スピエネットのブログ

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スピエネット(スピリチュアリティ&エネルギーケアネットワークの通称)は、「スピリチュアリティ」と「エネルギーケア」をテーマに探求。これらを安全にしっかりと学べる場を創ろうという理念で活動中。NPO法人日本ホリスティック医学協会関東フォーラム委員会所属。

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スピエネット連続フォーラム 2017-2018
「瞑想と祈り」シリーズ 
第4回 「秘教」と「原始仏教」からの瞑想<2018年4月7日開催>

 


シリーズ最終回となりました。今回は、スピエネット実行委員でもあるお馴染みの神尾学先生と、相模女子大教授で臨床心理士でありながら、仏教を始め、修験やシャーマニズムの修行を続けていらっしゃる石川勇一先生にご登壇いただき、全く異なる「秘教」と「原始仏教」の観点から、瞑想を深く掘り下げていただきました。


秘教に基づく瞑想のエネルギー身体論的メカニズム
神尾学 ホリスティック・リーディング研究所主宰



神秘家とオカルティスト

アリス・ベイリーが伝えた神智学系「秘教」は、すべてはエネルギーという考えが基盤になっています。と、いうことで、まずは、瞑想と祈りの意識界層と作用するエネルギー、目的が示されました。それによると、瞑想は、エネルギーの引き上げ、つまり、意識界層を上げていくことが目的とのこと。

その中で、秘教の考えでは、神秘家とオカルティスト(秘教徒)のそれぞれのアプローチが明確にされているとのこと。神秘家とは、愛の道、聖者の道を歩む、ハートからアプローチし、マインドを排除しながら超越を目指す者たちを指す。夢見がちで、空想的、非実際的な傾向にあるといいます。一方、オカルティストは、科学者の道、賢者の道を歩む、ヘッドからアプローチし、マインドを活用して神を知る者たちを指しています。しかし、主観を否定し、愛を欠き、非共鳴であるのだそうです。

両者は、どちらが優れている、ということではなく、ひとつの魂が転生するために、交互に体験していくアプローチです。神秘家の場合、瞑想によって、アストラル界層の中で、意識レベルを高め、魂とつながり、さらに高い直観を得ていくことで、預言や宗教的な啓示を得るとのことです。オカルティストの場合は、マインドの界層の中で、意識レベルを高め、魂とつながり、さらに高い直観を得ていくことで、科学者による大発見や啓示に至るとのことです。


『魂の光』

秘教の目的は、今の時代において、マインドの意識を高め、次世代の人類に向けた啓示を下すことですが、このオカルティストが啓示を下すまでのメカニズムは、アリス・ベイリーが著した『魂の光:パタンジャリのラージャ・ヨガ経典』に示されているとのことです。ラージャヨーガは、インドに伝わる哲学の一つですが、『魂の光』は、これを秘教的に解釈したものです。ここでは、瞑想は、単に自己の超越を目指すものではなく、人類の進化のために、グループ意識を高め、世界へ奉仕していくことを目的としています。

『魂の光』では、伝統的に伝えられているヨーガ哲学の基礎である八支則を肉体のみならず、情緒を司るアストラル体、マインドを司るメンタル体を合一(三界の統御)させ、魂とつながる方法として解釈しています。さらに、瞑想における、エネルギーや意識の方向性を詳細に解説しています。秘教においては、現在、多くの人々がつながりを欠いている魂とつながることが新時代の教育の目的になる、としています。さらに、秘教では、「すべての病気は魂の生命が抑圧された結果である」とし、魂を解き放つことが、治療家の技術になっていく、としています。「魂の生命を解き放つ」ためには、魂とつながる必要があり、そのためには、瞑想は必須とのことです。



瞑想がもたらす利益と不利益:心理学と原始仏教の視点から
石川勇一 相模女子大学教授、行者


注意を向けて、気づいていく

まずは、腕の動きに注意を向けていく瞑想から始まりました。目をつぶり、片方の腕を10秒くらいずつかけて、ゆっくりと上げて、上で止め、また下げていくのですが、その際、手や腕の感覚や、心臓や身体の変化に注意を向けていきます。そして、もう片方の腕、さらに、両腕も同様に行いました。

私たちの頭や心は常にあちらこちらに動いています(煩悩)が、それを統御できないことが人生の苦しみですが、注意(気)を向けることでその苦しみがなくなる、と仏陀は説きました。つまり、ひとつ、ひとつ、一瞬、一瞬に気づいていけば、煩悩がわかず、これを、継続的に保っていけば、いずれ、悟り(サマーディ)の境地に達することができるのです。その「気づいていくこと」が、仏教における瞑想だといいます。

瞑想の利益と不利益

今日、瞑想は、宗教のみならず、医学や臨床心理の領域、さらには、ビジネスや教育現場など、欧米社会の中枢において広範に実践されています。米国における瞑想の主なルーツとしては、原始仏教に基づく「上座部仏教」、呪術的な要素が加味された「チベット仏教」、禅仏教や、しっかりマニュアル化されているTM(超越)瞑想などがありますが、これらは、同じ仏教を元にしているといえど、全く別な宗教と呼べるほど、その教えも方法論も異なるそうです。

瞑想には利益もあれば、不利益もあります。まず「利益」、つまり「効果」ですが、生理学的には、あらゆる活動が鎮静化され、心理学的には、近くの感受性が高まり、心理的習慣への洞察や自己理解が深まり、自己コントロール力が発達するといいます。治療的効果としては、心理的・心身症的障害の改善、老化防止、抗認知症効果などの研究報告があるとのことです。

一方、「不利益」としては、瞑想ができない・継続できない、現実からの疎隔感、熟練者にも起きてしまうという、イメージや感情の氾濫、不安感・退屈・憂鬱感の増大、価値観の混乱による実存的な苦悩、エネルギーが活性化されることによるスピリチュアル・エマージェンシー、そして、仏教では「邪見」と呼ばれる、気づきへの執着などです。そのため、一般の人も注意が必要ですが、特に、統合失調症の方は症状を強化させてしまう場合もあるので、要注意とのことです。

これらの瞑想の不利益を避けるために、適切な指導者のもとで実践することと、煩悩をすべて滅した状態、いわゆる「涅槃」に至るための実践徳目である「八正道」を実践することが重要だといいます。しかし、誰が「自分にとって」適切な指導者であるかを見極めるのは容易ではないようです。また、自分にあった方法に出会っていくことも大切だそうです。


八正道と天界図

八正道では、最初に、「正見=正しい見解」、があるのですが、その中でも、仏陀の最初の教えである「四聖諦 =苦・集・滅・道」、つまり、この世の苦しみの原因が煩悩にあることを本当に理解することが大切といいます。理解できないのであれば、そこに置いておき、ヴィパサナー瞑想(ありのままに見つめる)をし、そうすることでいずれ理解できるといいます。しかし、本当の理解は、「正思=正しい考え」、「正語=正しい言葉」、「正業=正しい行為」、「正命=正しい生活」、「正精進=正しい努力」、「正念=正しい気づき(正しいマインドフルネス)」を経た最後の項目「正定=正しい集中」、いわゆる、禅定がなされることで、得ることができる、といいます。

最後に、仏教の天界図(四地・三十一地)という図が示されました。「四地」として、4つの区分があり、さらにそれぞれが細かく分かれ、全部で「三十一地」が示されていました。この天界図には示されていなかったのですが、仏教でいう「三界」、つまり、「欲界」、「色界」、「無色界」にも対応するとのことです。いずれにしても、天界図も「三界」も精神修養の純化の度合いを示すものです。「三界」のうち「色界」は、禅定体験をする「界」だそうですが、禅定だけでは、悟れない、ということです。また、「四地」の一番上位の「地」に到達しても、まだ煩悩が残る、とのことでした。

 

 

文: 戸田美紀

 

 

 

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第2回 ”生体マトリック”を巡る仮説と”振動医学”

2018年12月2日@連合会館502号室

 

詳細、まもなくアップされます。

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