もう経済復活は無理なのか:

緊急インタビュー 第二回                山本幸三(衆議院議員)

~日刊 ゲンダイ 2012215日号~



国会はなぜ白川日銀総裁を吊し上げないのか


見るからに貧乏神のような日銀の白川方明総裁(62)。この男こそ、日本経済が貧しくなった最大の元凶であることは知る人ぞ知るだが、なぜか問題視されない。吊し上げられないからナゾである。国会で日銀総裁の無能無策を糾弾し続ける自民党の山本幸三衆院議員に聞いた。


デフレ不況野放しの元凶

「日銀はウラで財務省と組んでいるのです。その財務省は財政再建が至上命令。増税と歳出カットしか頭にない。大震災が起き、絆とか国民連帯が叫ばれている今、財務省は増税の絶好のチャンスと思っている。この機会を逃したくないのです。それで日銀も景気を良くしない。景気が良くなれば、財務省が増税しづらくなるからです。」



山本議員は東大卒―大蔵省入省の経歴。だから相手の手の内が分かっているが、それにしても増税のために日銀と財務省が不況推進とは、やることが逆さま。国民への犯罪行為だ。



「米国は量的緩和政策で大量の国債買いオペを実施して成功している。株価もリーマン・ショック前の高値に戻った。日銀だって国債の買いオペで貨幣供給量を増やせばいいのです。景気は回復する。デフレ脱却、円高是正、名目成長率の上昇という"一挙三得"の政策なのです。私がこう要求すると、日銀は"日本も十分、供給量を増やしている"と反論するが、この11年間の流通通貨の残高を海外と比較すると、日本はほとんど横ばい。英国やユーロ圈は2倍、米国は3倍ですよ。日銀が言う金融緩和はウソなのです。日本は通貨供給量が少ないから、円の価値が高まり、超円高が止まらないのです。」



超円高で日本の輸出は壊滅状態に追い込まれ、貿易赤字に転落だ。それでも無策の日銀が批判されないのはなぜか。



「新聞記者たちが情報欲しさに言いなりになっている。白川総裁とメシを一緒に食えることをありがたがっている。それで批判などできないばかりか、日銀は十分に金融緩和をやっているとか、これ以上やると財政規律が崩れ、超インフレになると平気で書く。モノが余って需給ギャップが30兆円以上もある日本で、日銀が気にする10%近いインフレなど起こるわけがないでしょう。記者たちが勉強不足で元凶をたださないから、日経以下の新聞社はデフレ不況で経営が苦しいのです。もっと許せないのは、日銀が学者やエコノミストを副総裁、研究員ポストをエサに懷柔していること。それで日本では日銀批判が高まらないのです。」



そこまでして日銀がデフレ無策にこだわる理由はもうひとつある。白川総裁の保身だという。



白川総裁は従来から、量的緩和は効果がないと言い続けてきた。緩和して、米国など海外のように景気効果が出てしまったら恥をかく。立場がない。責任を問われ、辞めざるを得ない。だから緩和政策をしないのです。国民が批判の声を上げ、白川総裁を辞任に追い込むしか日本経済の復活はありません。それは断言できます。」



聞けば聞くほど、白川総裁は犯罪的だ。わが身のためにデフレ不況と円高を放置し、この国を貧しくしている。許し難い男ではないか。