よくお客さまに「どんなところで生地を仕入れるんですか??」なんて訊かれることもありますが、テルコ雑貨店は「このお店から仕入れる」というような生地屋さんはありません。

 むしろ、面白い素材があればどこからでも仕入れますし、どこにでも行きます。なので、足で勝負している、というような具合なのです。

 今はネットが普及し、物流もスムーズになり、ある程度のものはなんでも気軽に揃うようになりました。けれど、それはあくまでもある程度なのだろうな、とテルコ雑貨店は思っています。

 素材に関しては、そこでは収まりきらないところにこそ、面白いものが転がっている、と。それに、実際に見て触ってでなければ、素材の吟味なんで本当は出来ないのです。

 なので、暇があれば素材を見ています。街を歩いているときでも「うわ、あの柄と色が綺麗!!」とか「あの織り凄いわぁ…」なんて、道行く人を見たり風景を見たりしています。

 そんな、毎日。



 さて今日は、まだ製品をご覧頂いていなかった帯のもの。

 日本の帯は本当に美しく、複雑な織り。気が遠くなるような時間をかけて、一つの帯を完成させていくことを尊敬します。

 今回のものは、そんな昔の帯の一つ。といっても、ものすごく古いわけではないと思いますが、赤のシルクをベースに、金糸でペイズリー柄を大胆にあしらったもの。



 これだけしっかりと細かく金糸を織り交ぜていくのは、労力もそうですが、単純にコストとしてすごくかかったはず。

 けれど、現代ではなかなか使用されることが少ない帯、やっぱり寂しいですよね。

 テルコ雑貨店はためらいなく、ざっくりとハサミを入れさせて頂きます。それでまた、この素晴らしい織りを体感して頂けるのなら、と。



 ペイズリー柄も極端にクドくならないよう、とてもうまく配置され、大きさも計算されているな……と感心してしまいます。

 こういうバランス感覚は日本もとっても良い。



 もちろん、ベースとなる赤もとっても鮮やかで綺麗。和の赤というのはどこか強く柔らかい。

 ヴィヴィッドなレッドとはまた異なる存在感です。



 こういう美しい帯との出会いは、逃さないようにしたいと思っています。

 けれど数百の帯を見ては、その中でテルコ雑貨店のノートとして映えそうなものは、いつも数本。しかも、それが製本に適しているかどうかは、またそこからの話。

 ものすごく美しい帯でも、製本出来ないものも多くあります。それは努力でも乗り越えられない、今の壁の一つ。いずれ方法を考えだして、もっと多くの素材を出来るようになりたいと思ってはおりますけれど。

 ちなみにこちらのペイズリー帯は、小さい方が2700円(税込)、大きい方が3240円(税込)となっております。思えば、テルコ雑貨店のノートは、やはり安くはないですよね。

 けれど、これでも実は時間とコストを考えると結構ギリギリ。手制作ならではの悩みとも言えますが、ご理解頂けると嬉しいところ。

 東南アジアや中国で制作したり(今は、ハードカバーではほとんどのノートがそうですけれど)、海外ブランドのようにそれでもドカンと強気に出来るほど、テルコ雑貨店はまだまだ大きくはありません。

 でも、愉しんで頂けると信じて。日々、精進です。



 テルコ雑貨店