父が63歳で亡くなってから39年。
真面目で、ハンサムで、世話好きな父でした。
大正生まれですから、古い因習の中で育ったと思いますが、関心は
世界に向いていたように思います。
特筆すべきは手の器用さ!彼に作れないものは無いと思えました。
今と違い、DIY専門店なんて無い時代、フランス人形を自分で一から作り、
そのケースを、ひごとガラスを買ってきて、人形ケースを苦もなく作成。
作り方の本も無い時代に、自分のアイデアで、卵を顔にした鏡獅子を
あのふさふさの髪の毛から作り、衣装も着せてケース付きで人にあげると
いう具合でした。私の手作りの素養は父からきているかな。
小さい頃、未だ物の無い時代、青森から届く木箱のりんごを家族で食べましたが。
その木箱に、美しい包装紙を貼って、父が本箱を作ってくれました。大切な
思い出として、スナップ写真のように記憶に残って居ます。
今は何でもたやすく手に入る時代ですが、物を大切にして、最後まで愛用するという
ことを、背中で教えてくれました。とても謙虚で、勉強好きで誠実な人でした。
思いだすたびに心が温かくなると同時に、生きて居る内に十分親孝行が
出来なかった悔いが残って居ます。