"Águas De Março" (三月の水) - Antônio Carlos Jobim | Down to the river......

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エジプト情勢(反大統領のデモ)が緊迫しています。

報道によると今週末が山場とか……。

中東諸国の社会情勢に疎いので今まで知りませんでしたが、今回のエジプトの件では「秘密警察」による国民の監視、言論統制等、民主主義とは名ばかりで、建前だけの「なんちゃって民主主義」の実態は恐怖政治による独裁体制の維持に他ありません。

中国や北朝鮮も「人民民主主義」という名の「なんちゃって民主主義」ですから、中東諸国も同じ程度の(独裁)国家ではと推察しておりましたが、他よりは少しはマトモだと思っていたエジプトがこれだとは……。

民主主義を機能させる要素は幾つかあると思いますが、最も大切なもののひとつが「表現の自由」ではないかと、改めて思いました。

今回のデモではインターネットの役割が大きいと指摘されていますが、案の定中国では、民主化の動きが自国に波及しないように、現在「エジプト」で検索しても今回のデモに関するページが出てこない(言論統制している)そうです。

為政者にとって最も都合が悪いのが「表現の自由」であることの証明でしょう。

たとえ嫌悪感を抱かせる表現が溢れていると感じても、それを認めないと、ゆくゆくは国の指導者を辞めさせるに、何人かの命を犠牲にしないとならなくなる事態に陥るのではないか……。

これは何も途上国のみ問題ではないでしょう。

この日本でも、次の記事を読むと、表現(言論)を統制したいという為政者の根源的な欲求の匂いを感じてしまいます。


都青少年健全育成条例改正:性描写規制、「つぶやき」うねりに 角川書店社長に聞く


死者が出ている今回のエジプトの事態と比べれば、過激な性表現なんて取るに足らないことだと個人的には思うのですが……。

でもまあ、「表現の自由」は簡単な問題ではないので、今回はこの辺にしておきます(^^;。




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今年の1月25日は、故「アントニオ・カルロス・ジョビン (Antônio Carlos Jobim)」の生誕84年目の日だったそうです。

当初の予定ではその1月25日にエントリーしようと計画していたのですが、忙しさにかまけて大分遅れてしまいました(>_<)。

ボサノヴァ (Bossa Nova)」の父とも言われるジョビンですが、僕自身はそれほどボサノヴァが好きと言う訳ではありません。

しかしそれでも、数あるボサノヴァの名曲の中で「Águas De Março (三月の水)」はどういう訳か大好きな曲です(^^ゞ。

「三月の水」とは秋にブラジルで降り続く雨のことだそうですが、この曲の詳しいことは次のリンク先を参照して下さい。


がまんしましょう。: Águas de Março






Elis Regina & Tom Jobim - "Aguas de Março" - 1974






この曲のどこに惹かれるのか考えると、簡潔な言葉(単語)とメロディが反復(循環)する構成にあるのかもしれません。

それは「ミニマル・ミュージック」のボサノヴァ版とでも表現したら良いのでしょうか……。

とにかく、歌詞が特徴的なので、「ここ」から訳も含めて引用します。


Águas de Março
Antonio Carlos Jobim


É pau, é pedra, é o fim do caminho,
É um resto de toco, é um pouco sozinho
É um caco de vidro, é a vida, é o sol,
É a noite, é a morte, é um laço, é o anzol
É peroba do campo, é o nó da madeira,
Caingá, candeia, é o Matita Pereira
É madeira de vento, tombo da ribanceira,
É o mistério profundo, é o queira ou não queira
É o vento ventando, é o fim da ladeira,
É a viga, é o vão, festa da cumeeira
É a chuva chovendo, é conversa ribeira,
Das águas de março, é o fim da canseira
É o pé, é o chão, é a marcha estradeira,
Passarinho na mão, pedra de atiradeira
É uma ave no céu, é uma ave no chão,
É um regato, é uma fonte, é um pedaço de pão
É o fundo do poço, é o fim do caminho,
No rosto o desgosto, é um pouco sozinho
É um estrepe, é um prego, é uma ponta, é um ponto, é um pingo pingando,
É uma conta, é um conto
É um peixe, é um gesto, é uma prata brilhando,
É a luz da manha, é o tijolo chegando
É a lenha, é o dia, é o fim da picada,
É a garrafa de cana, o estilhaço na estrada
É o projeto da casa, é o corpo na cama,
É o carro enguiçado, é a lama, é a lama
É um passo, é uma ponte, é um sapo, é uma rã,
É um resto de mato, na luz da manha
São as águas de março fechando o verao,
É a promessa de vida no teu coraçao



三月の水
アントニオ・カルロス・ジョビン


棒きれ、小石、道の終わり
木の切り株、少しの寂しさ
ガラスのかけら、人生、太陽
夜、死、結び目、釣り針
畑の仕事、木のこぶ
カインガ―の実、ランプ、マチア・ペレイラ(※)
朽ち木、堤の崩れ
深い神秘、望むか望まないか
吹き続ける風、坂の終わり
梁、窓、屋上のパーティー
降り続ける雨、川岸での会話
三月の水たちの中、疲れの終わり
足、床、道をゆく足どり
手のひらの小鳥、パチンコの石
空の鳥、地面の鳥
小川、泉、パンくず
井戸の底、道の終わり
嫌な顔つき、少しの寂しさ
杭、くぎ、先端、点
ぽとりと落ちる滴、数える、計算する
魚、動き、銀色が光る
朝の光、レンガが運ばれる
薪、一日、酔いの終わり
酒びん、路上の破片
家の設計、ベッドの中の体
故障した車、泥、そして泥
足跡、橋、ひきがえる、あまがえる
森の残り、朝の光の中に
夏を終わらせる三月の水たち
あなたの心の中にある命を約束するもの

※マチア・ペレイラ
ブラジルの民話に出てくる片足の黒人サシ・ペレレのこと

【対訳 by らいだぁ】



この曲は、僕が思っている以上に名曲なのか(^^;、近年でもよくカヴァーされています(^^ゞ。

2曲続けてどうぞ——。




Basia - Waters of March (Aguas de Marco)






Sofia - Waters of March (Aguas de Marco)






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僕が一番好きなのは「アート・ガーファンクル (Art Garfunkel)」のヴァージョンです。

彼の無機質な歌い方がこの歌詞に良く合っており、人間の想いや右往左往するその存在が、自然界にとっては些細なことではないか——と思わせる効果が出ていると感じるからです。




Art Garfunkel - Waters of March