こんにちは。

今日はCovid19が始まってからの、

スウェーデンでの高齢者介護状況をお伝えしようと思います。

 

 

去年の今頃から感染者が増えていったスウェーデン。

夏の間は感染者も少なく、このまま終わってくれたらと誰もが願っていましたが、

秋になり爆発的に感染者増加。

多い日は1日の全国での感染者数が1万人を超えてました。

元々のスウェーデンCovid19への作戦としては、

「国民がお互いに社会的距離を保ち、ワクチンが出来るまで、

高齢者を守り、病院が潰れないように努力していきましょう」というものでした。

しかし、感染者が増えたと同時に、多くの高齢者介護施設でも感染者数が増加。

これにより公衆衛生庁が、

「当初に掲げた作戦は間違っていた」と認める事態になりました。

(この後、国民の行動に制限がかけられるようになる「パンデミック法」が作られました)

 

高齢者施設での状況としては、

去年の3月から10月まで、施設内への家族訪問は禁止。

ただし、予約をすればガラス越しに30分間だけ話が出来るという状況が続きました。

そんな中、半年以上も自分の家族と満足に会えない状況が続き、

多くの高齢者本人からの不満の声が上がり、同時に精神不安定が問題になり、

10月から高齢者施設への出入りが自由になりました。

ただ、それと同時に全国の高齢者施設での感染も増えました。

 

私の施設でもCovid19が始まってから数回感染がありました。

私を含め多くの同僚も、その時に同時に感染しました。

どんなにマスク・バイザー・消毒・着替え・隔離を気を付けていても、

高齢者施設での感染拡大を阻止するのはとても難しいです。

最初の感染者の症状が出た時に、すぐCovid19専用の介護士を選び、

専用介護士のみ感染高齢者の介護にあたっていましたが、

感染者の中には、高齢者であってもほぼ無症状の人もいました。

ある利用者は、ある朝介護に行くと声が枯れていたけれど、他の症状は無し。

利用者本人は「隔離で全く人と話してないから声が出ない」と言っていましたが、

検査結果は陽性。その利用者は感染期間の前にも後にも、その症状のみで、

それ以外の症状が全く無かったので、検査前は隔離の対象にはなっていませんでした。

その結果、そこからまた他の利用者に感染が広がっていきました。

 

 

感染拡大中に職員全員が思っていたことは、

高齢者施設でのクラスターを確実に防ぐ方法は、陽性か陰性か関係なく、

1人の利用者に、毎日同じ介護士のみが介護することしかないなと感じました。

1人の利用者を介護するには最低でも3人の介護士が必要になります。

ただ、そんな金銭的余裕がある施設はないので、

Covid19専用介護士と通常介護士のグループに分けて、

業務にあたっていた施設がほとんどでした。


Covid19が施設で広がっていた時に、

どんなに会社や社会が高齢者介護士の環境の優遇をしてくれてたとは言え、

次にどんなことが起こるのか、何をすべきなのかということが毎日手探りで、

私を含め職員の多くは不安でいっぱいでした。

そんな中、一番の励ましになったのは、

入所している利用者家族からの温かい応援と感謝のメッセージでした。

感染が広がる中、家族も自分の親が感染するのではと不安だったとは思いますが、

そんな中で働いていた私達を応援し、差し入れをしてくれたり、

感謝の言葉が書かれたメッセージカードを送ってくれたりしました。

私達職員は、感染が止められないことに申し訳なさもあったのですが、

「感染が広がるのはミナたちのせいじゃない。ミナたち介護士は本当に素晴らしい存在だよ。

大変な中、母を介護してくれてありがとう」と、温かい言葉をかけていただいたり、

その他にも家族からの励ましのおかげで、「頑張らなくちゃ!」と力をもらうことができました。

感謝の言葉というのは、本当に人間に大きな力と勇気を与えるものだと感じました。

 

現在は、多くの高齢者施設の入所者がワクチンを打ったので、

高齢者施設での感染は抑えられている状況です。

私達介護士も順番にワクチンを受けている状況です。

 

 

Covid19が世界で広がり始めた最初の頃は、

誰もが得体の知れないウィルスに怯えていたので、

スウェーデンでも、お互いの行動を監視して、お互いを責めたりしていましたが、

今は国民の約10人に1人が感染経験があるので、その経験を踏まえて、

お互いに励ましあっているという状況に変わりつつあるかなと思います。

 

ワクチンを打ち終わった人たちは、通常の生活に戻れたことを心から喜んでいます。

Covid19が現れる前には、それが「普通」だった生活を、今は心から喜べる。

当たり前のことは、当たり前じゃないから、毎日感謝しなくちゃ!と覚えておくことが、

実は人間にとって一番難しいことなのかなと思います。