化石燃料枯渇後の農業想像
2011-02-26


物事の大綱を考察するとき、長期視点での吟味も欠かせません。
いま取り組んでいるのは日本農業の規模拡大ですが、数百年後に石油や石炭が枯渇したらどうなるのか,徳川時代にもどって人力・畜力だけで食料生産と成れば少人数での大規模耕作は不可能ですから、大規模化はやめておけとなります。したがっておおよそでいいから見通しを立てねばなりません。

結論(私見)を先だししますと、徳川時代に戻ることはない、農業機械はガソリン駆動でなくて電気駆動にする、肥料・農薬は優先生産とする、食料運搬トラックや列車は優先割り当てとする、ということで日本国民が日干しになることは避けられるでしょう。この計算過程、根拠データ、考え方などは後日出典提示にします。つまり結論は大規模化はやっておくべきということです。


 まずは、一体化石燃料は枯渇するのかしないのか、するならば何年後かという基本疑問に答えておかねば
なりません。化石燃料=石炭、石油、天然ガスは、過去の太陽エネルギーによって生育した動植物が地中に埋もれてできたものですから、理屈からいえば有限です。産業革命がおこって化石燃料をどんどん使いだして高度工業文明が花開き、日本は工業化を達成済なので、その恩恵をもろに享受しています。
 私事で恐縮ですが筆者は昭和10年(1935)生まれ、高校卒業して都会でアルバイト生活を始めたころ(昭和30年ごろ)は、洗濯板を使っていました。寒い時の洗濯は厭でたまらなかったです。それが今は電気洗濯機。昔を思えば洗濯機サマサマです。高度文明のありがたさです。

 中国はこれからが工業化の本番。それには従来の10倍以上の化石燃料が必要です。石油石炭はどんどん使われるでしょう。すると石油井戸からのくみ上げ量がだんだん細ってしまいには枯渇?したがって石油探索もどんどん行われるでしょう。しかしいずれは枯渇します。

 さあ大変。現在の世界から石油がなくなったと想像すればよい。まず飛行機、車、船はダメでしょう。船は石炭で動かす?その石炭もいずれ枯渇するのです。どうなる?
 米国の自動車社会はパーでしょう。超大規模農業も石油がなければ運営不能。生産できても船が使えないから食料輸出不能。えーっつ、それだと全部の国が食料自給自足になるの。ハイ。日本は大丈夫?ハイ、なんとかします、できそうです、ただし耕作放棄水田は全部耕作です。


 いつごろそうなるの・・・これは難問です。ざっと言えば300年後?いや500年後?
 ここで人の態度が二つに分かれます。そんな先のことを心配してもしょうがない。考察は時間の無駄という人=Aタイプ。どんなに先でも、一本筋が通った考え方をしておきたいという堅実派=B。日本民族はこのBタイプの割合が多いのが特徴・・・これは私見です。

 枯渇しそうな時期に、日本の人口はどのくらいになっているの・・・300年後、500年後の日本の人口計算をしてみないと・・・・これは計算でき次第報告します。多分4分の1くらい?
(人口計算学をこれから学習しますので、あてにしないでまっていてください=ジョーク)


 本日は不確実な話ですみません。この辺にしておきます。



営農農地規模拡大への障害要素
2011-02-25


2:農地解放の功罪ー2:規模拡大への障害要素群
 ありがたかった農地解放も年月が進み、世の中が変わってくると、規模拡大には障害になる要素を内蔵していたことが明らかになってきます。本日はこれを扱ってみます。

 例によって結論を先に言うべく、変化経緯を箇条書きで述べますと;、
(1)農地賃借りの小作農が農地を超格安価格で入手できたので、食料増産担い手や工業化製品購買層となって日本の発展に大寄与(これが農地解放の実利)、しかし
(2)獲得農地への強烈な継続所有意欲発生(人間として当たり前ですが)
(3)小型農業機械(田植え機や稲刈り機)、農薬(水田雑草や害虫駆除)、肥料など工業製品の利用により、農作業時間の大幅減少実現、本来は規模拡大にむかうべきところだが、
(4)浮いた労働時間での副業従事・農業家計補完へと向かい、兼業農家大量発生、
(5)一方日本の工業化進展による設備投資増、それによる建設需要増があり、農家からの労働力がそれに応需、
(6)工業化進展に伴う住宅建設拡大、農地を宅地に転用する事例大発生、宅地価格は農地価格の数十倍なので巨額収入獲得事例見聞、土地継続所有意欲さらに向上、
(7)日本産米の国際価格高騰(10倍)、そこで米価据え置き、したがって「零細農業では割りに合わない感覚」発生、農業労働は高齢者だけが従事、後継世代は耕作放棄、ただし所有権は堅持して、将来換金巨額収益獲得機会待機、これが普通の感覚になり、規模拡大の障害になっている,という私見です。


上記のソースは逐次掲示してゆきますが、本日は(6)の農地価格と宅地価格について根拠を明示してみます。


出典:002:農林水産省:農地の価格と小作料:2011-02-10
注:資料は(財)日本不動産研究所「田畑価格および小作調べ」による。
www.maff.go.jp/kyusyu/toukei/database/pdf/2-6-1nouti_kenri-tika.pdf


これは九州地区について調べた資料らしいのですが、表の冒頭に全国平均の値の経年変化が出ていますので、その最新値平成21年度の値を引用しますと、

農地価格;平成21年:全国平均:水田:902,781円/10a
これは自作地売買価格です。


10a(尺貫法で1反歩)当たり90万円の由。10a=1000m2ですから902円/m2です。住宅地価格はピンからキリですが、庶民平均相場として坪33万円、10万円/m2は普通でしょう。すると宅地と農地の価格比は、ざっと100倍です。

余談ですが、農地価格でグーグル検索するとたくさん出てきます。価格変化をグラフで示したのもあり、それによると1反歩150万円が相場としていました。農地価格もまた地方によってピンからキリでして、安いのが北方面、高いのが都会近辺、数倍の開きがあります。まー、大体でいえば宅地は農地の50倍から100倍といったところでしょう。

さらに余談的心理推測ですが、親からゆずられた水田が7反歩あるとして、農業は労働の割りに赤字なので耕作中止、財産として700万円あるが寝かしている、一旦緩急あればこれが7億円になる、これは絶対売らないでおこう、日本人ならだれでもこういう心理になるでしょう。ただしこれは農業側の肩をもった見方です。
 これでよしとなれば日本ぜんたいの発展はありませんから、ここは強権発動、耕作しないなら耕作権取り上げ、規模拡大意図農業者へ強制売買(公定農地価格で)、ただし転用があった場合は所有権に応じ按分比例で差額給付・・・・このような政策をしなければダメでしょう。つまり逆農地解放、できるかな、敗戦虚脱、マッカーサー元帥の超権力がないとだめかな・・・


 エリートはダメだが、大衆が賢い日本民族だから熱心に口説く政治家が出れば可能性はありそうだが・・・

本日はこのへんにしておきます。明日は化石燃料枯渇したら農業はどうなるか、日本は、世界はどうなるかの私見をのべ、超長期対処計画思想を開陳することにします。ちょっとだけ結論を言えば、石油なければ機械化農業不能、では徳川時代に逆戻りか?・・いやいや農業はなんとかする、電灯も点ける、あとは我慢ということになるでしょう。

本日分終わり

農業問題考察基礎データー1:1戸当たり農地の国際比較
2011-02-24


これから日本農業の問題点とその分析、そして原因の解明、改善対策の立案と進んでいくのですが、まずは基礎データをしっかり頭にいれておかねばなりません。本日は農家1戸当たりの営農面積の国際比較を提示し、問題の第1歩に踏みこみます。まずは下記の表をご覧ください。頭に入りやすいように、概算倍率で表しました。

EC:日本の  10倍
米国:日本の 100倍
豪州:日本の2000倍


この出典は平成19年度の農業白書です。
出典番号:001:農林水産省:平成19年度食料・農業・農林白書
第1部;食料・農業・農村の動向
第1章:特集ー農業・農村の持続的な発展と循環型社会の構成
第1節:農業の体質強化と農村地域の活性化
(1)農業構造と農業経営の動向
  表1-1:高地面積・農業就業人口等の推移
  表1-2:1戸あたり農地面積の国際比較

http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h19_h/trend/1/t1_1_1_01.html
エクセル32

表1-2:1戸あたり農地面積の国際比較
          農地・1戸当たり   日本との比較
日本(2006)   1.8ha       1
米国(2005)   180.2ha      99倍
EC(2005)   16.9ha       9倍
豪州(2004)  3,423.8ha   1,902倍」


日本の農業が国際的に見ていかに零細かが一目瞭然です。この原因と改善対策が主題なので、いっそくとびに、では何をしたらよいのかの私案を、三橋ブログコメント記述の再出ですが、提示します。


「 2011-02-23 [コメント内容]
93 ■事実とデータにもとづき農業を考える


事実とデータにもとづき農業完全開放(非関税化)を考える
 本ブログは事実とデータにもとづいて論述していく異色のブログですから、農業についても
適用してみます。
 まず結論から。
1:大規模専業農家育成。最小制限は25町歩(25ヘクタール)以上。
  零細農業は禁止する。耕作放棄している農地は耕作権を取り上げる。名目所有権は認めるが、
大規模農家むけの転売以外は勝手な売買を許さない。農地転用などがあった場合の補償は正確に行う。
2:政府は大規模農家から農作物を公定価格(A)で一定量買いれ、新米市場価格(B)で一定量販売
する。3年分の食糧備蓄を行っていく。3年以上たった保存食糧を非関税市場価格(C)で放出し、醸造
原料などに供する。
3:農業機械と工業機械の稼働率差を考慮した大規模農家補助政策を行う。
4:大規模農家連合組織を作らせ、零細農家転業先を創出する。
以上の施策で農産物完全開放(非関税化)を実現する。

以下は説明とソースの明示です。これは煩雑なので、「後異見番のブログ」に逐次記載していきます。
末尾の筆者名(黄色字)をクリックしていただければ読めるようにしていきいます。
後異見番 2011-02-23 09:30:26 」


筆者の記述形式は、表題ー結論ー説明という西洋式ですので、これから事実とデータにもとづき、日本農業の改善方案を考察して得た上記の対策案を説明していきます。
筆者が心がけていることは、全網羅的視点と目的をもった複数相対化、そして平易な表現、実体験の適宜挿入ですので、くどいかもしれませんが、あらかじめご海容をねがっておきます。

能書きばかりでは興ざめなので、本日は日本農業の零細化の基本事項の確認をしておきます。

「日本農業は零細だからダメだ、規模拡大しないと」これは誰でもデータを見れば直感します。
でも終戦直後の農地解放から50年、規模拡大がなかなか進まないのが実情です。その原因群を考えてみます。
1:農地解放の功罪-1
 水呑百姓にとって農地解放はありがたかったです。あれで営農意欲が数倍、米の生産量も倍加、日本国民が飢えることはなくなりました。農家の収入が上がり、それが高度成長の工業製品購入に向かい、日本全体が豊かになっていったのです。
 ここで余談ですが、工業社会の基本事項の一つを挙げてみますと、「売れるものを作る」ということがあります。売れるためには欲しがる人がいて、その人が必要な金を持っていることが絶対条件です。農地解放と当時の食料不足(相対的な食糧高価格)による農家富裕により、工業製品が次々に売れ、あの高度成長が支えられたのです。知識人でここを判っている人がいないのが残念です。逆にいえば農家を大事にしない国は工業化が進行しないとも言えます。(この件は後日別章で論じます)


2:農地解放の功罪ー2
 ありがたかった農地解放も年度が進み、世の中が変わってくると、規模拡大には障害になる要素を内蔵していたことが明らかになってきます。これは次回の説明の主題にします。

余談ですが、米国における農地規模拡大はどのような経過をたどったのでしょうか。これはスタインベックの怒りの葡萄が詳細に触れています。オクラホマの零細農家群が3年間の農作物不作で借金がかえせなくなり、農地nの取り上げをくってカリフォルニアまで一家全員流浪の旅をする(日本列島往復の距離)という内容です。筆者は成人したばかりのころこれを読み、涙涙したのでした。さすがはアメリカ、やることが荒っぽいのです。日本人にはむりでしょう。

本日分終わり