【映画感想】それでもボクはやってない
今更感が半端じゃないですけど、観ましたよ!
なるべくネタバレはしないつもりですけど、大筋は分かっちゃうかも知れないので注意してください!
『それでもボクはやってない』
周防正行監督の10年ぶりの作品だそうです。
数年前に話題になっていた事を覚えてはいるものの、内容は殆ど知りませんでした。
それで、昨日iTunesStoreの映画レンタルランキングを眺めていたらたまたま見つけたので内容を見てみたのですが、なにやら痴漢冤罪がテーマだとか。
僕は以前から痴漢冤罪の問題に興味があったので(変な意味ではないですw)、「これは観るしかない!」と思いレンタルしました。
で、早速観たんですけど、いい映画でした!
僕こういう考えされられる映画大好きなんですよねーw
漠然と「痴漢冤罪怖い」と人事のように思っていましたが、その考えが一気に変わりました。
実際はどうなのか知りませんが、周防監督は映画公開の3年ほど前から取材したというだけあって、とてもリアルに描かれていました。
例え痴漢をしていないとしても示談金を払えば前科は付くもののその日のうちに釈放されるのに、無罪を主張し続ければほぼ勝つのは不可能な辛く長い裁判を耐えなければならないという現状。
逮捕したからには有罪にしなければという思いから、執拗に自白を迫ったり揚げ足をとりにくる警察や検察。
裁判官にしてみれば、裁いた数で自分の脳力を判断されるため速さ重視の考え方によって一軒一軒を丁寧に裁けない事。被告側には絶対に騙されたくないという意識から有罪寄りの考え方を持ってしまったり、99.9%有罪の痴漢事件では有罪が前提かのような風潮などの理由から無罪判決が出にくい現実。
などなど、様々な要因に丁寧に踏み込んで描かれていました。
僕が関心したのが、痴漢の疑いを被せられた被告人視点の映画なので、どうしてもそちら側に偏ってしまいがちかと思いますが、この映画は片方が絶対に間違っている、という描き方はしていないんです。
その立場になって考えれば、至極当然の行動だと思える事も多く、だからこそこの問題の難しさを感じました。
この事件は実際の事件をモデルに作られているのですが、無罪を主張し続ければ必ず誤解は解ける、という生やさしいものではないことがヒシヒシと伝わってきました。
最近の映画を批判するつもりはないですけど、これほど監督の伝えたいテーマが分かる映画は久々にみた気がします。
この映画の冒頭に「10人の真犯人逃しても1人の冤罪を出すな」というような詩が入ります。
罪を犯した人を裁くのは当然ですが、それによって罪の無い人を有罪にしてしまい新たな被害を増やしてしまっては本末転倒です。
裁判官にしてみても、無罪の人を陥れようとなんて思いませんし、しっかり吟味して正しい判断を下さなければならないことは重々承知のはずですが、現状ではそれが難しく、現実は被告側が圧倒的に不利なのです。
難しいです。
これは痴漢冤罪だけに限らず、裁判全般に言える問題でもありますね。
いやー、それにしても警察や検察は非道い。
映画の中で、有罪か無罪か分からない人を恰も有罪だと決めつけたような扱いをする描写があるんですけど、絶対おかしいですよね。
公務員って普通の会社と違い利害がないからと横暴な態度をとるじゃないですか、ああいうのすごくむかつきませんか?
流石に映画やドラマみたいにあそこまで大袈裟ではないかもしれませんが、割と本当にそんな感じですよね。
Twitterでも発言したんですけど、以前車をぶつけられる事故した事があってその時被害者側で調書をとったのですが、Yes/Noで答える質問ばかりして、勝手に向こうでニュアンスを変えたテンプレートのような文章を作るじゃないですか。
その時に訂正しなかった僕も悪いかもしれませんけど、そんな風に適当に進めてでいいのかと。
それとは別の時に、公務員に「おい」とか「・・・っつってんだろ」とか言われたことあるんですけど、流石に耳を疑いました。あの威圧的な態度はどうにかならないのか。
最後思いっきり話がそれましたけど、確実に得るものはある映画です!
iTunesでもレンタル可能ですので、是非一度観てみてください。
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