今の施設に来る前の話です。

 

 

今の施設で正社員になる前は、臨時職員としていろいろな施設で働いていました。

その当時は、3つの施設で臨時職員として働いていたので、

それぞれの施設で働くのが1か月ぶりということもよくありました。

その中の一つの施設は短期入所リハビリ施設で、

病院で手術や治療直後の利用者が多く入所していました。

 

ある日、その施設で働き初めて2か月経った頃、

前回の仕事から2週間ぶりに働くことになって、行ってみると、

前に入所していた利用者が一人もおらず、全員が初めて見る利用者でした。

短期リハビリ施設なので当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、

私にとっては、1から利用者一人一人の状況を把握しなくてはならず、

しかも、当時はまだ私のスウェーデン語も今ほど出来ていたわけではなかったし、

その施設で働くこともまだ慣れておらず、全部が新しいという状況に大きなストレスと不安を抱えていました。

そして、申し送りを受けた後の1時間は職員が私一人。

わけが分からず、ナースコールの対応など、一人で走り回っていたのを覚えています。

 

そんな時に、正社員の遅番さんが出勤してきて、

その遅番の彼女に利用者がベッド横の床で頭から血を流して倒れていたと教えられました。

しかも、それを家族が発見し、かなり怒っていたそうです。

 

とっさに、自分の責任だと感じたので、状況を確認しに行き、家族に謝罪しに行こうと思ったら、彼女が、

「全部私がやっておいたから、もう何もやることないよ^^

私たちに出来ることは全てやったし、利用者は家族の希望で病院に送ったし、もう大丈夫。

ミナは臨時職員だし、分からないこともあるから何も気にしなくていいよ。」

と半分泣きそうになっている私に優しく話しかけてくれました。

彼女の話では、その利用者は認知症の症状があり、

前にも夜中に、部屋からかなり離れた場所にある職員用トイレの中で、

内側から鍵をかけ出られなくなっていたことがあったそうで、

倒れて怪我をすることは予測範囲内だったということでした。

ただ、問題だったのは、頭から血を流して倒れていたのを家族が見つけたことでした。

どのくらいの時間そこに倒れていたのかなど、明確に家族が知ることが出来なかったので、

それに対して怒っていたそうで、最初は、その時間帯に働いていた私と話をしたがったそうなのですが、

彼女は、この状況で私と家族が話をしても、

私が責められる一方で、なんの解決にもならないと判断したらしく、

彼女自身が家族と私の間に入って、事態を収拾してくれました。

 

誰でも経験したことのないことや、知らないことは初めてになります。

ただ、初めてだからこそ失敗することもあります。

そして、失敗したからこそ学ぶことも多くあります。

 

私はあの経験から、

研修生が来て失敗しても、それは学ぶチャンスということだと考えられるようになりました。

そして、もし私のように大惨事になってしまった場合は、

私たち正社員が彼らの全ての罪をかぶるくらいの意識で、責任を持って、

良い介護士を育てていかなくてはいけないなと思っています。

 

 

今では、同じような過ちは繰り返さないようにと常に心掛けていて、

あの時、私の失敗の責任を全てかぶってくれて、

家族からの苦情も全て対応してくれた介護士さんに、今でもとても感謝しています^^

彼女のように、研修生や臨時職員、正社員が安心して仕事を任せられるような、

知識豊富で優しい心を持った、たくましい介護士に成長出来たらなと思っています^^