『窮鼠はチーズの夢を見る』

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2020/09/11

2021/03/03

監督　行定勲
脚本　堀泉杏
原作　水城せとな「窮鼠はチーズの夢を見る」
「俎上の魚は二度跳ねる」
音楽　半野喜弘

出演　大倉忠義、成田凌、吉田志織、
さとうほなみ、咲妃みゆ、小原徳子、
小柳友、国広富之、中村久美

（あらすじ）

リーマンの恭一（大倉）は、
妻・知佳子（咲妃）がありながら
クライアント先の社員・瑠璃子（小原）と不倫中。

７年ぶりに大学の後輩・今ケ瀬（成田）が訪ねて来て、
探偵となった彼が、知佳子に
恭一の素行調査を依頼されたことを知らされる。

不倫の事実を報告しない代償として
昔から恭一に思いを寄せていた今ケ瀬は関係を求めてくる。

こだわりがなくて流されやすい恭一は、
女性に言い寄られると断りきれずに安易に不倫を繰り返していのだが、
今ケ瀬ともそうなってしまった。

既に新恋人がいた知佳子からは結局離婚を言い渡され、
独身になった恭一の部屋に今ケ瀬は入り浸るようになる。

恭一は大学の同級生だった夏生（さとう）と再会した。

会食中、今ケ瀬が友人（小柳）を伴って現れて合流する。
夏生は今ケ瀬が大学時代に恭一にもらったジッポを持っていたことで
彼の気持ちを確信、
泥酔した恭一を自宅に送り届けた際に部屋に今ケ瀬がいたことで、
彼と火花を散らすことになる。

今ケ瀬は夏生を呼び出し、手を引くように言うが、
そこへ夏生に呼ばれていた恭一が現れ、
「お前を選ぶわけにはいかない」と言って
夏生と出て行ってしまった。

が、ホテルで恭一は夏生に反応せず、
彼の中で今ケ瀬が特別な存在になったことに気がつく。

恭一と今ケ瀬は完全に結ばれた。
恭一に誕生祝いをされて嬉しい今ケ瀬。

恭一は親切な部下・たまき（吉田）が
常務（国広）の非嫡出子であることを知る。
常務が亡くなり、雨の葬儀の中で目立たないように涙する彼女を
恭一はそっと抱きしめる。

たまきの存在に気が付いた今ケ瀬は
恭一に別れを切り出し出て行った。
恭一には引き留める言葉が見つからない。
淋しさのあまりゲイクラブに行ってみるが、
涙が出てくる。

やがて恭一はたまきと交際を始め、婚約する。
しかし、今ケ瀬が愛用していた灰皿は捨てられない。

そんな彼の前に今ケ瀬がまた現れるようになって…

（感想）

この映画は「大倉忠義」に尽きると思う。
こんな男に惚れたら大変だという男ながら、
彼が演じたことで
その人格が浄化されちゃった感じ。

夏生の前で「お前を選ぶわけにはいかない」と
今ケ瀬に言う残酷さがあり、

今ケ瀬に「耳かきして」と頼まれて断りながら、
今ケ瀬が耳かきしてくれると言うと
喜んで横になる無邪気さがあり、

恭一からの誕生日祝いの生まれ年のワインを
「大事に取っておく」という今ケ瀬に
「飲もうよ、来年も買ってあげるから」っていう言い方に
どうしようもない優しさがあり…

ろくでなしながら、
スニーカーで自転車に乗る様子や
掃除機をかける立ち姿に凛としたものがあって、
認めざるを得ない魅力があった。

たまきがかわいい。
あの娘を傷つけるのだけは悲しかった。

そもそもゲイではない恭一は
今ケ瀬以外の男と淋しさを紛らわすような関係を持たないが、
女とはする。
対照的に、ゲイの今ケ瀬はそれをする。

イケメン×ブスのカップルを見かけると、
男の押され弱さを勘ぐるが、
そういう男は本当に好きな人が出来ると
何もかも捨てて突進しちゃう。それは誰にも止められない－

なんて生態もちゃんと描かれていたような気がする。

セックスシーンにも
恭一の心境の変化が表現されていて意味があった。

今ケ瀬＝成田は想定の範囲内で、
想定通りのかわいらしさ・小悪魔ぶりをまき散らす。
椅子の座り方は狙いすぎなくらい。

洗濯機に入っていた恭一のパンツを
自分で履いちゃう今ケ瀬はかわいいが、汚いよｗ

どんな状況にあっても
二人が演じているので
とてもきれいで汚い感じがない。
堕ちた感じがない。

はっきりしないせいで取り逃がす恭一と、
幸せになれそうになると逃げてしまう今ケ瀬。
やきもきするが、
エンディングの後、
二人が幸せになってくれていたらいいなと思った。

行定監督はゃんと意味合いを付けながら
終始求められているショットを提供している感じ。
オープニングの恭一のお尻のアップは
今ケ瀬目線なんだろう。

国広が元気で何よりだったのと、
さとうほなみが
顔から受ける厚かましいイメージ通りの役柄でぴったりだった。

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