ぶーさーのつやつやブログ

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艶が2次小説と薄桜鬼ドラマCD風小説かいてます。

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淫魔=主人公、8人の天使=艶旦那さまたち です。

ずいぶんと前にほぼ書き終えていたお話があったので、ホストあっきーの合間に仕上げてみました。
今読むと、なんでこんなん書こうと思った?的なwww

どうやら悪魔とか天使とかのネタが大好きらしいです、自分。
気づいてたけどね。

最近「魔界王子」を読み始めてから余計にそういうのに興味が出て、天使や悪魔の本を買って読んでますが、面白い!

元々宗教や密教、インド哲学だとかに興味があった学生時代にも色々読んだなぁ。

天使の階級の事や、悪魔との関係だったり。
楽器を持っている天使の事や、金の弓矢を持っている天使(キューピッド)の事だったり。

宗教によって7大天使のうちのミカエル・ガブリエル・ウリエル・ラファエルの4大天使以外の3名はそれぞれ違っていたり。

勉強すればするほどわからなくなりますw

んで、実際には諸説ありますが、この話の中では大魔王サタン=ルシファー(堕天使ルシフェル)にしてます。(そもそも大魔王サタンとルシファーは別だとか、そういった説は置いといて、とw)
ま、別に掘り下げてないんですけど出て来るので一応解説まで。


めんどそうだけど、ちょっと興味あるという方はどぞ。

↓↓



主人公・・・L
沖田・・・ソウ
土方・・・トシ
翔太・・・ショウ
慶喜・・・ケイ
秋斉・・・アキ
高杉・・・シン
龍馬・・・リョウ
俊太郎・・・シュン


このお話は、悪魔の国に住む1人の悪魔と、天使の国に住む8人の天使のお話―――



ある日、大魔王サタンから用事を言い渡されたLはふらふらと空を飛びながらぶつくさと文句を垂れていた。

「もう、なんでいつも私ばっかりパシリにすんのよ、ルシファーったら。堕天使のくせに、頭きちゃう」

用事の内容は、天使界を越えた向こう側に住んでいる魔族種の大長老に古くから伝わる書物とやらを借りて来いというものだった。
「行けば分かる、早く行け」と命じられたLは、気だるそうに真っ黒な翼を動かして先を目指した。

久しぶりに横断する天使界の上空は空気も美しく澄みきっていて、眼下に広がる木々の緑や湖の蒼に目を奪われる。

天使界を横切って行かずとも他にもルートはあるのだが、大魔王サタンの城から大長老の住処は天使界を横切るのが一番の近道だったのだ。

Lは、やっぱり天使界は綺麗だなぁなどと呑気な事を考えながら飛んでいた。



視線を前方に向けると、遥か向こうにどんよりと暗雲立ち込めた空が見え始める。
いかにも禍々しく邪悪な空気を含んだ色。
僅かに見える小さく蠢く黒い影は蝙蝠たちだ。


もう少しで天使界上空を通り過ぎるという頃―――


「痛っ!」

突然左の太ももに激痛が走り、自分の身に何が起こったか分からぬまま、意識を朦朧とさせて地上へと落下してゆく・・・。





ドサッ

「えっ!?」

湖のほとりでまどろんでいたショウの近くの茂みに、何か物音が聞こえた。
恐る恐る近寄っていくと

「うわっ!!」

真っ黒く艶やかな翼を生やした女が意識を失って倒れており、腿には光り輝く金の矢が刺さっていた。

「この矢・・・」

すぐに持ち主の顔を思い浮かべると

「どうした?ショウ」

ショウよりも上級にあたる天使、ソウとトシとケイがやって来た。
トシの呼ぶ声で振り向いたショウは

「これ、いきなり空から降ってきたんです」

女を指さして3人を見回す。

「この翼は・・・悪魔じゃないかい?」

ケイが前かがみの体勢で、物珍しそうにしげしげと女を眺める。

「どうやらそのようですね・・・しかもこの尻尾は」
「サキュバスの種族、だな」

ソウの言葉にトシが頷いて言った。

「サキュバスって、あの?」

仲間の中でも一番年下のショウは少し顔を赤らめてケイを見る。

「そうだね、あの、サキュバスだね」
「どうしてこんなところに?」

ソウがショウに尋ねると、黙ったまま太ももに深く刺さった金の矢に視線を飛ばす。

「この矢は・・・」
「ああ、シンの矢だろうな」

ふん、とトシが鼻を鳴らすと

「おーい、おまんらー」

今度はショウとここで待ち合わせをしていたリョウがやって来た。
4人が茂みを囲んで見降ろしているのを見つけ、

「なにやら楽しそうな事をしちゅうが?混ぜちくれ」

バサっと翼をはためかせて茂みの傍へ飛んで来た。

「おわっ!」

意識を失い横たわっている女を見て、リョウは驚きの声を上げる。

「悪魔やないが?そ、それに・・・ちっ、血がっ!」

大きな身体をショウの背後に隠し、肩越しに茂みを覗き込む。

「そうなんです、降って来たんです」

そう言って、天を指す。
すると同じタイミングで突如、トシ達の顔に影がかかった。

「んん?」

皆揃って影を作り出した方向を見上げると、そこには上級天使のアキとシュンの姿があった。

真下に集まっている5人を見つけた2人は大きく広げていた翼を少し狭めながらゆっくりと舞い降りて来た。

「どうかしはったん?」

そう尋ねたアキはケイの目線を追い、すぐに茂みの女に気がついた。

「こ、れは・・・」
「すぐにどこかに運んで手当せんと」

常識的なシュンの発言に皆が一斉に振り返る。

「しかし、尻尾を見ろ」

トシが難しそうな顔をして顎をしゃくりあげる。

「ああ、淫魔の種族のようどすなぁ」

すると突然、ショウの背中に隠れていたリョウの足元の地面にドスっという音が聞こえ、目をやるとそこには金の矢が突き刺さっていた。

「おわぁっ!」

リョウの大声で全員が矢が降って来た方向を見上げると

「おやおや、全員お揃いで」

矢の持ち主、シンがニヤニヤ笑いながら舞い降りて来る。

「お揃いで、じゃねえよ」
「そうですよ。それに今、ここに矢が降ってきましたよ?」

猛抗議の視線でシンを睨みつける。

「そう怖い顔すんなって、刺さったわけじゃねんだろ?」

シンは笑いながら青ざめたままのリョウを見る。

「ところが、刺さっちゃったんだよね・・・これに」

ケイは溜息混じりで茂みを指した。

「ん?・・・これ、は」

シンの顔から笑顔が消えて、やがて表情を凍りつかせた。

「知りまへんで、わては用がおますんで」

アキはきっぱりと言うと、そのまま垂直に飛び上がってあっという間に西の方角へと消えた。

「あー、わしもショウを呼びに来たんじゃ」

リョウは、ほれ行くぞとショウの手を掴んで、2人はアキが飛んで行った方向とは逆の上空へと飛び上がった。


「まったく、みんな冷たいねえ」

まだ地面に目を向けているトシとソウの背後で言いながら、ケイもその場から少しずつ遠ざかっていった。

「あ、何を自然にフェイドアウトしようとしてるんですかっ!?」

気付いたソウがケイに詰め寄り、2人は何かを言い合うようにしていたが、結局いつの間にかいなくなってしまった。

「・・・マジかよ」

まだ女に視線を注いだままのシンが呟いた一言に、はぁっと大きな溜息を漏らしたトシは

「ったく、いまさら落ち込んだって遅いってんだ」

じろりと横目で睨みをきかせた。

しかし、シンは落ち込んでいるどころかランランと目を輝かせて矢が刺さった太股をじっくりと眺めていたのだった。


「あぁーあ、どうしようもねえな・・・お前は」

シンに呆れたトシは出来るだけ動かさない様にしながら、女の身体を抱きあげた。

「どないしはりますの?」

シュンの問いかけに

「どうって、とりあえず連れて帰って手当してやんねえとな」
「手当って・・・その女は」
「わぁってるよ。でもよ、悪魔だろうが・・・その、い、淫魔だろうが、このまま放っちゃおけねえだろうが」
「あ、トシずるいぞ。お持ち帰りしてどうするつもりだ?」
「アホか・・・元はと言えばお前がだなぁ・・・おい、じゃあお前が連れて帰って責任取るか?」

胸元に抱えた女を前に突き出すようにして、シンに一歩近づくと。

「ん~、それはちょっと遠慮するわ」

くくくっと笑って、シンは首を左右に振った。

「ったく・・・はいはい、わかったよ」

やっぱりか、と思いながらがっくりと項垂れてから、シュンとシンに背を向けて

「じゃあな」

完全に気を失っているLをしっかりと胸の中で抱えたまま、自分の住処のある東の空へ向けて飛び立った。







放っておけなくて自分の家に連れ帰って来たものの、ベッドに寝かせたLを見下ろして大きな溜息をつく。

「はぁっ・・・こうして眺めていても仕方ない・・・まずは手当て、しねえとな」

今は幸い刺さった矢が止血している状態になっているが、これを一気に引き抜くと大量の血が出るかもしれない、そう考えてベッドの近くに掛けてあった自分のローブの腰紐を取った。
そして、脚の付け根に巻きつけてきつく縛る。


「・・・痛みで起き上がるかもなっ、と!」

矢を掴み、ぐっと一気に引き抜いた。


「ぅうっ・・・」

やはり相当の痛みだったのだろうか、くぐもった声を上げてLが目を覚ました。

「・・・っつぅ・・・あ、こ、ここは?」

きつく縛った紐のおかげで大した出血はなかったが、じわりと血が滲んだ太ももを押さえながらベッドの上から部屋の中を見回す。

「おう、大丈夫か?」
「え、あ、あなたは?」
「この矢が刺さったときの事、覚えてねえか?」

トシは引き抜いた金の矢を持ち上げてLの目の前に差し出す。

「・・・確か、天使界を通過してる時に・・・っ!!!」
「思い出したか。あんたの脚にこの矢が刺さり、意識を失って俺たちの居た場所へと落ちてきたんだ」
「あ、そう・・・だっ!大長老のところへ・・・痛っっ!」

Lは起き上がろうと手をついて身を起こしたが、あまりの痛みで再びベッドへと寝転がってしまった。

「ど、どうしよう・・・サタンのお小言はもうウンザリなのにぃ・・・」

仰向けの状態で左腿を押さえなら、Lは涙声で呟いた。

「あ、あんた、どこかへ向かってる途中だったのか?」

8人の天使の中でも女の涙に1番弱いトシは、Lの目尻に光った涙粒を見た途端に狼狽えだした。

「ぅ・・・ぐすっ・・・サタンの遣いで大長老のところへ行かなきゃいけなかったの」
「そ、そうなのか・・・弱ったな・・・」

トシはぼりぼりと頭を掻いて、無駄にベッドの横を行ったり来たりする。
こいつがやりましたってシンを連れてきたところでどうしようもない。
とりあえずは治療をする事が最優先なのだろうと思い、薬草の入った瓶を棚からつかみ取った。

「少ししみるかもしれんが、この薬草を擦り込めば多少は早く治るだろう」

そう言い、ベッド横の椅子に座り、瓶の蓋をねじって開けた。

「薬草・・・?そんなものではすぐ治らないわ」
「えっ?じゃ、じゃあ」
「あなた、私の種族、わかってる・・・わよね?」

痛みに表情を歪めてはいたが、明らかに薄笑いを口元に浮かべたLがなんとか起き上がり、言った。

「しゅ、しゅ、しゅ・・・種族って、そりゃおめぇ・・・あれだろ?あれ・・・」
「そうよ、サキュバス・・・淫魔よ」

弓状に吊り上がったLの唇の両端から、小さな牙が2本覗いた。

「わ、わかってるよ・・・なんだ、お前らの種族は薬草が効かないのか?」

じわっと背中に嫌な汗が浮かぶのを感じながらも、瓶から取り出した薬草を右手ですり潰しながら尋ねる。

「いいえ、効かない訳じゃないけど」
「だったら」
「もっと早く治る方法があるの」


くすっと小さく笑って、Lはトシの右手を掴んで引き寄せた。
薬草はトシの掌から床へと落ちた。

トシの右手を掴んだまま、反対の手を首の後ろに回して

「あなたの精気を分けて頂戴・・・」

耳元でねっとりと囁いた。

まるで麻薬のような甘い囁き声に、頭の奥が痺れたようにくらくらとして、今度は持っていた瓶を丸ごと床に落としてしまった。

ゴトリ、とガラスがフローリングにぶつかる重い音がして、呪文をかけられたようにふらっとLの上に被さりベッドへと雪崩れ込んだ―――










「ありがとう、おかげでもうすっかり飛べるわ」

左腿の傷口はまだ塞がりきってなかったけれど、もう痛みを感じないのか、小さ目に黒い翼を羽ばたかせて床からふわりと浮き上がってみせた。

トシはというと、すっかり疲労困憊の様相で、ベッドの上で胸を上下させて浅く早く呼吸を繰り返していた。

「じゃあねっ、また何かあったらヨロシクね!」

Lはひらひらと掌を振って、玄関の扉を開けて去って行った。


その直後、やっぱり様子が気になったのか、シンが果物を両手いっぱいに抱えてトシの家を訪ねてきた。


「邪魔するぜ・・・って、おっ、おいっ!」

ベッドの上で裸のまま横たわっているトシを見つけたシンは、果物を放り投げて駆け寄った。

「大丈夫か?」
「ん・・・あ、なんだ・・・お前かよ」
「お前かよって、どうしたんだよその恰好は?そ、それに、あの魔族の女は?」
「は、はははっ・・・このザマだよ」
「えっ?まさか、お前」
「精気を吸い取るほうが、薬草よりも数倍も早く傷が治るんだってよ」

床に転がったままの瓶と、無残に散らかった薬草を指さした。

「うわぁ・・・マジか?じゃあ俺が連れて帰れば良かったぜ」
「ったく、お前はどうしようもねえ奴だな。大体こうなったのだってな」
「はいはい、さっきも聞いたよ。俺のせいだって言うんでしょ?」
「そうだろーがっ!」
「あぁーあ、またこの矢で脚を撃ち抜いた時は俺が連れて帰るからな」

シンは腰にぶら下げた弓と矢視線を落としてくっくと笑った。

「勝手にしろっ!このっ、バカ野郎!」






≪end≫