毎晩、ホタルの観察に行って、水路に入って、ホタルの個体識別調査をしていると、「あれ?」って思ったことがある。それは、2つのことが、いきなり頭の中でつながったときに閃いた。


 個体識別のチェックを子どもと行っていると、オスって、結構、あぜ道の草むらや水路の護岸壁で見つけたり、空中を飛び回っていたり、あちらこちらで確認できる。でも、メスは、ほとんど3箇所に限定される。


 『①草むら』には、最近、マークしたメスが多い。

何しているかというと、交尾

  <覗くな~~!>というお叱りの声も、科学しているから無視。(笑)


 『②水路の護岸壁のすき間』には、マークがないメスが多い。

羽化してこの24時間以内に土からから出てきたばかりの若いメスだろうと思う。遺伝の実験などには、この処女のメスが貴重になる。今度から、どこを探せばいいのか解かったので、うれしい


 『③水路の流れの水際』には、数日前にマークしたメスが多い。よくよく見ると、卵を産みつけている。水際のコケが生えていたり、藍藻が生えているところへ、腹部の先端を探るようにして、突っ込んで産みつけている。


 もちろん、このほかの場所にもメスはいるが、上の3箇所には合目的にいるような感じがしている。


 (ほんとうか?!)


 (いや~、ですよ、!)



水位01  そして、別に、このホタルの調査をするのに、水路に入って行っている。水路から、畦を見上げるという視点での調査だ。このとき、ゴム長靴で調査しているので、水路の水が多いと、靴下が濡れてしまう。少ないと、流れの抵抗も小さいので、軽々と水路内を歩くことができる。


①調査開始頃(5月中旬)

 ゴム長靴のぎりぎりのところに水位があり、毎晩のようにズボンと靴下をぬらした。

②調査中ごろ(5月中下旬)

 まったく靴下をぬらしたことがない。水路の底が見えている場所もあった。

③調査終わり頃(6月上旬)

 またしても、水位がぎりぎりで、毎晩、ズボンと靴下をぬらした。

④調査最終の頃(6月中下旬)

 水路に入って、調査をすることができなかった。


 ホタルの調査をしていた1ヶ月の間に、水路の水位は、低くなって、それから水位は上がり、人が入れないくらいにまで流れも急になったことがわかった。


 っで、娘が、ホタルのメスを確認したところと水位の関係を図に書いていたところ、


 空から、保全生物学の神が降臨されました。

    (大げさな・・・)  へ ε・・)


ゲンジボタルのメスをで見かけたのは、のときが多かったのです。ということは、ちょうど卵が孵化する頃にはの状態になっているのです。ホタルの卵は、水中では卵殻にカビが生えて、死んでしまいます。の頃に生みつけられた卵は、おそらく、水没していてダメだと思います。の最初の頃とに生みつけられた卵が、になる前に孵化していることを願うだけだ。


 このように水位が激しく変化する水路において、ちょうどゲンジボタルの成虫が舞っている頃にこの水位変化が起る状況では、保全地域を指定して、単にホタルの採集を自粛させたり、用水路をホタル護岸*にしたりするだけで、ホタルの産卵、羽化、成長などを自然に任せておいても、ゲンジボタルは守れないのではないかということが解かった。

 この時期の水路の水位調整は、田んぼへの水入れのための作業なので、半月ほど遅らせるなどということはできない。採ることができる道は、ホタルが舞っている時期に、メスとオスを採集し、卵をミズゴケなどに生ませ、安全に孵化させて、水路に再びかえすことだろうと思う。

 ここで、この交尾・産卵・孵化の1ヶ月くらいの期間だが、その地域の幼稚園や小学校・中学校に、飼育をお願いするということは可能だろうと思う。早くて6月下旬遅くても7月上旬には孵るので、夏休み前の生き物の観察と、放流というイベントにはなるだろう。小学校など、総合的学習の時間を当てることもできるのではと思う。

 今年のホタルの観察では、保全地域でホタルが増えにくい原因の一つが解かったような感じだ。この地で人がコメを作りはじめてからこちら、身近な昆虫の一つだが、その生息場所を縮小して減らすことなく、拡大して減らしたいと思うので、今後も、ホタルについては観察をしていこうと思う。

 

* ホタル護岸:ホタルの幼虫が上陸して、さなぎになるための場所確保するために簿顔にポケットが設けられている。草も生えるので、成虫が昼間、休むところにもなる。ポケットの下側には、コケが生えていると、産卵場所にもなる。非常に優れたものだが、往々にして、護岸全体に施されていたりして、水路の下のほうのポケットに入ってさなぎになったものは、成虫になるまでに増水したときには水没する。卵も同様である。

 ホタル護岸のブロックを施すときには、水路の水位変動を考慮に入れて、施工してほしいものだ。



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