シネスコ/96分
原作・監督・脚本:
劇団ひとり
脚本:橋部敦子
出演:大泉洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫
撮影:2013年8月
ロケ地:長野県上田市・上田映劇、本町映劇通り、旧上田市産院、上田城跡公園
39歳。売れないマジシャン。母には捨てられ、父とは絶縁状態。そんな彼に、突然もたらされる父の死の一報。なんで俺、生まれてきたんだろう。絶望に暮れる彼に一閃――
青天の霹靂
そして気付けばタイムスリップ。その先は40年前の浅草。全ての娯楽が集まる街で出会ったのは、若き日の父と母。スプーン曲げで人気マジシャンとなった彼は、ひょんなことから父とコンビを組むことに。
そして母の妊娠。
10ケ月後、生まれてくるのは・・・俺だ。しだいに明らかになる自身の出生の秘密。果たして彼を待ち受ける結末とは――笑いと、たぶん一粒の涙の物語。(TOHOシネマズHPより)
HP解説にあるような『一粒の涙』どころではない、ぼろぼろと泣いてしまった。
できるなら声をあげて泣きたかった。
タイムスリップでこういう舞台をしつらえるのはズルいといえなくもないが、そこは劇団ひとり。見事に自身の世界に観る者を引き込み、笑いを絡ませながら着地点へ引っ張っていく。
昭和48年~49年の浅草の映像化も見もの。特に当時の自動車を集めて、走らせるのは苦労しただろう。
大泉洋の手品場面も素晴らしい。当然、映画ならではの撮影技術や特殊効果もあるのだろうが、実に自然だ。
クライマックスで、スプーン曲げなどに頼らず(当時ならスプーン曲げ一発で時代の寵児と成り得たはず)王道の手品を自信たっぷりに堂々と演じる姿は感動的だ。
ただ、上映時間の割りに短く感じなかったのは内容の濃さゆえだろうか…?
俯瞰のカメラアングルが目立つが名画へのオマージュか…初監督としての気負いか。
個人的最大の感涙ポイント。『堕せよ…どうせ半端な子どもなんだよ』『(こんな冴えない俺に)命がけでこどもを産む母親なんて辻褄が合わねぇんだよ』(大意)
若い人、人生につまづきを感じたことのない人がどう感じるかわからないが…
98点。