉぉーーーーー!! よっしゃーーーーー!!!」

両拳を握り締め、吼えるやまけん

外された悔しさが、一気に爆発した


西南 48
光輪 17


橋爪 「遼介ぇーーーー!!! 何サボってるぅーーーーー!!!」

遼介 「うわっ!! やっべぇーー!!!」

橋爪 「おまえはリバウンドを獲らなくていいから、
やまけんを押さえる事だけに専念しろ!!!」


そして、スローインしようとする遼介

「えっ!!」


ここで、一気に畳み掛けようとする西南の伝家の宝刀


オールコートマンツー!!!


試合時間 残り 4分13秒


試合も終盤にはいり、明らかに疲れの見える光輪に対し
西南は底なしのスタミナでタイトにあたってくる

遼介の前には、両手を広げたやまけんが立ちはだかる。


遼介 「うわぁーーー!! 前が見えない!!!」

右に左にへと、懸命に動きながらスローインしようとするが
ことごとく、やまけんがパスコースを消している

外されていた分、スタミナ充電は100%だ!!


しかし、ここにも一人スタミナ充電200%の子がいた


「遼介ぇーーーーー!!! パス! パス! パーーーース!!」

スピードで雄也を振り切り、5秒バイオレーションぎりぎりで祐人が受けに来る。


パシッ!


遼介から祐人にパスがとおった

しかし、コーナーでミートした祐人の前には、雄也、やまけんがコースを塞いでいる。


自らトラップにハマりに行った祐人

さらに、雄也とやまけんが間合いを詰める


ピボットで懸命にボールをキープする祐人
抜くチャンスをうかがうが、そうは簡単にやらせてはくれない


「ハイ! 祐ちゃん! 出して!!!」

孝汰が呼ぶが、康平の厳しいマークがパスをさばかせてくれない


『ピィーーーーーーー!』


5秒バイオレーションのホイッスルが鳴り、西南ボールとなる


祐人 「くっそぉーーーーー!! ちくしょうーーーー!!!」


ここから、西南のディフェンスの本領が発揮される。


試合時間 残り 4分3秒


続く


第32話 秘策


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第30話 意外な戦力

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西南 44
光輪 13


光輪ボールで4Qがスタートする


泣いても笑っても、これが最終クォーター

点差は31点と、逆転不可能な点差にもかかわらず、
不思議と光輪メンバーに、気負いや焦りは見受けられない

むしろ、何かが吹っ切れたかのように、のびのびとしている。


西南は未だ、やまけんはベンチ、3Q後半のメンバーのままでスタート。


一方、光輪は4ファールの祐人の代わりにイブが入ることで、マッチアップは、

ミッチー(154cm)に雄也(150cm)
イブ(143cm)に慶太(146cm)

これで光輪に高さのアドバンテージは無くなった


(このQだけでも、絶対勝ってやる!)

孝汰はやる気マンマンだ!


孝汰からイブ、拓帆と外でボールを回す光輪


西南のディフェンスは相変わらずタイトについている

4Qに入っても、西南の脚力はいっこうに衰えない
むしろ、ここにきて更に厳しく付き始めた


一方、光輪は

「まずいなぁーー! 足が動いてないな!! そろそろガス欠か・・・・・・・」

子供達の変化に、いち早く気づく橋爪


いくら厳しい練習を積んできたとはいっても、あくまでも練習でのはなし。

実戦とはくらべものにはならない。


そんな状態でのパス回し、イブからのリターンを

孝汰 「イブ! 駄目ーーー!!!」


パシィ!


康平のスティール (よしっ!)、

一気にゴールを狙う康平に孝汰が併走する


孝汰 (ここは絶対に止めるぞ! やらせるかぁーー!!)


そのすぐ後を、慶太が走っている

自分のミスからのターンオーバー、イブも慶太に必死に食らいついている

他の西南メンバーもスタートを切るが、スタミナの切れた光輪メンバーの
戻りが明らかに遅れ始めた


橋爪 「・・・・・・・・」


孝汰の必死のディフェンスが、康平のオフェンスを止める

康平も無理をせず、ここは一旦仕切りなおす


そこへ、

「ハイ! ハイ! ハイ! 康平!!!」

慶太が縦切れして来るが、両手を大きく広げ
イブがパスコースを消しながらパスを通させない

ドリブルを続けながら、パスのタイミングを計る康平

そのまま、カッティングする慶太のすぐ後を、マサが走りこんでくる。


遼介は追走しているが、つけていない


「ハ-イ!! 康平ーーー!!!」


パシッ!


フリーのマサに、康平からパスがとおる


しかし、ミートした瞬間マサの目の前には

イブ!!


しっかりと、コースにはいっている


勢いのついたマサは止まり切れない

ドーーーーン!!


ドカーン!!!


「痛いっっっ!!!」

マサに吹き飛ばされるイブ


「ヨシッ! もらったぁーー!!!」

拳を握り締め、審判に注目する橋爪だが、ホイッスルは鳴らない


「えぇぇぇぇーーーー!!! チャージングでしょう!!!」

思わずベンチから立ち上がり、大声で怒鳴る橋爪
今にも、いすを蹴っ飛ばしそうな勢いだ


しかし、審判はプレー続行のジェスチャー


「それは無いだろうーー!!!」 (何処、見てんだよ!!!)

尚も、食い下がる橋爪だが、審判はテクニカルをとる様子は無い


相原 (完璧にチャージング・・・・仮にディフェンスだとしても、
ホイッスルが鳴らないのはおかしい、明らかにミスジャッジ!!!)


イブと接触したマサは、バランスを崩しながらも康平にリターンを返す
その間に、光輪メンバーも戻りきり、マッチアップ完了


しかし、ゴール下でイブが転倒したために、一旦切れた慶太が


右 45度  ドフリー


それを、康平が見逃す筈は無い


パシッ!


康平からの鋭いパスが慶太にとおる


イブ 「あっ!」 (やばい!!)

慌てて起き上がり、ダッシュでチェックに行くが、慶太、得意の長距離砲が放たれる


ブロックは出来なかったが、そのまま走り抜けるイブ


橋爪 「あいつめぇー!!」 (見切り発進か!)


ゴール下では、遼介の一瞬のスキをつき、マサがベストポジションを獲る


遼介 「しまった! やられた!!」


シュートが外れれば、マサのゴール下のシュートは必至


ガッーン!


しかし、慶太のシュートはリングに弾かれロングリバウンドとなる


慶太 (ちぇっ!) 「外しちゃった」


イブのチェックが、僅かに慶太の視界に入りシュートを外させた
僅かだが、ツキも光輪に傾きはじめた


パシィ!


大きく跳ね返ったボールを孝汰がキャッチすると同時に、パスモーションにはいる。
既にイブがスタートを切っているのを、事前に確認していたのだった

キャッチボイスより先に、アクションを起こした孝汰のファインプレー


そのパスコースに康平が跳びつく


康平 「えっ!」 (パスフェイク!!)

しかし、孝汰はパスモーションを途中で止めた
康平を跳ばした後に、ワンドリから前線のイブへ


パシッ!


イブ 「ナイスパーーース!!!」


バスッ!


イブのレイアップが決まる

西南のお株を奪う、イブのワンマン速攻


西南 44
光輪 15


満面の笑みで戻りながら、孝汰に指を指すイブは
既に、眉毛は八の字になっている


孝汰も同じく返す

「ナイッシューーー!!! イブ!!!」


「イブーーーー!! ナイスラン!!!」

「うおぉぉーーーーー!! きめたぁーーーー!!!」

大盛り上がりの光輪ベンチ


予想外の速攻に、戸惑いをみせる西南
しかし、ここでもこの子がチームに!

マサ 「ドンマイ! ドンマイ! さあぁーー!! 声出していくよぉーーー!!!」


常にピンチの時に、チームに活気を与え

西南の精神的支柱・・・・榊原 昌文(マサ)


橋爪 「あくまでも、西南の4番は康平だが、さしづめマサは影の4番といったところだな!
西南にとって、なくてはならないプレイヤー!!! その存在はとてつもなく大きい!!!」


康平のスローインからマサが受け取り、すぐさまリターン


「康平! 頼むぞ!!!」

ニコリと笑うと、全速力でフロントコートに走るマサ


そんなマサの背中を見ながら、康平がドリブルを始める
そして、西南のホットライン、康平とマサの必殺のピックアンドロール発動!


康平のドリブルにピッタリとつく孝汰に、
マサがスクリーンをセットする


遼介 「孝汰! スクリーン来てるよ!!!」

孝汰 (どっちだ! 抜けるのか? 切り返すのか?)


ゆっくりとしたドリブルからマサに向かう康平

予想外のスピードに、容易くファイトオーバーする孝汰だが
それを見透かしていたかのように、バックチェンジで切り返す

そして、再びスクリーンをセットするマサ


その瞬間

康平がギアを入れ替え、一気に加速する


孝汰 「うわぁーーー!! やばい!!!」


橋爪 (リピック・・・!)


ドカッ!


康平のチェンジオブペースに振り切られ、
懸命に抜けようとするが、マサのスクリーンがガッチリと孝汰をブロックする。


孝汰 「スイッチ! スイッチ!!!」


康平がすり抜けると同時に、マサも体を開く合わせの準備万端

遼介がスイッチした瞬間、絶妙なタイミングでマサにバウンズパスが通った


パシッ!


ゴールに向かってミートするマサに、邪魔する者は誰もいない


バスッ!


「ナイッシューーーー!!!」

ベンチからやまけんが大声で声援を送る

「ナイスパス! 康平!!」

マサの声に無言の笑顔で返す康平


西南 46
光輪 15


試合時間 残り 4分52秒


しかし、得点した直後、康平が振り向く先にはイブが走っている


西南にはめずらしく、セーフティーの不在


橋爪 「また見切り発進か!! あいつはディフェンスしてるのか!!!」

高橋 「行けぇぇぇぇーーー!! イブくーーーん!!!」

橋爪 (まあ! いっかぁー!!!)


フロアーに転がっているボールを獲ると、
すかさずエンドラインから、ショルダーパスを出すミッチー

既に、ハーフラインを越えているイブを康平が追いかける


ボールは康平の頭上を越え、イブの元へ


パシッ!


ミートしたイブは、再び速攻のレイアップに向かうが
康平が身体能力の差を、まざまざと見せつける事となる

シュートコースに入り、イブを止めた


「うぉぉーーーー!! 止めたぁーーー!!」

「速えぇぇぇーーーー!!! ナイス康平!!!」

康平の速さに盛り上がりをみせる西南ベンチ


「ヨシ!」 (よく止めた!!)

康平に絶対的信頼をよせている相原

(ここは、絶対にやられるなよ!)


康平 (そう何度も、速攻なんかさせないぞ)


康平に止められるが、落ち着いてドリブルを継続するイブ
フリースローレーン手前、リングまでは距離が遠い

イブのシュートレンジではない

少し引き気味にディフェンスする康平


橋爪 (これでは抜けないな!)


「ハーーイ! イブゥーーーー!!!」

そこに孝汰と拓帆が走りこんでくる


その瞬間、康平はパスだと考えた


橋爪 「オッケーーー!! イブ!! ナイスランだぁーー!!!
ここは待てよーー!! まだだぞぉーーーー!!!」


しかし

そんな橋爪の指示を無視するかのように、シュートモーションに入るイブ


康平 「えっ!」


橋爪 (おいおい・・・・! ほんとかよ?)

「イブーーー!! 待てぇぇぇぇーーー!! 打つなぁーーー!!!」


予想外のシュートにチェックにいけない康平

そして、渾身の力を込めたシュートが放たれた


橋爪 「あちゃーーー! 打っちゃったよ・・・・・
そこは打つとこじゃないだろ!!」


ボールはリングに一直線に向かっている


高橋 「入れぇぇぇーーーーー!!!」


バスッ!


高橋の願いが届いたのか、イブのシュートはネットを揺らした


橋爪 「入っ・・・・ちゃったよ!!!」


西南 46
光輪 17


試合時間 残り 4分35秒


続く


第31話 復活


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