1. SYPプログラムの 『 目的 』 を思い出して下さい。 ( 2005年 5月 8日 )
  
SYPシステムは、長期ビジョンに基づき、幹部社員の育成に特化しています。
①コミュニケーション研修 → ②リーダーシップ研修 → ③チームワーク研修
以上の3本柱の研修を軸に、オプションとしてEAP研修なども提供しています。
それぞれの研修に、明確な『意図』と『目的』が存在しますが
私たちが提供する全ての研修に、ある一つの上位目的が存在します。
研修の最後に紹介している『あれ』です。
SYPプログラムの究極の『目的』を思い出して下さい。

2004年10月3日(日) 朝日新聞 より

地球くらぶ 科学と「バラ色の未来」 池田晶子

 医療技術の進歩にも、目覚ましいものがある。
 かつてなら死ぬしかなかった病気も死ななくてすむようになってきている。
この事実からも端的に分かるように、医療の進歩の原動力は、死への恐怖である。
人間は死を恐れ、死を避けようとして、技術をここまで進歩させてきた。
 このこと自体は、我々にとって、おそらくは幸福なことである。
しかし、どうなのだろう。
とりあえずの死は回避されても、死への恐怖そのものは少しも解消されていない。
恐怖を抱きつつ生きているという我々の人生のありようは、少しも変わっていないのである。
死に直面することを先延ばしし、考えることを避けてきた結果、
我々は、人生にとって実は命よりも大事なことを、取り逃がしてはいないだろうか。
 あるいは欲望の問題もそうである。
受精卵に手を加え、好みの子供を作り出すなど、そんな子供を大事に感じるものだろうか。
このような欲望の満足は、はたして人生の幸福だろうか。
 科学技術と人間の幸福について、私は考える。
全能の科学技術をもってすれば、人類の未来はバラ色のように思えるが、
実は案外そうでもない。
科学の進歩に見合っただけの精神の進歩を、我々は経ていないからである。
死を恐れ、欲望に流れ、人生の意味を知ろうともしない我々の精神は、
全く進歩していないからである。
このギャップは、これからますます大きくなる。
さてさて――――。(文筆家)

2. 「 ペーシング 」  その1  ( 2005年 5月15日 )

個人セッションの中で、家庭内のコミュニケーションを扱う場合に、
私は「一緒に何かに取り組みましょう」とリクエストすることが多いです。
例 娘と洗車 息子とキャッチボール 奥さんと一緒にウォーキング など
「同じ体験」をすることは、ラポール形成に効果的です。
これは、同じ目線、同じ体験が「同じ」という感覚を強く創り出すからだと思います。
SYP研修を受けた方どうしが仲良くなれるのも、この効果かも知れません。

2005年4月11日(月)朝日新聞 生活欄 ひととき より

「少し早い職場体験」     千葉県我孫子市 筒井登茂子さん

 勤務先の幼稚園が、歩いて5分ほどの場所に引っ越すことになった。
小さな幼稚園なので、業者に頼まず、身内だけの作業となった。
少しでもお役に立てばと思い、高校一年の息子と中学一年の娘にも手伝ってもらった。
息子は幼稚園時代からの同級生にも声をかけ、力仕事に精を出した。
 元気のいいあいさつ、周りの先生方への気配り、
仕事の合間に見せる友達とのまだ幼さを残す遊び……。
家庭では見られない息子を見ることができた。
 この一年、受験なのに、のんびりしている息子に、
なかなかいいところを見つける余裕がなかった。
息子も私の帰りが遅いと不機嫌な顔をし、
自分の不安をわかってくれないと訴えたものだった。
 こうして同じ職場で働いてみると、一日の疲れも理解でき、
家に帰ってからもいたわりあうことができた。
疲れてうたた寝をしていると、「今日はお母さん、疲れているから」と、
帰ってきた夫の夕食を温めてくれた。
子ども二人が台所に立っている姿を見たときの嬉しさは、
今までの子育ての苦労をねぎらってもらったような感じだった。
 高校生活が始まったばかりの息子には、
今回の引っ越しは心に残るちょっと早い職場体験だったと思う。
 私にも我が子を見直す新しい春になった。

3. 「 ペーシング 」  その2  ( 2005年 5月22日 )

前回の「一緒に取り組む」に関して、企業研修の個人セッション中に
ある受講者から以下のような成果を聞きました。

田村さん(仮名)は、課長職、残業続きの毎日で、家には寝に帰るだけの状態です。
田村さんには、三人の娘さんがいます。小学校四年生、高校一年生、高校三年生です。
ある日曜日の午後、「家族との時間を持つこと」が個人目標の一つだった田村さんは
奥さんと小四の娘さんを誘って、三人で庭でバレーボールをすることになりました。
上の二人のお姉ちゃんも、たまたま自宅にいたので、とりあえず声をかけてみたところ、
田村さんの予想に反して、二人とも喜んで参加してきたそうです。
家族五人でのトス回しは、とても盛り上がり、3人の娘さんは
「キャーキャー」言いながら大はしゃぎしていたそうです。
文字通り、あっと言う間に二時間が過ぎました。
その日の夕食は、バレーボールの話で盛り上がり、
その後も、朝食や夕食の時に、家族全員がそろうと、
娘三人は、あの日の、バレーボールの話で持ちきりです。
「本当に楽しかったね」「また、やろうね」「今度は、百回つづけようね」

田村さんは、振り返りました。
「今まで、一年に一回、自分を犠牲にしてまで家族サービスをしてきました。
時間とお金をかけ、旅行をすることが、家族にとって一番なのだと信じていたんです。
でも、お金も時間もかけずに、こんなにみんなが楽しめて、しかも一体感と充実感を感じ
こんなに大切な『思い出』として残ることがあるんですね。驚きました」

思いがけず、ある休日の午後、大好きなお父さんと一緒にバレーボールができたこと、
三人の娘さんにとっては、どんなに嬉しかったことでしょう。
きっと、人間関係の「預け入れ」は、こうして「コツコツ」がキーワードなのですね。

4. 視点を変える  その1  ( 2005年 5月29日 )

SYPプログラムでは視点を変えることをテーマの一つにしています。
今回は、クイズ形式でお届けします。
なぜ、配達人は「助けてくれ」と意思表示をしなかったのか?
配達人の視点を、読み進めている途中で共有できましたか?
「○○○○○」の中の答えは次回に発表します。

  「狭い箱」の悲哀

 この街には欠かせないエレベーターと出前配達人。
大都会の住と食を支えるこの二つは密接にかかわる。
今月初め、ブロンクス地区のビルに
出前を届けた35歳の中国人配達人が姿を消した。
駅のそばに立つ38階建てのツインタワーの外に
配達用の自転車を止めてあり、周辺で何かが起きたのは明らかだった。
過去に中国人の配達人が殺された事件があり、ニューヨーク市警は捜査を始めた。
 扉を壊された住人もいたというから、入念な捜索だったようだ。
彼が見つかったのは80時間後。3階と4階の間のエレベーターの中だった。
 動いていないエレベーターを、なぜ疑わないのか。
警察の広報担当は「以前から運転停止していたと聞いていた」と話す。
ビルの警備員は「警報ボタンが鳴るのに、なぜ押さなかったのか」といぶかる。
配達人は助けを求めて叫んだというが、英語はほとんどできなかったらしい。
 報道によれば、救出後、彼は再び姿を消した。
彼は別の意味で街に欠くことのできない人たちの仲間だった。○○○○○だ。
当局が取り締まりを強めても、街の生活を底辺で支える彼らは、50万人にも膨れている。
見つけてほしいけど、見つかりたくない。
狭い箱の中の心境は、想像に難くない。
                      
                      朝日新聞 特派員メモ ニューヨーク 江木慎吾 


5. コミュニケーションの実態 その1 ( 2005年 6月 5日 )

今回は、非言語コミュニケーションに関する研究のパイオニアである
アルバート・メラビアンの名著「サイレント・メッセージ」の前書きを紹介します。
コミュニケーションが上手な人、プレゼンテーションが上手な人、
効果的なリーダーシップを発揮している人などなど。
彼らに共通するものは何でしょうか?

 伝統的に言葉を重要視するアメリカ文化が、
意思伝達のプロセスに重要な意味を持ちながら無視されていた、
非言語(ノンバーバル)の役割に気づき始めた。
言葉と異なり、人間の行為や行動は感情から
切り離せられないという点で、非言語の役割は特に重要である。
なぜならば、人は意識する、しないに関係なく、
非言語の情報で物事を判断してしまうからである。
毎日の生活や友達付き合い、仕事の上での人間関係などが
うまくいっているかどうかなどは、言葉よりもノンバーバルで判断することが多い。
そのときの気分や顔の表情、姿勢、動作、ジェスチャーなどは
言葉以上の意味を持つことがある。
発せられた言葉とノンバーバルが一致しない場合、
人は往々にして言葉を信用しない。むしろ行動を判断の基準とする。

 意思伝達におけるノンバーバルの重要性を理解している人は、
社会において成功するだろう。
人の上に立つ人は言うに及ばず、演技を必要とする職業、
説得を必要とする職業には特に大切である。
職業でなくとも、友人関係において
自分の気持ちを相手に正確に伝えることは、
ノンバーバルの理解なくしては至難の業である。
その証拠に、常に何らかの誤解をし、友人関係を冷たくしてしまい、
孤独に一人で生きていかなければならない人もいる。
人間関係におけるノンバーバルに敏感になれば、
友人関係や社会生活全般にその効果が現れるだろう。


前回のクイズの答えは、「不法滞在者」です。