■テキサス州の山火事


皆さんは、最近、テキサス州で山火事があったのをご存じだろうか。
かなり大規模な山火事だったようだ。
その山火事で陣頭指揮をとっているのが現職のテキサス州知事であり、この度の共和党レースの有力候補である、リック・ペリーだ。


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オバマ氏、テキサス知事に電話=山火事で支援表明-米
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 【ワシントン時事】オバマ米大統領は7日、大規模な山火事に見舞われたテキサス州のペリー知事に電話をかけ、犠牲者への弔意を表すとともに、連邦緊急事態管理庁(FEMA)を中心に全面的な支援を続けていく考えを伝えた。野党共和党の同知事は、来年の大統領選でオバマ氏に挑戦する党の候補を決めるレースで先頭に立っている。
 米メディアによると、山火事により同日までに約1000戸が焼け、4人の死亡が確認された。(2011/09/08-14:54)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011090800488



日本の未来はどうなる『ライオンとヘビとスズメ』

テキサスは南部の代表


日本の未来はどうなる『ライオンとヘビとスズメ』


テキサスの山火事で1000棟以上の建物が焼失


日本の未来はどうなる『ライオンとヘビとスズメ』
テキサスの州知事が共和党レースの有力候補

日本の未来はどうなる『ライオンとヘビとスズメ』-各州代議員数

テキサスはカルフォルニアに次いで人口の多い州。





■ブッシュの後釜


テキサスと言えば、アメリカ南部を代表するような、現在は共和党の勢力が強い、コテコテのレッドステイツだ。
しかも、テキサスはアメリカの州のなか人口の多さがカルフォルニアについで2番目、選挙人も他の州にくらべて圧倒的に多い34人(2008年時)だ。
この34人はニューヨークよりも多い。



テキサスはもともと牛の牧畜業がさかんで、カウボーイと言えばテキサスというイメージがある。
しかし、1900年代に油田が発見されて以来、石油はテキサスの経済を活性化させる。
アメリカの埋蔵量の4分の1にあたる50億バーレルの埋蔵量があるそうだ。
現在、石油メジャーのなかで、スーパーメジャーと呼ばれる6社のうちの1社、民間石油会社最大の「エクソンモービル」(エッソ・ゼネラル・モービル)の本社もテキサスにある。

また、NASAがあるヒューストンもテキサスだ。
日本でも種子島に宇宙センターがあるが、地球の自転による遠心力が働くため、赤道に近いほうが宇宙関連施設が有利になる。

そういった宇宙関連の施設は、宇宙産業、つまり最先端の技術の集結を意味する。
アメリカ航空宇宙局、ジョンソン宇宙センターにはアメリカの最先端産業が集まる。
たとえばシリコンバレー(デル、AT&Tの本社やヒューレット・パッカードの最大拠点もある)、航空関連(コンチネンタル航空・アメリカン航空・サウスウエスト航空の本拠地)、そしてロッキード・マーティンの戦闘機F-16や、F-35ライトニングなどの製造工場もある。

「テキサス」「保守的宗教」「カウボーイ」「石油メジャー」「軍需産業」というキーワードで連想ゲームをすると、「ブッシュ」という答えがでるしかない。

ブッシュ前大統領は、テキサス州知事のときに大統領選に立候補して当選した。
その後釜が、ペリー知事なのだ。



■ペリーは「これこそ共和党」という候補

リック・ペリーのウィキペディアの「人物」のところをコピペしてみよう。


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彼は米国在郷軍人会のメンバーである。
中東政策では親イスラエルの立場を取っている。
小さな政府と減税政策の共和党主流派の政策を重視しており、財政保守派である。
同性結婚や妊娠中絶に反対の立場で、聖書の教えを大事にしており、進化論や地球温暖化にも否定的な立場である。同州で「地球は何歳か」と少年に質問されたペリーは「テキサス州の学校では天地創造説と進化論の両方教えている。君は賢いからどっちが正しいか分かるよね。」と答えた。
死刑制度を肯定しており、知事就任後、全米の死刑の約4割がテキサス州で執行されている。
リベラル系のテキサスオブザーバーは彼が民主党から共和党に鞍替えした時、彼を民主党のベネディクト・アーノルド、現代のベネディクト・アーノルドのテキサス版などと彼を批判をこめて皮肉って呼んでいた。
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「元軍人」「親イスラエル」「保守的宗教」「小さな政府」「減税政策」
そして、100万人の雇用創出。

これこそ共和党、というような王道の立候補者だ。
ちなみにイスラエルは旧約聖書の舞台であり、エルサレムがあるがキリスト教の聖地である。(この話は長くなるので割愛)
財政問題も「小さな政府」と「規制緩和」を強調していてティーパーティの支援者も取り込んでしまいそうだ。
また、今回の山火事のリーダーシップを見ると、危機管理能力もアピールできているのではないか。
ついでに「父は綿花の農業を営む農夫」、「ボーイスカウト」なんていうキーワードも出てくる。

そうなると、本当に絵にかいたような共和党大統領候補者だ。


■ニューズウイーク

ニューズウィークにリック・ペリーに関する記事があったので、例によってタイピングしてみた。







ニューズウィーク日本版 2011.8.31号

「アメリカ大統領を目指すカオスな二人」より


(p36)
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The Rick Perry Show
大統領の座を狙うペリーの超単純思考

米大統領選 
テキサス州のペリー知事が出馬表明
早くも共和党レースの有力候補に躍り出たが
FRB議長「恫喝」発言など極端な言動も目立つ

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その夜、テキサス州知事のリック・ペリーには、早くも大統領選を戦いなれた候補者を思わせる貫禄があった。

(略)

今後は、ペリーが出馬の遅れを取り戻すために精力的に動き始めるはずだ。
バックマンは草の根保守派連合ティーパーティの支持をペリーに奪われまいと、防戦に努めるだろう。


もう一人の有力候補であるミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は、このところ派手な動きを控えている。
だがペリーに勢いが付き始めれば、手をこまねいて見ているわっけにいかなくなるかもしれない。


★ティーパーティに接近


ペリーが勢いを得る可能性は十分にありそうだ。
14日のパーティでの態度は、選挙の戦い方を熟知した政治家の振る舞いだった。
彼は出席者たちの顔をしっかり見ながら、時に抱きつかんばかりの様子で話をした。


テーブルを順々に回って律儀に挨拶していたが、若いアフリカ系アメリカ人の男性(会場でただ1人のアフリカ系男性だった)に目を留めると、すぐに歩み寄って握手した。
カメラのフラッシュがたかれる間、ペリーは若者の手を離さなかった。


スピーチに対する聴衆の反応も上々だった。
ペリーはステージを歩き回り、要所要所で多彩な身ぶり手ぶりを交えながら情熱的に演説した。


妻と結婚したのは知り合ってから16年後だったと言い、「私は時に、物事にのめり込むまで時間がかかります」と述べた後、満を持して決めぜりふを繰り出した。
「しかし一旦本気になれば、脇目も振りません」


ペリーはスピーチで、いかにも保守派に受けそうな経歴を披露した。
郵便番号すら割り振られていないテキサス州の田舎町で生まれ育ち、雨の少ない土地で綿花を栽培し、ボーイスカウトなどの青少年団体で活躍し、空軍に入隊してジェット機を操縦した経験を語った。


ライバルにかみつくことはしなかった。
まだその時期ではない。
それでも、違いを際立たせようとした。
州知事としてテキサスの雇用を増やした実績を強調。
連邦政府の財政赤字を削減すると約束し、もし議会が言うことを聞かなければ、「ペンのインクが切れるまで」議会の法案に対する拒否権発動の文書に署名し続けると言った。


党内のライバルにとって、ペリーは強敵になるだろう。
ロムニーは企業経営の経験が売りものだが、その点では、州レベルとはいえ行政の舵取り役として雇用を創出したペリーの経歴のほうが説得力がある。


バックマンはティーパーティーの代弁者の座を奪われかねない。
ペリーはティーパーティーに対する共感を語っている。
「私たちは、良きアメリカ人が大切にしている価値観に対して、現政権が大胆にも傲慢な態度をとっていることに義憤を抱いている」


★あまりにシンプルな主張


政策面では、テキサスの大気汚染の水準や石油・天然ガス開発については饒舌に語る。
しかし、国政全般の問題に関しては打って変わって、ガールフレンドの両親に結婚の承諾を求める若者のようにおずおずとした口調になる。


もっとも、大統領選に名乗りを上げたばかりの候補者に、国政の重要課題について一通りの詳細な政策を用意することは期待できない。
出馬してからだいぶたつ候補者でも、具体的な政策を持っていないのが普通だ。


大半の候補者は、細かい政策を示さないまま選挙戦を勝ち抜きたいと思っている。
具体的なことを言えば、批判されたり足をすくわれたりする危険が付いて回るからだ。


その点は、ペリーも分かっているようだ。
税制、バイオエタノール燃料への補助金、社会保障などについては、選挙戦での議論を通じで光が当てられるだろうと述べるにとどめている。


アイオワ州の財界関係者との昼食会では、メディケイド(低所得者医療保険制度)に言及した際、「メディ・ケイド」というふうに「メディ」と「ケイド」の間に一拍置いて言葉を発した。
メディケア(高齢者医療保険制度)と言い間違えないように気を付けたのかもしれない。


もっとも、8月15日にアイオワ州で行った演説は物議を醸した。
金融政策に深入りしないほうが得策だと直感的に理解していたはずだが、我慢できなくなってFRB(連邦準備理事会)のベン・バーナンキ議長の金融緩和路線を激しく非難した。
「もし(バーナンキが)選挙の前にさらにドル札を刷るようなことがあれば、アイオワではどうするか知らないが、テキサスに来たらぶっ飛ばされるよ」と、ペリーは言ってのけた。
「今後政治目的でドルを増刷すれば、それは国家への裏切りだ」


17日、ニューハンプシャー州で行われた朝食会では、気候変動問題について「研究資金を獲得したいあまり、データを捏造している科学者が大勢いると思う」と述べた。


15日の演説でかみついた相手は、バーナンキだけではなかった。
バラク・オバマ大統領の外交政策も攻撃した。
政策が間違っているだけでなく、大統領が国を愛していない可能性があると述べたのだ。


ペリーの多くの主張の根底にあるのは、ほとんどの問題を単純な方法で解決できるという発想だ。
経済政策に関しては、連邦政府が経済の単純な原理を理解していないと繰り返し指摘している。
自分がテキサス州で行ったように、減税と規制緩和を推進すれば経済成長が実現する、というわけだ。


教育問題についても、極めてシンプルな主張をしている。
「あなたの子供の教育に、連邦政府が口を挟むべきでないと思う」という理由で、教育政策を示す必要はないと言い切る。


これまでのペリーの主張をひとことでまとめれば、「さまざまな問題に複雑な解決策など必要ない。この点に同意しない人間は、よこしまな考えの持ち主だ」ということになる。
選挙戦で多くの敵をつくることは避けられそうにない。


(ジョン・ディッカーソン)



どうやら、リック・ペリーという名前は覚えておいて損はないようだ。

ただ、私はカタカナが苦手で、名前をよく忘れる。


黒船のペリーさんと合わせて、「陸(リック)で人気の黒=石油、船=軍需産業のぺりーさん」と覚えることにしよう。

陸はリムランド、すなわち中部地帯の保守。


コテコテの共和党だと、共和党代表選挙では勝てるかもしれませんが、オバマさんに勝つことができるでしょうか。

あんまりコテコテすぎると、スイングステイツ(中間の州)での人気が気になりますが。