君と歩いた道を

今は一人歩く

あの日と変わらぬ景色の中に

君の幻影が浮かぶ

嬉しそうに私を引っ張る

君の振り返った姿が


君と駆け回った梅園を

今は一人巡る

満開の梅の匂いに包まれて

幼かった君が浮かぶ

私が呼べば、駆け寄ってきた

眩しすぎるその瞳とともに


もう戻れない

二度と会えない

吹き抜ける一陣の風が

私の記憶をなぜる

どれだけ手を伸ばしても

どれだけ声を上げて叫んでも

君に届くことはない

君の最初から最期までを見てきたはずなのに

心が空っぽで

春風は冷たい

追憶の彼方

君を捜して

君と過ごしたその場所その時間を辿る




辛くて苦しい

不安でしょうがない

涙が出るほど過酷なセカイで

それでも生きていこうとするのは

それでも生かそうとするのは

一体何…?

素直に言えない

怖くて言えない

私は夢現

微睡みの中

そのベルが鳴るのを待っている

鳴るはずないのに

鳴るわけないのに

そんな都合のいいこと

愛されることを望み

愛することを怖れた

何かすべきなのに

自分が動けばいいのに

してもらうことを祈るだけ

ただ怖くて、怖くて

君に突き放されるのが

ただ、怖くて

ねぇ、どうして私と別れたかったの?

私のことを考えられなくなってしまった?

相手にしている時間がなくなってしまった?

相手にしたいと思わなくなってしまった?

確かにあなたが忙しいのは分かる

だから連絡してこないのも分かる

でもそれだけで、本当に私と別れたくなることなの?

私はその程度の存在だったの?

そんなことで私と一緒にいなくてもいいと思えてしまうの?

あなたが恋人というものをどう思ってるか分からないけれど

少なくとも私が思っているものとはズレがあるのだろうけど

そりゃあなたほど忙しくないにしても

私だって朝から晩まで拘束されているわけで

あなたのことばかり考えているわけにもいかなくて

だけどそれでも良いと思ってた

確かに私はあなたが好きで

あなたも私を好きでいてくれているだろうと

あなたと別れて、だんだんとあなたの存在が小さくなって

それ以上の速さであなたの中の私の存在が小さくなって

今の私にはそれがただ怖くて

止めたいのに、止め方が分からなくて

他に寄る辺がないのを実感して

また独りになったのかと自嘲する

あなただけはいなくならない、なんて事有り得ないと分かっていたはずなのに

今でも私はあなたの幸せを願ってる

あなたが好きな事をやれているならそれでいいと思ってる

だけど少しだけでも私を想ってくれるのなら

少しだけでも我が儘を聞いてくれるのなら

本当はもう少しだけ、あなたのそばにいたかった

何もしてくれなくていい、ただそばにいたかった

夢でも会いたい

声が聞きたいよ

寂しいなんて

言えるわけもなくて

貴方は遠くで

一人で頑張ってる

私も頑張らなきゃ

そう胸に刻んだ

きっと二人の距離は変わらないから

そう信じてるから

今度会ったときは、

思いっきり甘えさせてね