「だんごとはなぜ3個なのだね?」
唐突に声をかけてくるガガ。
しかも相変わらず意味がわからない。
「なんですか?いきなり」
僕が怪訝な顔で聞き返すのを意に返さずガガが続ける。
「だんごは串に3個刺さっているのが多いのだ。我はそれに気付いてしまったのだよ!」
なんだそれ、とは言わない。
とにかくこの龍神様は人間界のことに興味津々。
まあそこが子供のようでちょっとカワイイのも事実だ(笑)。
「ま、まあ大きさや串の長さから一番ちょうどいいのが3個なんじゃないでしょうか?昔、だんご三兄弟って歌も流行りましたし」
懐かしいメロディを頭の中で奏でながら僕が口にする。
ここは適当にごまかしたい。
「うむ。その歌は我も知っているのだ。だんごの謎は奥が深いがね」
腕を組んで深く頷く。
人間で言えばこんな感じだろうか。
「ところでガガさん」
僕はささやかに手を上げる。
ガガに付き合うと長くなるので、こちらで主導権を持つのが得策である。
「なにかね。早く言うがね、我は忙しいのだ」
だんごの謎が気になるほどの忙しさだ。
「人間たちになにか注意して欲しいこととか、良い人生を歩む上でのアドバイスなどはありますか?」
龍神から見て人間にもっとこうして欲しいとか、あるんだろうか。
これに注意すればもっとうまく生きられるのに、おしい!とか。
そこんとこを聞いてみたい。
「人間には楽しく生きて欲しいがね。それだけで我々も嬉しいのだ」
そう言うと一呼吸おいて続ける。
「だからそれを邪魔するヤツには注意するとよいだろう」
「邪魔するヤツ?」
聞き捨てならないワードである。
「さよう。我は人間たちを見てきて、信用してはならないヤツは大きく分けて3パターンあることがわかったのだ」
「なになに!? それは私も知りたいわ」
思わず妻ワカも声を上げた。
「過度な自己アピールをするやつ。第三者に告げ口するやつ。そして、相手をコントロールしようとするやつ。このみっつのパターンだ。こういうやつとは付き合わない方がよいだろう」
ほうほう。僕は頷く。
なんとなくわかる気はする。
「こういうやつらは不満が溜まっているのだ。自分は認められていない、相手がわかってくれない、悪いのはあいつだ、という感じにな」
「たしかに自分が満たされていれば、自己アピールする必要もないし、告げ口して人を陥れる必要もない。思い通りにならないと相手をコントロールする必要もないわけですね」
ふむふむ、なるほどね。
僕は龍神の教えノートにメモを取る。
「さよう。自分を認めているやつはどこかに余裕を持っているものだ。だから無理に人にわかってもらおうとも思わんのだよ。なぜなら自分が自分を認めているからな。そうだろう?」
「たしかにね。やたらめったら自己アピールする人は私も信用しないわ。ってか、できない、ムリ、不可能、ああ思い出したら腹立ってきた!!」
ワカが何かを思い出すように激高している。どうどうどう。
そんなワカを尻目に、ガガは続けた。
「違和感ってあるだろう?こいつはちょっと信用おけんと心のどこかで感じたら、それは無視しない方がよいだろう。自分の勘を信じる。それはすなわち、自分を信じることさ」
「そういう感覚には、マニュアルじゃ対応できませんもんね。大人の対応が必要な場合もあるし。でも、シンプルに違和感って思えばそれに従えばいいので楽です」
僕は安心して言った。
ガガの教えは何も僕たちのためだけのものじゃない。
誰の参考にもなる万能の教えだ。
これはほんとにありがたいと思う。
なんだかガガにお礼をしたくなった僕は、早速団子を買いに行った。
しかし、団子は
よっつだった(=◇=;)
うーん、ガガになんて説明しようか……。
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