ホタル002  サクラ前線が北上している最中、ゲンジボタルの乱舞の話。

 

 「気が早い!」

 「また、適当に・・・」と、

笑わないで欲しい。

 

 科学は、ホタルが乱舞する日を予想できるまでになっているのだ。ゲンジボタルを地道に研究されている方の成果だ。ホタルが舞っているところを見るとウキウキするボクには、今日か今日かとあせらなくてもいいなんて、なんてうれしいことなんだ。ちなみに、産卵日が分かると孵化日も予想できるのだが、それは後日にでも。

 

  ## 画像の(黄色)の上にポチッと白く光っているのが、
  ## ゲンジボタルの幼虫です。

 

  さて、ここ数日、朝に昼に夕に夜に、地面の温度を測っています。もちろん、ゲンジボタルが上陸して、土繭を作っているだろうあたりの地面の温度です。

 ホタル百科*1を読むと、上陸から羽化までの期間は、地面の温度が関係しているらしいです。それは、『地面の温度』と『上陸から羽化までの日数』を掛け算すると『680』というマジックナンバーになるそうです。

 

土壌温度 × 日数 = 680 [℃・日] ・・・(式・1)

 

 この数字は、今後、いろいろな温度によって検証されれないといけないそうですが、ホタルの羽化がいつごろなのかを予想するため、ひとつの目処を立ているのに利用させていただこうと思います。

 

 ゲンジボタルは、地下1cmから6cmあたりで、土繭を作るそうなので、4cmほどの深さの土壌温度を測定しました。ついでに、気温と水温も測定しました。

 

           表. ゲンジボタルの観察場所の温度

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  測 定 日 時         St.1             St.2

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 2005.04.12 21:00    9.8 / 12.1 / 13.9

         21:30                    9.4 / 12.0 / 13.4

 2005.04.13 11:30   17.9 / 15.8 / 17.6

         19:30   11.1 / 14.1 / 15.4

         21:00                    9.8 / 12.4 / 13.7  

 2005.04.14 08:00   10.4 / 11.1 / 11.2

 2005.04.15 14:55   23.8 / 18.5 / 19.0

         15:50                   23.4 / 16.7 / 17.7

 2005.04.17 08:30                    14.0 / 11.2 / 11.1

 2005.04.18 07:15                   12.4 / 11.8 / 11.4

         07:45   14.8 / 14.0 / 13.6

         21:15                   16.0 / 15.2 / 14.1

 2005.04.19 21:30   16.7 / 16.9 / 17.2

         21:50                   16.4 / 16.8 / 15.8

 2005.04.22 07:30                   13.7 / 13.3 / 12.1

 2005.04.29 21:30   20.6 / 19.2 / 20.5

         22:00                   20.3 / 19.3 / 17.9

 2005.04.30 10:00                   26.3 / 22.1 / 19.9

 2005.05.02 07:30                   19.2 / 18.8 / 17.5

         08:00   19.1 / 18.1 / 19.4

 2005.05.10 06:40                   12.8 / 16.8 / 15.5

         07:00   14.6 / 16.9 / 17.1

         18:30   18.0 / 18.1 / 20.9

         19:00                  18.6 / 18.2 / 17.8

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  温度は、気温/水温/地温  この表は随時データを加えていきます。

 

 [St.1]では、最低11.2℃、最高17.6℃でした。中央値は14.4℃です。

 [St.2]では、夜しか測っていないのですが、中央値は13.6℃です。

 

 (式・1)を(式・2)のように変形して、これらの中央値を土壌温度に代入して日数を求めると、

 

 

日数 = 680 ÷ 土壌温度  ・・・(式・2)

 

 

 [St.1]では47日、[St.2]では50日と出ました。

4月12日から日数を数えると、

 

 [St.1]では5月29日、[St.2]では6月1日となりました。このあたりが、ホタルの乱舞を見ることができる日でしょうか?

 

 この後も気温が上昇するのにともなって、土壌温度の上昇するはずですから、ここで予想した日よりも、早いように思います。たとえば、土壌温度が17℃だとすると、5月22日になります。ただ、ホタルの寿命が2週間くらいなら、乱舞もそのくらいの幅で見ることができるのではと思いますので、目安としては5月下中から6月上旬という辺りでしょうか。

 

  そうそう注意してほしいのは、この話は、ボクが観察して地域の話であって、全国的には九州のほうがもっと早いだろうし、関東のほうがもっと遅いだろうと思います。岡山県内でも、1ヶ月くらい違います。細かく言うと、この観察地点から、1kmほど北にいった場所では、ここよりも2週間ほど遅いのです。

非常に局地的な予想だということです。

 

 はてさて、どうなりますか?ホタルが発生したら、また、ホタルについて書こうと思います。

  

 

参考文献

 *1: ホタル百科 東京ゲンジボタル研究所著 丸善(株)発行 2004年

 

 

 


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