2022年6月30日(木)
『INDEPENDENT:22トライアル 公開二次審査』二日目
@in→dependent theatre 1st
[a]「私のための最後放送」
貴多本りあん(劇団ノベル)×浅見陸斗(劇団ノベル)
日本本土に核兵器が投下された世界線でのラジオ局内にひとり取り残されたアナウンサーの話。
まず、核兵器というものを軽く考えすぎてやしないか。
建物が破壊されている時点で、投下位置は近いことが想定される。
核兵器を落とされている状況で、放射線に汚染されているであろう外に出たいと何故簡単に考えられるのか。
ラジオ放送を聴いてるかもしれない誰かが、誰も自分を助けに来ないと何故拗ねられるのか。
深刻さも切実さも感じられない。
その軽さで今度はラジオを聴いてる人に向けてとんでもなくざっくりとした情報で逃げてください逃げてくださいと呼びかける。
それが英雄のように称えられ、その功績により得たシェルターの情報を流してこれまた軽率に向かってくださいと呼びかける。
全てが浅くて軽い作劇でした。
それが狙いだったのだろうか・・・だとしたらその意図はわたしには掴めない。
[e]「一人結婚披露宴」
もえりーぬ
10分間でひとり披露宴リハーサルを披露する花嫁の話。
コメディが得意な方なのかな、披露宴あるあるイジリも面白く、演技もコミカルで楽しかったです。
ただそれだけで終わっていれば、ただただ面白いだけだったところなのですが・・・。
そのリハーサルは実は自分自身の披露宴のものではなく、自分を捨てた男と他の女との披露宴の余興だったという。
このひとひねりが良かったです。
[b]「カルチャール・ビビデ・ブラウンのほぼ全て」
荷車ケンシロウ(劇団不労社)×西田悠哉(劇団不労社)
同級生の女の子に淡い片思いをしていたつもりがストーカー扱いを受けてしまう男の子の話。
ただただ可愛らしい恋心を寄せていただけだったのに・・・何なら女の子の方も満更ではなさげな様子でてっきり両想いなのかなと心ときめかせていたであろうに・・・。
男子がとても不憫でした、不憫なのだけれども可哀想な感じはなく、面白かった。
男子の妄想力がすごい、どこまで現実で、どこから妄想なのか、妄想の発想力がすごい。
とても演技が達者だなと、良き猪木でした、面白かった。
[c]「ザ・女ドラゴン~燃えるビキニヌンチャク~」
西マサト(B級演劇王国ボンク☆ランド/努力クラブ)
タイトルが全て。映画のタイトルであるこの演目名をひたすら連呼する話。
深夜枠で放送されるというこの映画を、エロなタイトルにそそられて観たくて仕方ないけれども、好意を寄せるクラスの女子の心象が気になり、観た事がバレるわけでもないけれども、観るのを躊躇い葛藤する男子。
その葛藤を、このエロ面白げなタイトルを繰り返し連呼する・・・というだけの、テンションの高さで引っ張るパワーアクトでした、でもそのパワーアクトに体力が全くついていっておらず息切れ激しくヨロヨロしてました。
内容以上に一部客席が沸いていたような印象、この人がこれをするから面白いというようなウケ方に、きっと愛されている役者さんなのだろうなと。
[d]「リリ」
ミヤマまゆ(劇団わに社)×池山ユラリ(林檎の君へ。)
彼氏に振られたことでキャラ変を試みる女の子の話。
元々は大人しめの女の子だったのだけれども、モテるのには活発な方がいいのだろうと、自分を変えてゆく。
出会い系で相手を求めて頑張り、初対面の相手でも会話できるように頑張り。
でも無理して自分というものを失くしてお付き合いを求めても虚しいだけ、気づいてただただ好きなのだという気持ちに還る女の子。
恋心の瑞々しさ、人付き合いというものの悩ましさ、自分自身との付き合い方の難しさ、内包されたものはとても丁寧に描かれていたように感じました。
大きめの声出してもちゃんとクリアに聞き取れる序盤は良かったのだけれども、後半はちょっと走り過ぎて声が割れてしまったのが残念点。