旨みを湛えた肉厚な身は、かみしめるたびに口中を縦横無尽に行き交い、胃に納まった後も口いっぱいに余韻が広がるのです。 
何をかくそう、エビフライを食べる時のことです。

エビフライと聞いただけで、なんだかワクワクしてしまう。
幼い頃、デパートへ母に連れて行ってもらった際、大食堂でのランチの思い出がよみがえるからでしょうか?
子どもたちはハンバーグやエビフライなどの洋食を食べることによりウキウキすることを植えつけられることになり、以降の洋食ファンの素地となったのでしょう。記憶を司る脳細胞のある部分が激しく刺激されるのでしょう。

だから、男性の方が女性より、エビフライに執着する気がしてなりません。
きっとエビフライ、いや犬のしっぽがついていたら、ちぎれそうなほどにふってかぶりついていると思うのです。

子どもころからの食べ物への願望が2つあります。
ひとつは、既に執行すみです。それは、マクドナルドのハンバーガーを思う存分食べること。これは、8個完食でした。
もうひとつは、大きな有頭エビフライを手でぶらぶらさせながら、口のなかに放り込み続けること。こちらのほうの夢は、まだ、かなってません。

ただ、昔からの疑問があるのです。
エビフライを食べた時に最後どうしても気になってしまうのがしっぽの部分。みんなはどうしているのかな?

ぼくは、残そうとして、結局最高にマヨネーズやソースをかけて、食べちゃうんですね。
貧乏性です。

でも、身がぎっしりつまって、うまいんですよね。汚いという人もいますけど…。

こんなことを考えながら、ぼくは松坂屋の大食堂のお子さまランチに想いをこらし、遠い目でエビフライを眺めています。