8月27日(日)東京芸術劇場シアターイースト
14時開演の大人計画「業音」を観に行きました。
注) ネタバレあります。


<グッズ>
チラシやパンフレットの表紙の版画の原板
松尾スズキさんによる「業音」の印象
「業音」戯曲本のイラスト原画
<キャスト>
松尾スズキ、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、
宍戸美和公、宮崎吐夢、皆川猿時、村杉蝉之介、
康本雅子+エリザベス・マリー(ダブルキャスト)
<あらすじ>
母の介護をネタに、演歌歌手として再起を目指す落ちぶれた
元アイドルの土屋みどり(平岩紙)は、借金を返すため、
マネジャーの末井明(皆川猿時)とともに自身が運転する車で
目的地に向かっていた。途中、自殺願望を持つ堂本こういち
(松尾スズキ)と、堂本をこの世につなぎ止める聡明な妻・杏子
(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子をはねてしまう。
杏子は脳を損傷し、自力による移動や食事、意思疎通が
できなくなる。怒り狂った堂本は責任を迫り、みどりを拉致連行。
“有罪婚”と称し、2人は結婚。奇妙な共同生活が始まる。
芸能界を夢見て東京に出てきたものの、結局体を売る事でしか
生きていくことの出来ない堕落した兄・克夫(宮崎吐夢)と
妹・ぽんた(池津祥子)。歳を偽ってでも孤児院に入ることに
執着する屈折したゲイ・丈太郎(村杉蝉之介)、
正体不明の老婆・財前(宍戸美和公)らを不幸のループに
巻き込み、負の連鎖は更に奇怪にうねってゆく。
やがて末井とも関係を持つみどりは、父親が分からない子供を
出産するのだが、堂本との時間に執着し、子供の命を引き換えに
してまでも「10ヶ月の結婚生活の元をとる為」と、堂本との
わずかな触れ合いを選択するのだった。
開演前のアナウンスは皆川さんが担当。
「カーテンコールはありません」には驚いたけれど、
あまりに強烈な話だったので、むしろなくて良かったかも。
全身真っ白なピーターパンのような衣装の女性が登場。
キャストの服を脱がせたり、食器を持ったり、場面に合わせて
踊ったり…と、黒子の役らしい。エリザベス・マリーさん可愛かった。
性描写が多いため、キャストの半分は裸かパン一姿が多い。
堂本にキャミソールをはぎとられ、素っ裸になるみどり。
後ろ向きだったとはいえ、紙ちゃん、生尻丸出しで手には母のお骨…
援助交際でエイズをうつされたポンタは、兄とSEXできないことを
嘆き、ただれた顔で、「客にうつしてやる」宣言
丈太郎役の村杉蝉之介さん、客席に向かって
「この中でゲイの人いる~?」と呼びかけ、後ろの方から
何人か「はい」「はい」と答える演出もありました。
謎の老婆、財前は、丈太郎の影武者のような存在で、
同じ格好、同じメイク、同じ動きをするが、時々老婆に戻る。
皆川さん、特に脱ぐ必要のないシーンで、パン一で登場。
いつものおちゃらけ感とデカ声は少な目だったかも。
「神は本当にいるのかどうか確かめて来たら、堂本と
15分だけデートが出来る」という約束をとりつけたみどり。
背中には母親の遺骨をしょい、乳飲み子を抱きながら、
杏子の入院する病院を訪ねる。
がしたくなり、トイレを借りるが、用を足した後、便器の中に
杏子が現れる。紙ちゃん、それまで何度も
を連発。
女優さんがこんなに
という言葉を発っするのを初めて聞きました
杏子は、神の存在を教えてあげるけれども、その代わりに、
みどりの一番大切なものを失う、と言い、子供の命を奪う。
その間伊勢志摩さん、便器の中で何度も水を浴びてビショビショ(笑)
神の話を聞いた後、デートをしたくて堂本の元に駆け付けると、
堂本はバスタブの中で手首を切り、血まみれになっていた。
突然堂本が、熱い!と言いながら股間だけを手で隠し、
バスタブから飛び出して、真っ裸のまま片膝をつき、
うつむいての”ターミネーター登場ポーズ”。
前日に「下北沢ダイハード」の”未来から来た男”で、
佐藤二朗さん演じる”シーモキーター”が番組の中で
真っ裸で同じポーズをしており、連日のターミネーターに
一人でかなりウケまくった 
ラストは自分のお尻に、神について分かる痕跡が残っているかも
しれないから見てほしい、とバスタブのふちに体をかけ、
生尻を堂本に突き出すみどり。堂本がのぞき込むと、
何やら声が聞こえ、尻の穴が光り、神の存在が証明される。
パチンコをしている間、子供を放置して
死なせてしまう親同様、これがこの舞台のテーマ、
”分かっちゃいるけどやめられない”「業」なのですね。
近親相関、援助交際、エイズ、同性愛、介護問題と、扱いにくい
テーマと耳をふさぎたくなるほど、えげつない台詞の数々。
カーテンコールは事前のアナウンス通りなく、終演後は、
誰もいない舞台に「完」という立て看板が立てられていました。
久々の松尾スズキワールド、堪能致しました