母が寝たきりなのに、お引越しと言い。
毎日風呂敷に荷物を詰めている。
天国へのお引越しという。
癌は胃がんで発見された時に直径7センチ、厚さが5ミリで検査をすべてして、
がんセンター糖尿の先生と私たちが相談して手術も抗がん剤も止めた。
あと数か月と宣告された。
医療は今は算術で仁術ではなくなる。
大きなビルや教育で稼ぐ。
痴呆が出た母は、約束の終末医療もかかれなくなる。
だが、今私はこれで良かったと思う。
痴呆が出ても、今いる場所を認識して安心している。
何かあれば数秒で飛んでいける。
私の体が弱いのを知っているので世話していると疲れないかいと聞いてくる。
今日はなくなった生徒さんの法事だよと、
私が元気だったら女子医大で治させたのにと、
若い彼女は母より早かった。
私の心にしっかり彼女、ごめんなさい宗輝というお家元の一字と祖母の一字を頂いたたった一人の愛弟子が根を下ろした。
もうどこにもいかないだろう。
こころに心を伝えるというのは、なまなかなことではない。
生死以上のこと。
思うといつもすぐ現れる。
夜空を同時に見つめると、流れ星。
一瞬の光陰 安んずべからず
偉そうに言うが、まだ君の面影で涙する