今日は新しいススキが手に入り、お月見の準備ができた。
今日来た方はそれどころではなかった。
すくない出席者だからできた風炉の正式な灰型のお稽古である。
入門者はこれを見ると二度と来ない。
竈つくりには科学と美学が必要なのである。
長い歴史で作られた灰、
利休さんのころでも農家の竈の隅に残る古い灰を茶人は貰いに歩いたという。
灰は古いほど良い。
茶人のお道具で最高のものが灰。
現代では灰も炭も汚れると言って、皆さん嫌がる。
東北では大震災に蔵に残っていた火箸、炭が活躍したという。
娘さんと来たお母さんは、やりたがる娘さんを一緒に灰型作りに導く。
初めての経験だがお母さんは余裕がある。
一度のお稽古で遠山の灰を作ってしまう。
大きな道安風炉でやりやすいとはいえ生まれて初めてである。
私も娘さんを包み込んでしまうお稽古に、いつも感心している。
しばらくして上級の方が来た。
まだだれも来てない。
灰になる。
小さい真の眉風炉。
二文字押切を頑張ってくれた。
灰の基本である。
だがこの風炉は窓になっていて灰匙が上手く動かない。
これで鱗灰に挑戦できる基本なのである。
灰の奥秘である。
帰り今日もまた月見ができた。
坂下である。
スタームーン、
やはり見事な月だった。
今日は雲一つない。