Covid19が世界で猛威を振るい始めて早3か月。
世界的に広がり始めた当初から日本のニュースで、
何故かスウェーデンのCovid19への政策がいろいろ取り上げられていて、
不思議に思っていたのですが、
確かに独自のやり方で突き進んでいるスウェーデンの今後は、
世界中が気になるところだと思います。
注意: ここからは、私の独自の意見になります。
私はスウェーデンと日本のCovid19への対応は、
緩い社会的距離を保ちながら、ウィルスが少しずつ国民の間に広がっていくのを待ち、
その間、医療崩壊にならないように最善を尽くすという点で、
そこまで変わりがないと考えています。
日本人もスウェーデン人も基本的に団結してルールを守るという点においては、
同じような価値観を持っているので、この方法で行けるのではと思っています。
現在スウェーデンでは、高齢者介護現場でCovid19が広がっています。
私のブログでも時々書いていますが、
現在高齢者介護現場を支えている年代は定年間近の人たち。
職員の中には持病を抱えながらCovid19のある現場に向かっている人もいて、
利用者よりも、自分の健康を気にしている人もたくさんいます。
高齢者施設で介護士として働いている私でも大変そうだなぁと思うのが、在宅介護現場。
施設では、ある程度まで計画的に隔離措置が取れるので、
状況をコントロールしやすいと思うのですが、
在宅介護現場は、毎日違う利用者に接することも多いし、
在宅に住んでるので、外出して他の人との接触が多い分、
完全な隔離措置が難しいと思います。
そして、その分利用者とスタッフのリスクと負担が施設より更に大きくなると思います。
少し前に改正された制度で、在宅介護現場の状況が一層大変になったのに、そこへCovid19。
同じ介護現場で働いている私からもご苦労様ですと労いの言葉をかけたいです。
私の施設では、2月末に感染者が1人いましたが(現在は回復)、
その後は、感染疑いが何度か出ても全て陰性で、利用者もスタッフも全員元気です。
私の施設では、2月末から全ての訪問者を禁止する措置を取っていて、
そのおかげか、感染者は出ていません。
唯一出た感染利用者は、数日前に病院へ検査へ言った時に、
介護タクシーで他の風邪の症状がある人と乗り合いをしたので、
そこで感染したのではないかと言われています。
この3か月の間に、熱が出たり、咳の症状があったりする利用者が何人もいて、
そのたびに「感染疑い」で隔離措置を取ってきました。
その時の措置としては、
・ 感染疑いのある利用者に出来るだけ同じ介護士が防護服を付けながら介護する。
・ 他の利用者は部屋から出ず、自室にいてもらう。
というものでした。
ただ、実際問題、同じ介護士が毎日24時間働けるわけではないので、
ボスが1週間単位でシフトを作り直し、
決められた職員が感染疑いのある利用者を介護していました。
ただその辺が少しアバウトで、前日の夜、隔離利用者を介護してた職員が、
次の日は隔離利用者以外の利用者を担当するなど、少し??マークなところもありましたが、
みんな状況的にしょうがないと感じていました。
普段は臨時職員で職員数を補っているのですが、Covid19が一番広がっていた3月からは、
臨時職員を出来るだけ入れない状態で回しているので、その中で隔離措置を取ろうとすると、
どうしても職員1人にかかる負担が大きくなり、
論理的におかしいと分かっていても、物理的に無理という状況でした。
本来職員2人で10人を見ているのですが、
隔離措置のせいで、1人で10人を見るという時期もありました。
また、職員数が確保できないので、多くの職員が残業したいと申し出たり、
朝働いて、急遽そのまま夜まで働くという状況で乗り越えてきました。
そうなってくると、どうしてもいろいろな部分で対応が遅れたり、
職員の体力的や集中力的に介護の質も下がってしまうのですが、
有難いことに、利用者・家族・会社からは不満よりも、
温かい言葉や贈り物を届けてもらうことが多かったです。
利用者に「こんな時だから、みんなで我慢して協力することが大切だよね」と言われた時は、
「世の中がこういう人でいっぱいになったら、幸せな世界が作れるんだろうなぁ」と感じました。
私の施設での訪問禁止措置は2月末と、とても早かったので、
それが感染を阻止したと思っていますが、
4月半ばまで通常通りに訪問出来ていた施設があると聞いた時は、
さすがスウェーデンと思いました^^;(実際、そういった施設の多くは感染者が多く出ています)
現在スウェーデンではCovid19で、約3800人が死亡していて、
その中の約3400人が70歳以上です。
(毎日更新されているCovid-19 Folkhälsomyndighetenのリンク)
元々、スウェーデンの高齢者介護現場は、
「穏やかな最期をお手伝いする」が基盤で動いているので、
体調の変化がCovid19であろうと、他の病気であろうと、積極的に助けようとするよりも、
どうやったら穏やかに逝けるかに重点が置かれます。
そんなスウェーデンの高齢者介護への考え方もあり、
70歳以上が3400人という数字が出ているのかもしれません。
もしかしたら、その中には医療を受けたら助かった命があるのかもしれません。
ただ、スウェーデン高齢者介護現場ではそれを積極的に行いません。
私の施設でもCovid19が社会全体に広がり始めた時に、
医師が全ての入所者へ心肺蘇生の有無を再度明確にしたので、
HLR-0(心肺蘇生-ゼロ)と書いてあれば、Covid19であれ、そうでなかれ、
どんなに重篤になっても病院には送りません。
まぁ、それでも同じようなシステムの他の北欧諸国に比べて、
現段階で死者数が多いのは、緩い規制のせいだと思いますが、
ロックダウンした国と、緩い規制の国のどちらの国の結果が良かったかというのは、
ワクチンが開発されるか、Covid19が無くなってからでないと分からないので、
今はいろんな憶測をしてもしょうがないかなとは思います。
ただ、緩い規制をしてるせいで、「ウィルス野放し国」として見られるので、
他の国からは今後の渡航の有無について、煙たがられるでしょうね^^;
今回のスウェーデンのCovid19への対応で、
日本人の私が一つ納得がいかなかったのはマスクの着用。
アジア人職員の多くは3月の段階からマスクを自ら進んで着用していたのですが、
アジア以外の国やスウェーデン人職員は
「まだ早い」と言って着用していませんでした。(まだ早いって、いつならいいんだろう?^^;)
5月の頭に着用義務が出るまでは、職員任せ。
着用義務が出た現在も、マスクをしてると息苦しいからと、
顎の下に下げて仕事をしている人も多いです^^;
Covid19が広がり始めた当初に、訪問者と職員にマスクと手袋の着用を義務付けていたら、
もう少し介護施設での感染者は抑えられていたのではないかと思います。
そんな話をしても、スウェーデン人は「それでも絶対じゃないからねぇ~」と、
大切さを取り合ってくれませんけどね^^;
2020年になった時に、
「今年こそは長い休みをとって日本に帰るぞ!」と思っていたのですが、
いつになるか分からなさそうなので、
今年はおとなしくスウェーデン国内を散策しようと思います