12月16日（土）～12月22日（金）『ポルト』

【街と人とカフェ】

“ポルト”――リスボンに次ぐ、ポルトガル第二の都市。

ポートワインで有名なこの港町で、ふたりは出会った。

ポルトは、ノスタルジック街並みが「ポルト歴史地区」として世界遺産に登録され、カフェの数が多いことでも有名な街です。寒い季節に暖かさを求め、外出先でカフェに入る方は多いのではないでしょうか。コーヒーや軽食、こだわりの一皿など、カフェによって色が違えば、その店に集まってくるお客さんの顔ぶれも様々です。カフェは人が集まるところ。カフェの歴史が始まった大昔から、海外でも、日本でも、カフェでは人々の出会いがあり、交流がありました。

カフェの起源は、1390年～1897年にエチオピア南西部に存在した「Kingdom of kaffa」からもたらされたと言われています。コーヒーやカフェと言えば、パリやウィーンが思い浮かぶことが多いと思いますが、イスラム圏にはヨーロッパより古くからコーヒーを人々に飲ませる店があり、史上初めてのカフェが登場したのは、1554年のコンスタンティノープル（現イスタンブール）でした。またパリでは、1686年の創業、現存する最古のカフェ、「カフェ・プロコップ」が始まりと言われています。18世紀に入るころには、パリにはカフェの数は300軒ほどにまで上り、フランス革命前には700軒ほどになっていたと言われています。思想家のほか革命家や政治家がカフェに集まり、議論を行なったり、密議をこらす場面が見られたそうです。

一方、日本では、1911年（明治44年）に大阪の箕面市で「カフェー・パウリスタ」が開店。そして同時期の東京・銀座に、「カフェー・プランタン」が開業されました。カフェーパウリスタは大阪を初め、東京、名古屋、神戸、横須賀など各地に店舗を展開。当時、ブラジルコーヒーの宣伝普及などの理由でブラジルのサンパウロ州政府より援助があったこともあり、3年間1,000俵（60トン）のコーヒー豆（ブラジル種）の無償提供を受けることができたため、ブラジルコーヒーは日本国内に広がっていきました。芥川龍之介や平塚らいてうなどの文化人のほか、学生や社会人などが出入りし、やはり日本でもカフェは交流の場としての役割が高かったようです。

“コーヒーを飲む場所”から始まり、人と人との出会いや繋がりが生まれる場所として、また、音楽や映画を楽しむための場所として、カフェは現代に至るまで、その時代に合わせて少しずつ姿を変えてきたように思います。唯一、長い時間変わらなかったのは、カフェは人々が集まる場所であり、飲食を通じて文化や情報が交わるコミュニケーションの場という点です。読書をしたり、純粋にコーヒーや食事を楽しんだりと、カフェで過ごす時間はそれぞれ違います。例えば隣の席でぼんやりしている人に話しかける、というのはとても勇気が必要。でももし、そのぼんやりしている人が誰かと話したいと思って席に座っていたら……？映画の主人公のように上手いかなくても、そこから何かが生まれるかもしれません。

『ポルト』オフィシャルサイト

(C)2016 Bando a Parte – Double Play Films - Gladys Glover – Madants