知っている人にとっては常識だけど、知らない人には「へぇ~」というお話。トリビアじゃないっすよ。
少年マンガ雑誌は『週刊少年ジャンプ』(以下ジャンプ)、『週刊少年マガジン』(以下マガジン)、『週刊少年サンデー』(以下サンデー)、『週刊少年チャンピオン』(以下チャンピオン)が「四大誌」と呼ばれています。それぞれジャンプは集英社、マガジンは講談社、サンデーは小学館、チャンピオンは秋田書店と四つに出版社が分かれているのはみなさんご存じの通り。しかし、実はそうじゃないっていうのが今回のお話。
まず大手出版社には『音羽系』と『一橋系』の二種類があります。『音羽系』とは講談社を中心に構成されたグループで、『一橋系』とは小学館を中心としたグループ。それぞれ本来は一つの会社だったのですが、さまざまな事情があって分裂し現在に至ります。
で、ここからが本題。ジャンプを発行している集英社は小学館から分かれて生まれた会社です。つまりジャンプとサンデーは出版社が違うものの『一橋系』という同じグループに属します。ちなみに少女マンガ雑誌『花とゆめ』を発行している白泉社は、集英社から枝分かれした会社なので同じく『一橋系』になります。
対する『音羽系』は講談社と光文社、日刊ゲンダイなどが主体。出版社ではないですがキングレコードも『音羽系』です。ですから『のだめカンタービレ』から生まれたCD『千秋真一 指揮/R☆Sオーケストラ ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68』は、講談社と同じグループであるキングレコード発売になります。
じゃあチャンピオンを発行している秋田書店はどのグループになるのかというと、60年代に『サンデー・コミックシリーズ』を発売していたせいか『一橋系』と間違われるようですが、れっきとした独立出版社。『一橋系』と仲が良いのは事実ですけどね。
今年の1月、ジャンプ連載中の『BLEACH』が小学館漫画賞を受賞しました。小学館と言えばサンデーなのになぜ??という反応があちこちで見られましたが、小学館と集英社は同じ『一橋系』ですから受賞はそれほど意外なことではありません。もちろんかなり異例のことですが、まぁこんなこともあるだろうって感じです。
また、マンガ雑誌では先述した四誌の攻防がよく取り上げられますが、チャンピオンを発行している秋田書店にとってライバルは小学館や集英社、講談社ではなく、実は同じ独立系でマンガ雑誌を発行している双葉社(『漫画アクション』など)や芳文社(『週刊漫画TIMES』)のほうが気になったりならなかったり・・・。
まぁ出版社やグループがどこだろうが私たち読者には関係のない話ですが、小学館プロダクションが『おはスタ』(テレビ東京)を制作しているから番組内で放送されるアニメは『一橋系』が多いとか、知っているといろんな見方が生まれるのも事実。秋の夜長にあれこれと推測するのも楽しいかもしれませんね。