前半はバッハとヘンデルに、モーツァルトのソナタ、後半は彼女の真骨頂フランスの小品。
バッハとヘンデルは溢れていた。「主よ、人の望みの喜びよ」あんなに慈愛に溢れているのは初めてです。
モーツァルトはまさに希望の光、そしてフランスの作品は癒されるし愛に溢れる、最後の2曲は、力強さで、この愛と力強さが今の彼女のメッセージだと感じました。

彼女の、特にフランス小品は、いつも聞くと、海辺や高原という映像が頭の中に浮かびます、
まさに癒し!

やっぱドビュッシーは天下一品ですね、涙が出てきました。

アンコールで、彼女のショパンを初めて聞いた、愛と力強さが両立する、すばらしい幻想即興曲でした。

ラフォルジュルネオジャポンで毎回聞いてマスター、開催がずっとなくて気落ちしていたのに、こんな状況での来日、感謝感謝!!




J. S. バッハ(ブゾーニ編曲):いざ来たれ、異教徒の救い主よ BWV659a
J. S. バッハ:《協奏曲 ニ短調》BWV 974より 第2楽章 (原曲/マルチェロ:オーボエ協奏曲)
J. S. バッハ:《協奏曲 ニ短調》BWV 596より 第4楽章 (原曲/ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 RV 565)
ヘンデル(ケンプ編曲):《組曲 変ロ長調》HWV 434より 〈メヌエット〉
J. S. バッハ(ヘス編曲):カンタータ「心と口と行いと生活が」BWV147より コラール“主よ、人の望みの喜びよ” 

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 KV 333 (315c)

(休憩) 

サティ:グノシェンヌ 第1番
プーランク:バレエ音楽《ジャンヌの扇》より〈田園〉
サティ:ジムノペディ 第1番
セヴラック:《休暇の日々から 第1集》より 第6曲〈古いオルゴールが聴こえるとき〉
サティ:グノシェンヌ 第3番
アーン:《当惑したナイチンゲール》より 第52曲〈冬〉、第49曲〈夢みるベンチ〉
ドビュッシー:《ベルガマスク組曲》より 第3曲〈月の光〉
ラヴェル:《鏡》より 第2曲〈悲しい鳥たち〉
サティ:ジムノペディ 第3番
ケクラン:《陸景と海景》作品63より 第10曲〈漁夫の歌〉
フローラン・シュミット:《秘められた音楽 第2集》作品29より 第6曲〈弔いの鐘〉

アンコール
ショパン:幻想即興曲

2022(令和4)年3月21日 さいたま芸術劇場音楽ホール

オデット日高世菜は素晴らしい。技術はもちろん(黒鳥で、トウで一人でポージングしてたし)オデットのはかなげさと献身さ、オディールの妖しさとしたたかさの両面アピールがすごいです。3幕は本当に同じ人かなというくらい印象違った。

ラストはオーソドック、オデットも王子も湖に身を投げで来世で結ばれました。

高橋くんのノーブルさも杉野くんの憎々しさもよかった。

カーテンコール最後に熊川哲也氏が出てきて、白鳥の腕振りして笑いを誘ってました。

オデット/オディール 日高世菜
ジークフリード 高橋裕哉
ロットバルト 杉野慧

指揮 井田勝大
シアターオーケストラトーキョー
2021年3月28日 Bunkamuraオーチャードホール

原作の川端康成の「無言」を行きの車中で読みました。10分で読めるくらいの短編です。小説は怪談ものに類別されるみたいですが、わたしは単なる怪奇な話ではなく、人間の個々のあり方みたいなものも感じたのですが、小説のイメージと音楽・舞台イメージがまったく同じであることに驚愕とともに感激しました。
作曲のデスプラだけでなく、演出のソルレイことドメニク・ルモニエ女史の両者の、川端や日本文化への深い造詣ゆえですね。
怪奇よりは幽玄のイメージ、でも幽霊話では、タクシー運転手に扮する語りのロラン・ストケールの不敵な笑が「羊たちの沈黙」のレクター教授に見えて雰囲気上げました。

現代オペラは音楽と映像と演出のコラボがすばらしいです。




原作  川端康成「無言」
台本、作曲、指揮  アレクサンドル・デスプラ
台本、演出、音楽監督、ビデオ演出  ソルレイ

舞台美術  シャルル・シュマン
舞台美術原案  エリック・ソワイエ
衣装  ピエールパオロ・ピッチョーリ
演奏  アンサンブル・ルシリン

バリトン(三田) ロマン・ボクレー
ソプラノ(富子) ジュディット・ファー
語り  ロラン・ストケール(コメディ・フランセーズ)

2020(令和2)年1月25日  神奈川県立音楽堂