ちょうど40年前の1983年11月30日、当時の国鉄線全線完乗を果たした私。
そのとき大学生でしたが、同世代であれば、JR6社が運営する高齢者向け会員組織「ジパング倶楽部」に入会し、鉄道の旅をお得に楽しんでおられるかたも少なくないかと思いますが。

この「ジパング倶楽部」が、来年4月より、入会要件を大幅に変更するそうです。

まずは、個人会員の年齢条件。
これまで「男性満65歳以上、女性60歳以上」となっていたのが、2024年4月1日新規入会申し込み分より、「男女とも満65歳以上」となります。

また、「夫婦のどちらかが満65歳以上」であれば、配偶者の年齢は不問である「夫婦会員」制度も、同じく2024年4月1日より、申し込み受付を終了するそうです。

なお、2024年3月31日(消印有効)までに入会すれば、60歳~64歳の女性も、また夫婦で入会したいというかたも、これまでと同じ条件で更新することができ、入会時と変わらないサービスを受けることができます。
現在、個人・夫婦会員であるかたも、継続・更新することにより、これまでと変わらないサービスを利用できます。
*いったん退会し、2024年4月1日以降に再入会する場合は適用されません

もちろん、昨今の情勢を鑑みれば、変更されるのもやむなしとは思います。
むしろ今どき、男女で入会時の年齢条件に差が、それも5歳も差があるなんて、時代錯誤も甚だしいと思えるのも無理はないでしょう。
*まあ一方で、「来年4月以降に還暦を迎えるから、鉄道が3割引で利用できるようになるなんてラッキー」と思っていた女子の皆さん、その悔しさは同じ女性としてとてもよくわかります…と、運よく60歳で「ジパング倶楽部」に入会できた私が言ってみる(笑)

また夫婦会員にしても、配偶者より同性の友人との旅をしたいとか、あるいは婚姻関係にはなくともカップルでお得に旅行したいとか、はたまた離婚とか死別などになった場合、切り替えとか煩雑じゃないかと思ったりとか。
メリットは夫婦会員のほうが一人あたりの年会費が若干安いという程度で、そのほかはあんまりないんじゃないかと。
例えばJR東日本の場合、現在は夫婦のどちらかが満65歳以上で「大人の休日倶楽部ジパング」に夫婦会員として申し込みが可能で、同時に全国組織の「ジパング倶楽部」にも入会することになるのですが、「大人の休日倶楽部ジパング」は同名のクレジットカードを持つことが必須になるので、夫婦それぞれにクレジットカード会社の審査が課せられ、その結果どちらか、あるいは両名とも「大人の休日倶楽部ジパング」に入会できない場合があるということです。
*ただし、全国組織の「ジパング倶楽部」自体は、年齢条件さえ満たせばクレジットカードの審査不要で、入会することができます(要年会費)

ちなみに私たち夫婦の場合、私が先行して50代で「大人の休日倶楽部ミドル」に個人会員として入会し、その後、ダンナが65歳を迎えたのを機に「大人の休日倶楽部ジパング」に同じく個人会員として入会。同時に私も夫婦会員として入会する道もありましたが、結局は60歳になった時に、個人会員として「ミドル」から「ジパング」へ切り替えるほうを選んだわけです。

まあ直接の関係はありませんが、長きにわたって販売されていた「フルムーン夫婦グリーンパス」のCMのイメージが強く、夫婦会員はふたり一緒に旅行しなくちゃならないのか、という思い込みがあったので、多少割高でも、それぞれが個人会員として入会、利用することに決めたというのが大きな理由です。
*実際は夫婦会員であっても、会員証は一人ずつ発行。それぞれ単独の旅行も、別行程の旅も可能なようです

今回の措置を聞いて、夫婦であってもそれぞれが個人会員として入会したという選択は、決して間違いではなかったということになりますが。

もっとも私たち、実は住んでいるJR東日本エリア以外の地域へ、「ジパング倶楽部」の割引を使って旅したことがないんですよ。
実際「ジパング倶楽部」の割引を使って旅行するのには結構複雑なルールがあって、「JR線を201キロ以上利用」「一部の列車や設備、期間は割引対象外」「きっぷを購入するときや旅行の際は会員証を提示、携帯しなければならない」「年間の割引旅行回数は20回まで、さらに新規入会者の場合は最初の3回までは2割引」などなど…。

これが、JR東日本やJR北海道のエリアが対象になる「大人の休日倶楽部ジパング」なら、年間の回数制限なく、「大人の休日倶楽部ジパング」クレジットカードを券売機に通すだけで、面倒な手続きなく、原則3割引できっぷが買えるのにね(こちらも割引対象外の列車や設備、期間あり。もちろん、窓口でも割引きっぷを買うことができます)。

あるとき、ダンナがJR東日本エリアと他のエリアを結ぶきっぷを通しで、お得に買おうと思ったようですが、結局、手続きが煩雑で、断念した経験もあり。
昔の「ワイド周遊券」などのように乗り放題になる感覚で利用するのは、今となっては難しいようです。

さらに肝心のJR東日本エリアについても、ダンナが鉄道に乗るよりドライブするほうが好みということもあり、車で行くのがほとんど。
前回の記事でも書きましたが、帰省も最近はもっぱらダンナが運転するクルマばかり。
かつては鉄道網や乗り継ぎのバス路線などがある程度充実しており、車を運転しなくても(できなくても)観光地を訪れたり、さまざまな場所をめぐる旅が楽しめたものでしたが。

豪華な列車に乗らなくても、ぜいたくなツアーに参加しなくても、あるいは個人旅行の感覚で利用できる観光タクシーを利用しなくても。
多少不便で、ある程度の制約が課されても、自分で計画を立て、限られた予算や日数の範囲で、公共交通機関を使って自分なりの旅を遂行する。
こういう経験をした人は、ふと何かの折に、あの頃の旅を懐かしく思ったりするのかもしれません。