スケやんのブログ

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まぁ、適当に...素人小説もどき

にじさんじ妄想トーナメントを独自の解釈と創造で書いてます

過去のお話↓↓

《バイオハザード+AKB48》
無理矢理のコラボ作品になります。

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思えば、どれくらいちゃんとした環境で眠っていなかったのであろうか

用意されていた簡易の部屋着に着替えた直後、アンジュは気絶するかのようにベットに倒れ込んだ

急遽として入った安宿だが、干した布団の匂いがどこか気持ちがいい

今日までの出来事を整理しようにも、頭は相変わらず働かない

程なくして、アンジュは用意された夕食も食べることなく眠りにつく


ふと、気がつくとアンジュは城の中にいた

一瞬戸惑うが、身体がどこかフワフワとした感覚になっている事に気付く

(...これ、夢の中だ)

その時点で、俗に言う明晰夢だと、アンジュは確信する

(そりゃ、警備の兵士の人達がいない訳だ)

城の中に入ったのはいつ以来だろうか

少し曖昧な記憶を頼りに、アンジュは城内を歩く

暫くして、脚が止まる

(...確か、ここが謁見の間だったよな...)

豪華な装飾が施された両開きの扉

王族が出入りする扉だけに中々の大きさだ

(ここで...)

嫌な汗が背中を伝う感覚がある

アンジュはギュッと目を瞑りながらも、恐る恐る扉を開く

(...誰もいない)

ゆっくりと目を開けた先には、人気も無くガランとした光景が広がっていた

アンジュは、少し先に見える本来王が座る椅子へと歩みを進めた

ここで起きたとされる惨劇に少し身震いを感じる

椅子の元へと辿り着いたアンジュは辺りを見渡した

(何も無い...か。

そりゃ、夢の中なんだから当たり前か...)

本来ならこの場所には未だに血の跡が残っている筈だ

直接見てはいないが、それだけは分かる

この場所で既に起きてしまった事なのだから

ふぅ、と一息胸を撫で下ろしたアンジュに、突如身震いが走った

(え?何!?)

ただの身震いでは無い、途轍もなく嫌な感じを帯びた身震いだった

途端、アンジュは走り出す

夢の中だからか、脚が上手く回らない

それでもアンジュはある場所へと一目散に駆けていた

息が切れる

妙にそこだけがリアルさを醸し出した

ある部屋の前へとようやく辿り着いたアンジュは、蹴り飛ばすかの様に勢い良く扉を開いた

(リゼッ!!)

開口一番に出てきた言葉だ

アンジュが向かったのはリゼの部屋だった

何故だかは自分でも分からないが、そこに行かなくてはならないと、あの瞬間に思ったからだ

扉を開いた先には、こちらに背を向けながら部屋の中央に佇むリゼがいた

(リゼ!!...リゼ?)

リゼは気付かない

あれだけ勢いよく扉を開けたのだ、こちらに気付かない訳がない

だが、リゼはその場から動かない

アンジュはリゼに近づき肩を掴む

だが、その手は空を描いた

(...え?)

リゼは確かにここにいる

目の前にいるのに触れる事が出来ない

同じ場所、同じ部屋なのに、まるで違う世界にいるように感じられた

(そうか...これは私の夢の中だからか...)

アンジュは、触れる事の出来ないリゼを通り抜け正面へと立つ

その時になってようやく気付いた

リゼがある物を持っていた事に

(この水晶は...)

リゼが持っていた物

それはダークドラゴンとの戦いで手に入れた水晶であった

だが、どこかおかしい

あの時手に入れた水晶は、透き通った透明色だった筈だ

だが、目の前にいるリゼが持つ水晶は、まるで暗黒へと引き摺り込まれそうな程怪しく黒光りしていた

嫌な予感がまたしてもアンジュを襲う

(リゼ!その水晶から手を離せ!おいリゼッ!!)

アンジュの声は虚しく部屋に響くだけであった

その瞬間、水晶が怪しく光出した

(ッ!駄目だリゼ!!手を離せ!離すんだ!)

徐々に水晶から黒い靄が出て、リゼを包み込む

アンジュは、必死になってリゼを覆う靄を振り払おうとするが、その手は空を舞うだけであった

(...クソッ!クソッ!!)

完全にリゼが靄に包まれ掛けたその瞬間、先程まで一切動かなかった筈のリゼと、何故か視線があった気がした

...アンジュ...助けて...

その言葉を呟いた直後、リゼは黒い靄と共に、まるでその場には初めから何も無かったかのように消え去っていった

(リゼーーーッ!!)



バッとアンジュは飛び起きた

肩で息をしながら、ゆっくりと辺りを見渡す

さっきまでいた筈のリゼの部屋ではない、簡素で狭い室内だ

カーテンの無い窓から光が差し込むのが見える

朝を迎えたのだ

...ここは...宿屋か。

...そっか、私あのまま寝ちゃってたのか...それにしても...

アンジュは呼吸を落ち着かせ、一度目を閉じる

妙にリアルな夢だった

夢の内容のせいか、身体全体を嫌な感触が覆っているのに気付く

確認すると、着ていた服だけではなく、シーツまでもが汗で濡れていた

「あちゃー...それにしても、なんちゅう夢を見てんだ私は...

はぁ、と溜息を漏らし、アンジュはベットから起き上がった

同時に、微かな音と共にお腹が鳴り、アンジュは誰もいないのにも関わらず頬を赤らめた

「そう言えば、昨日の夜から何も食べてなかったっけ...まぁ、とりあえず朝食でも食べるか!」

そう言って、わざとらしく明るく振る舞ったのは、夢で感じた得体の知れない不安がまだ胸中にあったからであった