あなたのお子さんは国語は得意ですか?
いわゆる5教科の中で、国語は一番成績が上がりにくい教科と言われています。
国語でもっとも求められるのが、「読む力」です。
しかし、この読む力をどうしたら身につけられるのかということが分からないので、国語の勉強をしないと言うことが多いのです。
その結果、国語ができなくてつまらないからさらに勉強しなくなる、という悪循環に陥ってしまうのです。
では、「読む力」はどうしたらつくのか。それについて考えてみたいと思います。
そもそもあなたはどうやって読んでいますか?
「そりゃ、目で読んでいるんだよ」
とおっしゃるかもしれません。
でも、それでは半分しか正解ではありません。
実際には「目」と「脳」で読んでいるのです。
読むプロセスについて、もう少し細かく見ていきましょう。
まず文字を目で見ることでその信号が脳に伝わります。
ここではまだ文字を文字としては認識していません。単なる図形としてみています。
次にその図形を脳の中のデータベースを検索することで文字として認識します。
パソコンに詳しい人でしたら、OCRの働きというとわかりやすいかもしれません。
例えば、アラビア文字やハングル文字、あるいは日本語でも草書を見たときのことを思いだしてみてください。アラビア語や韓国語、草書の書道を習ったことのない人にとっては文字と言うよりも記号や模様に見えたのではないでしょうか?
これは脳の中にアラビア文字やハングル文字のデータベースがないから、脳に信号が伝わっても文字と認識できないからです。
次に複数の文字をつなげていって、区切りを見つけ、単語や文節を認識し、その意味を認識します。
例えば、「ここではきものをぬいでください」と言った文を、脳の中の単語のデータベースを検索しながら、「ここで」「はきものを」「ぬいで」「ください」と言うように分割することでそれぞれの単語の意味を認識するのです。
そして単語や文節の意味がとれたら、文法に従って、その文の意味を認識します。(ここで言う文とは、句点[。]を区切りとした一文のことです)
さらに文と文のつながりを認識して、文章として理解します。
これが長い文章や本になると、段落どうしのつながりや、章どうしのつながりを認識することで文章全体、本全体の意味を理解することになります。
どうでしょう?実際には「読む」という行動はこのようにいくつもの段階に分かれているのです。
読む力が弱いお子さんは、いずれかの段階、あるいは複数の段階の能力が弱いので読む力が弱いのです。
例えば、漢字を知らないから何を書いてあるのかが分からないのであれば、まず漢字を覚えなければなりません。
また、語彙力がないのであれば、語彙力を身につけなければなりません。(余談ですが、最近切れる子が多いというのは、語彙力がないため、自分の気持ちを他人に上手に伝えられないために、ストレスがたまってしまうからではないかという話もありますね)
さらに文法の力がないのであれば、基本的な文法の仕組みを覚える必要があります。
「私は文法なんか知らなくても日本語を読んだりかいたりできているよ」と思われる方もいると思います。
それは小さいころからの読書などの体験の積み重ねがあるから、自然と身につけられたためであり、そういう経験が不足している子は、経験を積むなり、体系的に文法の学習をするなりと言った勉強が必要になるわけです。
英語の本を多読することにより、英語を身につけようという考え方は、この読書体験を通じて日本語を身につけたプロセスを英語に応用しようというものです。
次回はそれぞれの段階の学習方法をもう少し具体的に述べていきたいと思います。